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②ユスフパシャのシリア人

イスタンブールの観光地にある店は、アラビア語が併記されています。

料理はトルコ料理だが、この町ではアラビア語がメインで表記

有名なトプカプ宮殿やブルーモスク、タクシム周辺などの観光地には、湾岸諸国のアラブ人が観光しやすいために書いてあるようですが、ここユスフパシャは違います。イラク人やシリア人に向けて、日々の生活のために書かれてある場合が多いようです。その中でもシリアは、イスタンブールからイラクよりも近い隣国。内戦が起こる前から、この両国の人たちは、長距離バスで気軽に行き交っていました。

2001年、ダマスカスのウマイヤドモスクの前で

この写真は、私が2001年にシリアに旅行に行った時の写真。飛行機代をけちって、安いイスタンブール行きのチケットを買い、そこからバスでアレッポに向かいました。空港から直行でバス停に行き、トルコに見向きもしないでシリアに向かった思い出は、今も鮮明に覚えています。日本に置き換えると、福岡から東京で乗り換えて仙台に行くような、そんな感覚でした。しかし、ご存知のようにシリアは、今も内戦がくすぶっている地域。そこから逃げて向かう先をイスタンブールにした人たちは数多くいます。

シリア人が経営するアラブ系食材店

その内戦が始まって、すでに10年以上が経過しました。数年前に逃げて来たシリア人が、ここイスタンブールで一旗あげています。バスや飛行機の取り扱い店、商品などの輸出入代行業、シーシャ屋と水タバコ販売店、コーヒー豆販売店(今回、これを取材できなかったが、かなりシリア人がこの商売をしていた)、そして食材店や飲食店などが目につきました。

巨大な乾燥モロヘイヤパックに歓喜する私

写真は、今回取材したアラブの食品を扱う店。初めトルコの食材店と区別が付きにくかったのですが、目を凝らしてよく見てみるとザータルや乾燥モロヘイヤなど、トルコ料理であまり使われないものが販売していたりします。

シャツを見るとアレッポの遺跡がプリントされている

こちらは、アレッポ出身の人たちが経営するシリアのピザを提供する店。英語がそんなに話せないので、彼らのバックグラウンドはあまり分かりませんでしたが、周辺に住むアラブ人たちには、人気の店のようでした。この写真を撮った日は、隣にパレスチナ人が座り、

「ここのピザは最高だ。トルコの店なんて行かないよ。」

と、捨てセリフを残して去っていきました。やっぱりアラブ人とトルコ人の間には、色々と軋轢があるのでしょうか?

様々な食材や形の違うシリア風ピザを作っている

その1週間後、撮影のためにふたたび訪れ、クルーと一緒にさらに色々と食べたところ、やはりどれも美味しい!そして、シリアのこうした小型のピザは、スフィーハという名前だと思うのですが、何度言ってもシリアのピザとしか返答が返ってきません。日本のシリア料理で食べた時は、その名前だったのですが、特定の形だけがスフィーハと言うのでしょうか?その辺りは、いずれまたどこかで食べに行った時にでも調べてみたいと思います。とにかく何十種類ものピザ風のパンが並んでいるのですから、とても食べきれません!しかも、朝食向けと昼食向けで種類が違うようでした。

ダウミが一枚挑戦!

そんな朝食時に撮影しに行ったのですが、忙しい中、ダウミがダメ元で作るの体験させてくれと言ったところ、なんと承諾!軽く1枚作らせてもらいました。しかし、生地がものすごくソフトなので、かなり作るのが難しかったそうです。それだけデリケートな生地だからこそ、こんなにソフトな食感で豊かな味のピザが出来るのかもしれません。

お気に入りのシーシャ屋と通り

こちらの通りは、シーシャ屋さんが多く並ぶ通り、夜になると人が集まってきます。お客から聞こえてくる会話は、明らかにアラビア語。多くが、シリア人のようでした。

初めてシーシャを吸うダウミ。レバノン人女性に吸い方を教わる

この時は、結婚式のためにクウェートからやってきたレバノン人のご家族が隣でシーシャを吸っていました。結婚式が行われ、この日、国に帰る前にここで、シーシャを嗜んでゆっくりしているとのことでした。

こうした店は、アラブ人向けのようでしたが、アラブ人ではなくトルコ人経営の店だったりします。実は、このユスフパシャ周辺には、もう一つ別のトルコ国内の移民の歴史があるのですが、それはまた別の機会に。

庶民的な食堂から大型レストランまで、色々ある

何はともあれ、ユスフパシャには、シリア人のレストランやカフェ、シーシャ屋などが沢山あり、観光地では味わえない庶民がリラックス出来る雰囲気がただよっています。未だシリアに行くのが難しい中、気軽にシリアの人たちとコミュニケーションを取り、現地さながらのシリア料理などを味わいに、この町を是非散策して欲しいです。


カフェ・バグダッドさんが提案された「世界を知るための10皿」という企画に乗り、様々な国の料理を取り上げていきます。料理を通じて、移民の方々や、聞きなれない国に親しみをもってもらいたいと考えてます。今後はYouTube「世界のエスニックタウン」と連携した企画をアップしていきます。