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地域活性化、自治体関連ニュースまとめ(2021/9/6~12)

毎週600~800本に近く配信される地域活性化、自治体関連のニュース(複数メディアから配信される同じ内容のニュース含む)に目を通し、個人的に「これは!」と思ったニュースを要約&解説しています。日々多忙な地域、自治体に関わる皆様の情報収集の一助になれば幸いです。

今週はオンライン系のサービス(学習、食文化体験、観光体験)やキャッシュレス関連のニュースをピックアップしました。

■N予備校が無料の量子計算入門講座を開講、高校生以上が量子コンピューターのアルゴリズムを無料で学べる

ドワンゴが開発したN予備校において、「量子計算入門」を無料で開講すると発表しました。これにより、高校生以上の全ての人々が量子コンピューターの基礎となる知識を学習することができます。

量子コンピューターは量子力学の現象を利用し、従来型のコンピューターでは容易に解くことができない複雑な計算ができるコンピューター。
AIやブロックチェーン技術の普及に伴い、加速的に複雑化する計算を解くことができる次世代のコンピューターとして注目されています。こうした最先端の技術に関するテーマでもオンラインで学習できてしまう時代になってきました。 ※量子コンピューターについてはこちらの記事を参照

従来は首都圏、地方間の教育格差が問題視されることもありましたが、現在はN予備校以外にもオンライン学習サービスや、各大学、国が提供している優良コンテンツが充実しており、インターネット環境さえ整っていれば、全世界どこでも質の良い教育を受けられる状態が整っていると言えます。

下記は様々なこうしたオンライン学習教材の一例

edX:https://www.edx.org/
MIT(サチューセッツ工科大)の無料オンライン授業。モンゴルの草原に住む16歳の少年が、edXで学んだ授業のテストで満点を取り、MITへ特待生として入学した例も。

IPSJ MOOC:
https://sites.google.com/view/ipsjmooc/home
プログラミングやデータサイエンスの基礎が学習できるオンライン教材。一般社団法人情報処理学会が提供。

STEAM Library:
https://www.steam-library.go.jp/
経済産業省が提供するSTEAM教育教材。実際の企業の事例や、社会問題を取り上げ、生徒だけでなく、教師や研究者、企業人が交わり、「ワクワク」しながら双方向的に学習できる場を目指している。

このようなオンライン学習サービスを使って、地方における教育、知識格差を改善を目指す例として興味深いのが、オンライン学習サービス「Schoo」と奄美大島の協定事例。

奄美大島全島民約6万人が、ビジネスマナーやスキル、営業・プログラミング・デザインの実務スキルが学べる「Schoo」のサービスを利用できるようになりました。離島であるが故に学びづらかったことをオンラインで学べるようにすることで、DX化・デジタル化の推進や新規事業創出、職場で必要な業務に活かせるスキル・知識の習得や向上が期待できます。またUターンを推進していく離島の特色を活かした地方創生の新しい取り組みとしても注目です。

学ぶ意欲さえあればいつでもどこでも学習できてしまう時代。
特に教育格差が顕著な地域における生涯学習支援を行っている方々にも注目いただきたい話題です。絵本の読み聞かせ、料理教室等も良いですが、このようなサービスの導入、利用などを検討してみてもよいかもしれません。

N予備校は授業、教材(問題集や参考書)、Q&Aシステムが1つになった学習アプリで、通常学費は月額1100円(税込み)となっております。

■オンライン食体験が「GoToイベント」対象に、食文化で関係人口創出

日本各地の食材が家に届き、その土地の暮らしと食文化をオンラインで一緒に楽しめる「ふるさと食体験」。株式会社キッチハイクが提供する、このサービスが 「GoToイートキャンペーン」 の対象になりました。利用者は最大20%引きでイベントに参加できます。

地域飲食店支援を目的に導入されたにも関わらず、それが感染を広めると批判を浴びてきた「GoToイートキャンペーン」が、ついにオンラインで食を体験するプログラムにも適用され、お家にいながらお得かつ安全に地域の食や文化を楽しむことができるようになりました。 

オンラインイベントでは事前に地域から食材が送られ、地域の人や生産者から調理法を学びます。できあがった料理を楽しみながら、地域の人々と交流することから、新たな関係人口創出が期待されているようです。

以下は南魚沼市でしいたけ大切に育てられている、八色しいたけの例。  

丁寧に作り込まれた動画はまるでグルメ番組をみているようですね。
動画内で紹介されている食材は手元に届いているため、すぐにでも調理法を試してみたくなることでしょう。

同社はこれまでに140回のイベントを開催、延べ3100組が参加したようです。関係人口を増やしたい、農林水産品の新たな見せ方を検討したい等考えられている自治体、生産者さんは一度検討の余地があるかも知れません。地方自治体や地方企業向けの資料はSpeakerdeckで公開されています。


■「バーチャルOKINAWA」でのエイサー祭り、世界中から約1万人を動員!

株式会社あしびかんぱにーが開発したVR空間「バーチャルOKINAWA」にて「一万人のエイサー踊り隊2021オンラインINバーチャルOKINAWA」が開催されました。世界中から約1万人が来場し、大いに盛り上がったようです。

クラウドファンディング企画を通じ、様々な企業や団体を巻き込んで実現された、「バーチャルOKINAWA」は国際通りを忠実再現するだけではなく、バーチャル空間で楽しめる様々な体験を提供しています。

▼現在体験可能
・三線ライブ鑑賞
・サンゴの産卵ライブ配信
・バーチャル空間を泳ぐ魚への餌やり
・沖縄版ラジオ体操体験
・オンラインショッピング 
 ※次のURLからも購入可 https://www.voki-shop.jp/

▼現在体験準備中

・釣り
・沖縄歴史展示会
・ゴーヤーボウリング
・古民家&ビーチエリア

コロナ渦において「あつまれどうぶつの森」のゲーム内で新潟県佐渡市が、佐渡島を再現したり、JTBが様々な観光地を再現した「JTB島」を作成する等、バーチャル空間で観光地を再現する試みが話題になりました。

ゲーム上やVR上で観光地を再現するのも同じような取り組みに聞こえますが、VR空間で提供される体験のインパクトが大きく異なります。視覚、触覚でフィードバックされる体験は確かに自分が経験した体験としてココロに残ります。

実際の町をVR空間上に再現し、コミュニケーションやイベントを楽しむ試みはKDDIが主体となって手掛ける「バーチャル渋谷」が有名ですが、「バーチャルOKINAWA」の場合は沖縄ならではのユニークな体験を提供しているのが特徴。地域のファンとのつながりを維持したり、新たな観光客創出に寄与しそうです。

実際にイベントには沢山の有名Vtuberキャラが参加したため、Vtuber目当ての参加者も多く参加したようですが、こうしたファン層にも好評だったそうです。地域が様々な層にしっかりアピールできた良い事例だと思います。

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※Youtubeにアーカイブされている同イベント動画へのコメントから抜粋

■知られざるVisaのタッチ決済王国、石川県珠洲市 普及のワケ

専用端末にタッチするだけで決済が完了するVisaカードのタッチ決済。日本でも徐々に徐々に普及が進んできていますが、日常的にタッチ決済を使っている欧米と比べるとまだまだ普及していません。

そんな中、キャッシュレスが普及し、「Visaタッチ決済の人口当たりの件数が日本最多」となっているのが石川県珠洲市。人口は1万5000人を切り、半分が65歳という珠洲市で、推進の立役者となったのが、「北國銀行」

地域に根を張る営業人員をフル活用し、デビットカードはおろか、キャッシュレスという言葉すら誰もわからないような状況から、根気よくメリットを説明し続け、もともとキャッシュレス決済比率が全国平均以下だった同地域をキャッシュレス推進地域に押し上げました。主な取り組みは以下。

・ Visaデビットカードの発行業務と加盟店開拓業務の両方を行う
・ 加盟店には1台5万円ほどの決済端末を無料で配布
・ 口座開設時に自動的にVisaデビットカードを発行
・ スマホアプリを開発。で残高総会や利用履歴、ポイント確認等が可能に
・ カード普及のためのキャンペーン施策の企画
・ CM、広告、プロモーションによるキャッシュレス意識の定着

背景にあるのはコスト削減や業務改革、新しいサービス開発をおこなっていくために必須となるDXやキャッシュレス対応。現金管理に伴うコストや業務負荷は想像以上に高く、多くの事業者の課題となっています。また、新たなサービスを開発しようとなった時に現金以外での支払い方法が進んでいなければ新たなサービス開発もできません。

キャッシュレスを進めることは便利で快適なサービスを提供する上での地域インフラを整備することと同義です。地域におけるキャッシュレスインフラの整備を自らの使命とし、大規模な投資でサービスを展開&普及させた北國銀行の取り組みには脱帽です。


【注意】
掲載内容の正確性には努めていますが、それを保証するものではありません。お問い合わせや指摘等に関してはコメント欄よりお願いいたします。


各ニュースについてちょっと余談。


■オンライン食体験が「GoToイベント」対象に、食文化で関係人口創出
サービスを提供している株式会社キッチハイクは元々、「食べるのが好き!」なユーザーを集め、ごはんを楽しむ会を開催するサービス(いわゆるグルメユーザーとお店のマッチング事業)を手掛けていましたが、コロナでイベントが開催できない中、メイン事業を「ふるさと食体験」に注力していったようです。関係人口創出のニーズをうまく汲み取った華麗なピポッドですね。

「バーチャルOKINAWA」でのエイサー祭り、世界中から約1万人を動員!VRが人に与える衝撃は、実際にVRを体験したことがある人しか理解できないというところが本当に残念です。興味がある方は是非一度、手軽に購入できる 『Oculus Quest 2』 のチュートリアルだけでもやってみて下さい。卓球のサーブをするというチュートリアルがあるのですが、実際にボールをトスし、ラケットで打った時の感覚がはっきりとあるのです。VR技術はここまできているのかと感動と鳥肌とワクワクが止まりません。

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