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時空万華鏡〜いつかのどこかの物語〜

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いつかの、どこかの時空で紡がれた物語達です。 連作ですが、それぞれのお話に関連性はありません。 登場人物、場所、時間は重なっていません。 宇宙の物語の万華鏡です。 全てハッピーエ…
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#古代

その魂捨てるなら勝手にさせて貰います

その魂捨てるなら勝手にさせて貰います

 シザールは目の前の石をじっと見つめて居た。どれ程そうしているのか自分でも分からない程、そうしていた。
 大人の腰ほどの位置まである、全体的に丸味を帯びた白い石だ。所々に小さなガラス質の黒点が見える、何の変哲もない石だ。路傍にぽんとある、それだけの石。ただ、そこにある、そのままにある、モノ。
 通りすがりだった。けれどその姿を見た途端、そこから動けなくなっていた。むしろそれこそが尊いのではないかと

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