失恋するということ。2

あれから一か月半が経った。

何となく実感がわかないまま、ここまで過ごしてきた。度々何気ないダメージを食らいながら・・・。

画像1

別れてたった二日後には、サークルの合宿に出発していた。寝て起きたら忘れるとかいうのとは無縁のズルズルな人生を歩んできた私だが、さすがに別れた初日のダメージは薄れていた。実感がないがために精神的ダメージは薄く、むしろ泣きはらした、泣きつくしたがための体調不良のほうが著しかった。合宿の幹事であったというのもあるが酒は進まず、しかし後輩たちには気づかれることなく、ド定番の「今どうなってるんすか?」という質問を食らって撃沈して察しのいい同期の友人たちにフォローされるだけという。そんでもって過去の失恋を煽ってきたライバル的男子から仕返しのように煽られるという。何か言い返す体力もなくて全部素直に受け止めちゃったじゃんかよー。普通にね、楽しかったけどね、合宿は。

画像2

でもってさらに3日後くらいに、幼馴染の親友ヤノと飲みに行った。文字通り何でも話せる間柄。今まで幾度となく彼との関係のことも相談に乗ってもらってきた。別れたその日に真っ先に連絡したのもヤノだった。共通の友人でもあったし、彼ともサシで飲みにも行っていたヤノは、私と彼との双方からの相談を受けている唯一の存在だった。

ヤノはただただ、分かれたことを残念がってくれた。そして彼が、振られたことで本当にショックを受けていること、まだ私のことを諦めきれないと話していること、別れる前には、引っ越して家が近くなるのを本当に楽しみにしていたこと、、、付き合ってる頃には気づかなかったこれでもかというほどの愛情を、教えてくれた。揺らいだ。これを聞いて心から、溢れるほど嬉しいと思えるくらいには、彼のことが好きだった。「ま、そのうちLINEでもしてやんなよ。」というヤノの言葉に、ああほんとに今すぐそうしてしまおうかと、一瞬でも思った。私のこととか周りに喋るタイプでもないと思ってたし、実際そうだったんだと思うけど、まさかこんなに話してるなんて。彼が私のことで惚気てるってこと、別れてからじゃなくて付き合ってる間に知りたかった。そしたらちょっとは違ったかな、なんて、いまさら過ぎる言い訳と責任転嫁。愛されてんな、私。と、ここまでが私史上最大級の惚気。お互い様なのか・・・。

画像3

別れて半月くらいのとき、学科の女友達5人で伊豆旅行へいった。その宿の広いリビングのような部屋で酒片手に語った、セクシャリティー的な話。恋バナから発展して、恋愛対象の性別、興奮する基準とか、AVを見る目的とか、そんなところまで話が及んで。

暇極める深夜テンションじゃなきゃこんなこと書かないよー、レアだよー。

私は、恋愛対象はほぼ100%男性だから、男性を見てでしか興奮しないし、女性アイドルとかほとんど興味ないし、逆にジャニヲタだし、そこは明確なんだけど。ただ自分自身の性別が100%女性ではないという自覚。日によって時によって、自分自身を男性だと(というより「女性でありたくない」と)思う。だから、付き合っていく中で自分自身を女性だと認識するとつらくなる。キスまではいい。ただ服を脱ぐと、自分は女性物の下着を着ていて、胸があって、それを見て何かが違うと思ってしまう。好きだから、触られるのはうれしいのに、普通ではないこっぱずかしさみたいなモヤモヤがある。そこからはもう、自分を女性だと嫌でも認識させられる行為のオンパレード。そのモヤモヤを押し殺して、一見ただの幸せなイチャイチャカップルを演じる。つらいね。つらいから、彼の家に泊まるのに先に寝たフリしたり床で寝たりして逃げたこともしょっちゅうあった。そんな時でもイケメン優男彼氏は「もう寝ちゃうの?」みたいな感じでやんわり誘ってきて、寝たフリの罪悪感に負けた私がキスに応じることもあれば、たまに本当にしんどい時は寝たフリを貫き通して、彼が諦めて隣で添い寝だけしてくれる時もあった。その罪悪感が一番つらかった。寝たフリし続ける私の背中に向かって囁いた彼の「一応俺だってね、色々我慢してるんだからね。・・・おやすみ。」って言葉は今でもハッキリと残っている。

こうして思い返してみるとほんとにいい男だったな・・・(謎の上から目線)。こんな優しい人いないよね普通。漫画やドラマでこんな「もう寝ちゃうの?」なんてシチュエーションあったら絶叫しちゃうもんね。でも自分はそんなシチュエーションのヒロインにはなりたくてもなれないんだよね。こんな私でも幸せになれる方法があるのならば、知っている人がいるのならば、ぜひ教えてほしい。

こうしてつらさや罪悪感から逃れるように別れ、結局自分のことしか考えていなかったんだと思い知り、さらに自分の中でどれだけ大きい存在だったか思い知り、毎日身の回りの彼との思い出の品にもだえ、自業自得だと言い聞かせながら、またしても思い出のお台場へのドライブの計画を練る夜。どこへ行ったって思い出すんだもん、もう逃れらんないよな。私の人生、逃げてばっかだー・・・。


追伸。

中学時代のタイムカプセル的な手紙が届いた。その中で彼に関する所だけ抜粋。

「彼は隣にいますか。きっといるでしょうね。そちらの彼に伝えておいてください。これからもよろしくおねがいします、と。交換ノートとか、手元に残ってるでしょうね、きっと。ちゃんと会話して仲良くしていてください。」

「未来の私には、今より少しでも、自分のことを好きでいてほしいです。もしそれができなかったら、せめて周りの人のことをちゃんと愛していてください。」

「20歳になったあなたがどうか、幸せでありますように・・・。」

いやーもう、笑っちゃうくらい、まるで当たり前のことのように、一緒にいる未来しか描けてなくて。こんなにもいいタイミングで過去の自分からのクリティカルヒットを食らうとは。もうほんとに5年前の私には土下座で謝っても許してもらえなそうだな。

本当にごめん、いま、模索中だからさ。もうちょっと待ってて。見つかるまであとどれくらいかかるか分からないけど、いつかきっと見つけられるように、頑張るからさ。今はもうちょっと足掻いてみてもいいかな。もう少し先の未来の私からそのうち幸せ報告が届くように。小さめの期待して、待ってて。

画像4


さらに追伸。

コロナのニュースばっかで、気が滅入るけど。

もし今コロナにかかって死ぬとしたら、私は彼と連絡を取らなかったことをめちゃめちゃ後悔すると思う。でも、彼には幸せになってほしいから、自分が死んだことは彼には知られたくないと思う。

死ぬ前に彼に伝えなきゃいけないこと、たくさんあるんだよなー。

まだ死ぬつもりないけど。

日本の喜劇王の訃報をうけて、そんなことを考える夜です。


風がものすごく強い。そろそろ寝ようか。4:47。

おやすみなさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?