振り向けば白猫がいる
noteを始めます。
一番最初はアイコンにもしている白い猫について書きたいと思います。
あまり大きな声では言えないが、僕は公務員だった。東京23区(特別区)の職員だった。当然試験を受けて合格した。勉強時間は明らかに少なかったが、一次試験(筆記)は意外と簡単に通った。
苦労したのは二次試験(面接)だった。特別区は2回面接試験がある。1回に3人×2回で合計6人の面接官と面接する。特別区試験に最終合格してから各区役所の面接官3人との面接をクリアして内定が決まる。道のりは遠い。
実はその頃地元の小さな公園に寄っていた。そこで白い野良猫と出会った。じっとこちらを見つめていた。一目惚れした。
「なんとなく頑張れそう」
白い猫に会う度に力をもらえた。いつの間にかこころの支えになっていた。
白い猫の存在が大きくなっていく最中、特別区の面接は苦労しながらも最終合格した。ホッとひと安心。
が、
実はここからが試練の始まりだった。
各区役所の人事担当者から面接に呼ばれてそこで合格して初めて内定がもらえる。(呼ばれない場合もあるらしい)
僕は生まれ育った地元の区役所を希望していた。二次試験(面接)が足を引っ張りギリギリの点数で地元の区役所から面接の連絡が来た。
予備校の講師や周りからは「地元だから100%内定もらえる、面接の練習なんてやらなくていい」と言われていた。
でも、僕は全く自信がなかった。
地元区役所の面接試験当日、いつも寄る公園の白猫さんに元気をもらおうと会いに行った。ところが白猫さんはいなかった…
そして面接。やらかしてしまった。地元だし悠々自適に進められるはずが、話が弾まない。呆れられ、むしろ圧迫面接…なぜ?震えが止まらなかった。
面接終了後「落ちたかもしれないが合格してて欲しい」と必死で祈った。
朝3時に起きて神社でお百度参りもした。どうしても地元に就職したかったのだ。
そして白猫さんに会いに毎日公園へ通った。しかし、なぜか一度も会えなかった。
「なんで?どこに行ったの?」
採用発表日に合否不明のまま、翌朝7時、地元区役所から速達で通知が来た。
「不合格」
地獄だった。
その後も白猫さんに励ましてもらおうと公園に通ったが会えなかった。他の区役所からの面接の連絡を待っていたが来ない日が続いた。
絶望の淵に立たされていたある日、公園に行ったら数週間ぶりに白猫さんがいた。うれしくて思わず撫でた。そしてその日ある区役所から面接の連絡があったのだ。
連絡のあった日からその区役所を訪問して情報を収集し、あらゆる所で面接の練習をした。100回は練習した。ダメ出しされながらも必死だった。
公園には白猫さんがずっといた。モチベーションになっていた。
2箇所目の区役所面接試験前日、白猫さんに会った。励ましてくれている気がした。
面接当日、緊張してうまくいかなかった。
「落ちた」と思った。
数週間経っても内定の連絡は来なかった。
どうせいないだろうと覚悟をしていつもの公園に行った。
白猫さんはいた。
「えっ、なんで?」「今回もだめだよ?」
白猫さんに声をかけた。
その日の夕方だった。面接をした区役所から内定の連絡が来た。
人事担当者から
「誠実さを買った」
と言われた。
とてもうれしかった。
白猫はすべてを見ていた。合格不合格も見透かしていたのかもしれない。
勤務地が遠く、仕事が始まってからは白猫さんのいる公園に行くことは出来なくなった。
でも、将来また違う形で白猫さんとご縁があるとは想像もしていなかった。
その後も試練のたびに現れる白い猫。
いったい何を教えてくれているのか…
つい最近も自宅がなくなる直前まで家に訪れ続けていた白い猫。
正体は……
続きます
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