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デジタル疲れ

スマホ脳」という本を図書館で見かけて借りてみた。

なかなかキャッチーなタイトルだ。
そういう脳みそがあるのかとか、スマートフォンにハックされた脳とか、そういうことを連想する。

中身は、ネタバレかもしれないが、だいたい後者の内容。
大きく
①人間は一万年かけて進化してきたがデジタルはここ数十年程度であり最近のライフスタイル変化が激しすぎる
②スマートフォンやアプリ開発は人間の習性や心理をよく研究して作ってある
③スマートフォンが爆発的に普及した2011年以降うつ、依存など心の健康を害する人たちが増えている
…それらを踏まえると上手に使いつつうまく距離を置いた方がよい、というような内容だった。

私自身もちょうど東日本大震災の直後からTwitterやFacebookを始めたので、デジタル疲れは自覚症状がある。
最初の頃は、真面目な私(?)は結構律儀にプッシュ通知に反応してしまい、通知が来るとバッジは消さないと気が済まなかった。
Twitterの未読を全部読んでいた(さすがに今はやめてたけど)。
写真やつぶやきで他人の視点がわかる面白さ、他人の生活を垣間見る好奇心、遠くや近くの知らない場所を知る楽しさ。
一方で、画面の中と自分の生活を比較しての焦燥感、無駄な競争心、写真を撮るときも後で使えるように綺麗に撮らなきゃとか、自分主義より人からの見られ方を意識しすぎて結局はずっと満たされないものを感じていた。画面の中の虚構性や修正され完璧になりすぎた人や風景への違和感もあった。

昔より画素数も増えて格段に綺麗な写真が撮れるのに、写真の粗さと心のキメの細かさは反比例していってしまうような。

この本はそうなる人間の心理や体のメカニズム、ドーパミンのことなどに触れていて、私にはすごく説得力があった。

それでスマホとの距離の置き方だが、プッシュ通知全てオフ、離れる時間を持つ、体を動かす…など色々諸説聞いたことある中に唯一聴き馴染みのない「グレースクリーン」にするというものが。画面が白黒!?そんなことできるの?
早速試してみたらこれが素晴らしい。

https://www.lifehacker.jp/2017/10/171029-repost-entry.html

同僚にも話して一緒にやってみようとなり、iPhone、PC( Windows10)の設定はすぐできて、ショートカットでカラースクリーンにも簡単に戻せることが判明。

白黒の画面は、なかなか味気なく、はっきり言って見る気は失せる。バッジのあの赤がすごいストレスだったのだとも思う。
特に見る気が失せたのは①動画・写真、②通販サイト(楽天、Amazon)、③メルカリ。いかに写真やボタンが購買意欲を煽っていたかがわかる。メッセージの絵文字も白黒だと無味。エモーションが消える。


今始めて3日だが、受け取る情報を減らすとより本質にフォーカスできるのだと感じている。

実は昔のガラケーとかKindle端末くらいのちょっとメモできて、白黒画面で情報が読めて、音が聞こえて、ショートメッセージ送れて…くらいで十分だったのだなと思う。

単に画面を白黒で見ているだけなので、写真はちゃんとカラーで撮影される。風景を見る白黒のファインダーは味気なく、構図くらいしかわからないので、そもそも撮る気は減退する。

ファインダーを白黒にして写真を撮るとどんな出来かがカラーにするまで色味がよくわからない。これが現像した写真のような効果で、案外良く撮れていると自分では思う。その一瞬に魂を込める感じで。これも、昔のフィルムカメラくらいで十分だったのだと思う。

何より白黒画面を見ていると、外の風景を見た時に、空の青とか木々の緑にハッとする美しさがあり、ああこんな色だったっけ?こんなに綺麗だったっけ?と感動が大きくなる。

今の世の中、技術が進みすぎて、スクリーンの中が現実よりも美しくなりすぎたことが問題なのかもしれない。

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