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「機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン」がレジェンドたる理由を5000字で語る

見出し画像は以下より引用しています。https://www.jp.playstation.com/software/title/slpm65076.html

長寿シリーズの元祖となったロボットバトルアクションゲーム「機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン」について好きなだけ書く。

ぶっちゃけ先人によって既に語りつくされた内容だとは思うので、どんなゲームかだけ知りたいなら↓を読もう。

21/01/01追記:
これを書いている私は銅プレぼっちシャフ勢なので、駆け引きとか連携とかコミュニティについて分かる人がいたら書いてほしい。500円ぐらいだったら払いますよ!

はじめに

これは、人型ロボットを操作して戦ういわゆる「ロボゲー」のみならず、チームバトルアクションゲームの中でも圧倒的な人気を誇る、「機動戦士ガンダム vs.シリーズ」の原点たる「機動戦士ガンダム 連邦vs.ジオン」(以下連ジ)を褒めたたえる記事だ。

まず最初に言っておくと、今プレイするならば最新作の

「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2」
「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブーストON」

を先に試すべきだ。過去作のほうが面白かったとかそういう趣旨の記事ではなく、当時どれだけエポックメイキングだったかを語るのが目的だ。

どうしても連ジをやってみたい場合、未経験ならば家庭用の

「機動戦士ガンダム ガンダムvs.Ζガンダム」

を中古で買うのがまずは早いと思う。(「機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム」とは一字違いで全然別のゲームだから注意)

21/01/01追記:
最近知ったのだが、連ジでの対戦はまだ続いているようなので「連ジで対戦がしたいんだよ!」って人は是非。

当時の時代背景

初代連ジの稼働は2001年。この時代で対戦に耐えうるロボゲーといえば

・電脳戦記バーチャロンシリーズ
・アーマードコアシリーズ
・MechWarriorシリーズ

があったが、いずれもマニアックな人気に留まっていた。いや、ロボゲーの中では圧倒的な知名度だったのだが、連ジのせいで今考えるとマニア人気にしか思えなくなったと言った方がいいかもしれない。

また日本においては、対戦ゲームといえば一対一でプレイするものだった。海外でも「CounterStrike」の登場によってFPSの主流がチーム戦に移行し始めたあたりというところか。

アーケードでの対戦ゲームという志の高さ

まず出発点から凄い。ガンダムを題材にした対戦ゲームをアーケードで出したのだ。

対戦メインのゲームをアーケードで出すとなると、今でいうe-sports的なガチ対戦に耐えうるものを目指すということだ。高いハードルである。連ジ以前のガンダムゲーというと家庭用がほとんどで、対戦モードがあっても正直おまけ程度のものばかりだったと思う。

当時は無謀な挑戦にしか見えなかったのではないかと思うが、知っての通り、連ジは斬新なシステムと丁寧な作りで大好評を博し、その後の長寿シリーズの始まりとなった。

ただこの時点では、「座る台によって決まった陣営ごとに、原作での機体しか使えない」「ジオンの機体のほうが明らかに強い」(ガンダム&GM vs シャア専用ゲルググ&シャア専用ズゴックと絵面からして不公平)という問題があり、対戦ツールとしてはまだまだな部分もあったといえる。

画期的なコスト制

使用MSの「コスト」のシステムが画期的であることは誰も疑わないだろう。強いガンダムと弱いGMそれぞれに役割がある。ウォーシミュレーションなどでは当たり前の概念だったが、対戦アクションにこれを導入したのはこれが初めてのはずだ。

そして、アーケード向けに製作されただけあって、コストと機体性能もちゃんと2v2アクション向けに調整されている。原作設定ではガンダムの製造コストはGMの20倍、「ギレンの野望」シリーズでも10倍程度に設定されているが、10倍も性能差がある機体どうしの対戦アクションなど確実に寒い光景になる。今作では375と200で2倍にも満たない差となっていて、性能もコストに見合っていつつも、パイロットの差では覆る可能性がある、といういい塩梅になっている。

さらに、「生産にコストがかかる」という概念を「撃破されると戦力ゲージが減少し、即座に再出撃する」という形で表したのも見事だ。現実でも原作でもまずありえない表現なのだが、撃破されたプレイヤーを退場にしてしまうと次のゲームまで待っていなければならない。全員がプレイを続けられるという点で遊戯性を高めている。

「戦場の絆」や「ガンダムオンライン」でも使われているコスト制。これを生み出したというだけで歴史に名を遺す作品なのだ。

標準的な入力デバイスによる、シンプルだが奥深い操作

次に操作方法だ。まず入力デバイスが8方向レバー+ボタン(いわゆるアケコンの構造)で、アーケードでは一般的なアップライト筐体で導入できる。同時期でアーケードのロボゲーとなると、

・電脳戦記バーチャロンシリーズ
・機動戦士ガンダム バトルオペレーティングシミュレーター
・機動戦士ガンダム戦場の絆

とツインスティック(+α)を使用したものばかりだ。人型ロボットでないものを含めた3D対戦アクションモノでも

・サイバースレッド
・サイバーコマンド
・ゾイドインフィニティ

とツインスティックばかりである。時代が下れば「BORDER BREAK」と「フィギュアヘッズ エース」というTPSが登場するが、いずれも筐体は(実質)専用のものだ。

筐体が普通でいいと、スペース(と、おそらく価格)という点で設置のしやすさが段違いになる。2v2で4台必要なので格ゲーに比べれば2倍だが、同時期の「バーチャロンフォース」の専用筐体とは比べるべくもないだろう。置いてある店舗と台数が多いということは、プレイ人口に直結する。

そして入力デバイスが標準的ということは、初心者にとって敷居が低いということだ。格ゲー等をプレイしているアーケードゲーマーならば、すんなり入っていける。それまでゲーセンに縁のなかった層にとってはアケコン操作でも苦戦していたが、家庭用への移植では圧倒的に有利に働き、家庭用からゲーセンへの流入という現象もみられていた。

操作方法そのものに関しては「シンプルな操作により、複雑化した格ゲーについていけなくなった層を取り込んだ」という意見が多い。確かにボタン連打で火力自体はほぼ最大を出せる(ズンダとかは置いといて)し、移動まわりもアクションゲーム慣れしていればすぐ一通りできるようになるだろう。

しかし、私はその裏にある奥深さに感銘を受ける。入力の仕方によってステップの長短を使い分けられるとか、射撃硬直中は歩きとジャンプは可能だがステップと空中ダッシュはできないとか、そういう挙動の仕様を理解しているかどうかで動きのスムーズさが全然変わってくる。初心者と経験者のプレイでは、本当にモブとベテランパイロット的にMSの動きが変わる。アクションゲー慣れしていないガンダムファンが、ゲーマーの動きを見て本当にアムロを見ているような顔をする光景が見られたのだ。

すなわち、皆に「カッコよくMSを動かして戦える」(「MSが勝手にカッコよく戦う」ではない)願望をかなえさせたツールだということだ。

3人称視点で描かれる搭乗MSの自然なモーション

カッコいい、といえば連ジは3人称視点のゲームだ。ロボットに「搭乗」していると考えると不自然なことなのだが、ロボゲーでは珍しくない。なぜなら、

カッコいいロボットに乗っているのにそれが見えないのは勿体ない

搭乗しているリアリティよりも、ロボットが戦うヒロイックさを重視する、という点で1人称のMechWarrior等とはコンセプトが全く違う。

さらに、後退時にも後ずさりするのではなく、相手に背中を向けて歩く。頭部も相手のほうを向いていないが、視点は相手を向いたまま。原作での操縦系等を考えるとありえない動作なのだが、

・自機の正面が画面に写る
・旋回動作が挟まるので、後ろ歩きやカニ歩きで済ませるより躍動感がある

というメリットがある。ここがシミュレーション寄りのアーマード・コアとの違いだといえるだろう。

ここまではバーチャロンと共通しているのだが、大きな違いがある。

自機の向きと、敵の位置関係に応じた射撃動作の処理

いわゆる射角と振り向き撃ちの話だ。例えば敵が斜め前や真横にいるのならば、腕だけを動かして狙ったほうが機体の姿勢を乱さずに済むので良い。むろん現実の歩兵はしない動きだが、ロボットなので関係ないということなのか原作アニメでも頻繁にやっている。一方で、敵が真後ろにいるのならばいったん振り向くのが自然な動きだろう。

バーチャロンの場合はジャンプやダッシュ攻撃など、機体全身が決まったポーズに固定されるタイミングが多い。歩きビーなどで上半身だけ動かして狙いをつけることもあるが、銃身に対して斜めにビームが出たりする。これは、ゲームデザインの関係上これでも問題ないからだ。スティックガチャガチャして機体をシャカシャカさせるのが楽しいのである。

一方、連ジはこの辺えらくクオリティが高い。敵の居場所に応じてさまざまな態勢で射撃を行うのだが、全て自然な出来だ。特にシャア専用ゲルググなどは片手と両手持ちが切り替わる。言葉で説明しても伝わらないので動画をちょっと見てほしい。

↓一人プレイ動画。量産機だからかおとなしいモーション。

↓ネット対戦動画。20:43あたりから片手撃ちと両手撃ち。

これによって1stガンダムのイメージに合わせたもっさりした動きにも関わらず、動かしていて楽しいゲームになっている。連ジは「格ゲーのスピードインフレをリセットして新規を呼び込んだ」と言われることもあるが、リセットした上でゲーマーの支持を受けたのはそれだけの理由があるのである。

MSと武装の丁寧な個性付け

モーションの話だが、格闘のモーションもMSごとの個性が表現されていて素晴らしい。量産機は地味な一方、エース機では殺陣のごとく大立ち回りをする。単にコストの高低だけで決めているのではなく、安い部類のグフもランバ・ラルの搭乗時を意識してか空中ダッシュ格闘でアクロバティックな動きを見せてくれる。(ただ、初代連ジではガンダムのモーションが一部GMと同じでヘチョかったりして、DXで改善された)

格闘モーションだけでなく、機体ごとに動作時の挙動が細かく差別化されている。シャア専用機は当然量産機よりも機動性が高い。それを単純に速度が3倍だの1.3倍だのではなく、ジャンプボタンを押してから離陸するまでの踏ん張る時間(ジャンプ前硬直?)が短かったりとかそういうところまで調整してあるのだ。例えばコストの高い機体ほどステップで長短の自由が効くようになっているが、シャア専用ザクは高機動でも所詮ザクなので短いステップしかできない。(そもそもコストも安い)

あと「敵との位置関係に応じてそのまま撃ったり一旦振り向いて撃ったりする」と書いたが、振り向かずに撃てる限界の角度(限界射角)が武装によって異なっている。例えばビームライフルは広くてバズーカは狭い。武装のサイズによる取り回しの良し悪しがこれで表現されている。

ガンダムと言えばビーム兵器だが、これらは全部原作でもおんなじにしか見えない。

・ビームライフル
・ビームスプレーガン
・ズゴックの腕部メガ粒子砲
・ゾックの頭部メガ粒子砲
・ゾックの胴体部メガ粒子砲
・ジオングの頭部メガ粒子砲
・ジオングの腕部メガ粒子砲

従来のガンダムゲームではせいぜい威力が違う程度で、全く同じにされてしまうこともあったが、この作品では弾速と誘導性を変えることで脅威度に差をつけている。誘導性といっても、グネグネ曲がるのではなく斜めにずれていくような動きをしてきて、思ったよりは不自然でなかったりする。

これらの作り込みにより、単に「見た目と性能がMSなキャラを操作するゲーム」ではなく、真に「MSを操作するゲーム」となっているのである。

最後に

ここまで読んでくれたあなたはきっとVSシリーズのファンか、少なくとも対戦ゲームに興味のある人だと思うが、

ルールとマナーを守って楽しく対戦しよう!

台バンしたり煽ったりする悪い子は将来負け組になるぞ。

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