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愚痴聞き屋in盛岡まとめ

2023年11月3日(祝金)、岩手県盛岡市にて愚痴聞き屋をおこないました。
ちょうど一年前に長野を訪れてくれた「岩手の愚痴聞き屋」×「長野の愚痴聞き屋」のコラボレーションです。

僕らにとって岩手は初上陸の地。盛岡駅周辺は少し離れたところにもたくさんの美味しそうな個人飲食店があり、三連休もあってか人通りが多く賑わいを感じました。
また、街の中を東北地方最大の北上川が流れ、その向こうに壮大な岩手山が顔を出します。NYタイムズの「2023年に行くべき52か所」2位に選ばれたこの盛岡市は、自然と賑わいが程よく融合した、歩いていて気持ちの良い街でした。

そんな盛岡の人たちは、愚痴聞きを始めてみるとなかなか話しかけてこない“シャイ”さを感じたものの、最終的には10人ほどのお客さんとお話することができました。長野では最近客層として少ない10代の高校生や大学生らの愚痴を聞くことができ、新鮮さを吸収させていただきました。

とある男性(27)に、「この活動の目的は??」とひたらすら問われました。我々もよく聞かれる質問であるため、ある程度の回答は用意しているのですが、それでも納得せず何度も聞いてくるお客さんと対話していると、自分の活動の意義についてあらためて掘り探って考える機会となりました。
岩手の愚痴聞き屋kaiさんは、「目的がないことを主体的にやることの価値」を大切にしていると僕に話してくれました。
われわれの行動は、時代が進むほどにコスパ重視となり、自分にとって意味があることしかやれなくなってきていると感じます。多くの情報やエンタメ、やるべきタスクに埋め尽くされていることで、自分の行動を取捨選択して生きていかなければなりません。コスパ重視の人生は、映画配信サイトのAIのように、自分の好みにあったもの、自分が興味を持ったもの以外は選択肢に入らなくなってしまいます。
その中で、あえて自分の興味の範囲外のもの、普段の自分には接点がないもの、そして、目的や意味がはっきりしていないものを、意識的に自分の生活にほんの少しでも取り入れることは、きっと価値があることだと僕も感じております。そういったものとの関わりや行動がきっかけで想像していなかった人生が広がっていくことの楽しさが、僕はあると信じています。
そういったものごとや人との出会いが愚痴聞き屋にはあり、そして同時に、愚痴聞きをする意味なんてものはあまり考える必要がないのかもしれません。

岩手の愚痴聞き屋の二人


また別のとある客。大学生の男性2人組(19)。そのうちの一人が、興味がある女性をなかなか誘えないと言うことで、話をひととおり聞いたあとに、この場でLINEで誘ってみよう!とちょっと強引めに促してみました。すると我々の勢いに負けて、彼は僕らが見守る中、ご飯に誘うLINEを送ることができ、おそらく晴々とした顔で帰っていきました(笑)
その人の話をよく聞いて、様子をよく伺わなければいけないですが、ときにはこういった行動の後押しが、人には必要な時があると感じます。
他人の人生の責任を負うことはできないので、適当な気持ちでアドバイスや促しをしてはいけないと思いますが、なにか一歩踏み出す勇気が出ないときに、その恐怖を取り払うことができるのは、もしかしたら周りからの無責任な後押しによる安心感なのかもしれません。
このお客さんは、恋愛以外の愚痴や悩みもたくさんありそうでしたが、愚痴聞き屋がきっかけで生まれた彼の行動が、なんとなく他のことにも良い影響を及ぼしてくれるといいなと思いました。

20時頃から始まった盛岡駅での愚痴聞きは23時半頃終了となり、翌日は岩手の愚痴聞き屋さんに車を出してもらい、紫波町、花巻市、遠野市、金ケ崎町、平泉町とロングドライブで観光を楽しみました。(一日でこんなに周って楽しめたのが信じられません。)
愚痴聞き屋をやっていたからこその出会いで、こうして岩手を訪れ、岩手の人たちと話し、岩手が大好きになったことが、それこそ想像していなかった人生の広がりであり、本当にありがたいことだなと思います。
最近、愚痴聞き屋をやっていて「地域の魅力」について考えることが増えました。路上に座り、その地域でごく普通に生活している人と話すと、じんわりとその地域のことが好きになっていきます。
僕らは長野で7年もこの活動をしていますが、以前よりも長野がなんとなく好きに、身近になっているように感じるのです。その地域に住んでいるのに「身近」というのも変ですが、きっと、その地域に存在する他者との関わりこそが、その地域につながりを感じる指標なのだと思います。
その地域にどんな先進的な施設があって、どんな観光資源があって、よりも、その地域の誰かが頭に思い浮かぶかどうかが、その地域の魅力になるんだろうなと思います。

平泉町
紫波町


岩手の愚痴聞き屋misakiさんとkaiさん、こうして遠い地で同じ愚痴聞き屋をやっているということが、僕らの気持ちの支えになっています。これからも、どうぞよろしくお願いします。またお会いしましょうね。

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