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【映画感想文】リトル・マーメイド

はい、しばらく映画館に行けてないので(いや、行ってはいるんですが、ポッドキャストの『映画雑談』の方との兼ね合いでこっちに書けないのを観てたりしますので。)、先日、4歳の娘の映画館デビューとして観たディズニーの新作『リトル・マーメイド』実写版の感想です。

えー、うちは奥さんの趣味により何か月かに一回は舞浜のディズニーリゾートに行く家族でして(僕自身はもともとそれ程興味なかったのですが、ディズニーさえ行ってたらご機嫌という奥さんなので、元来いろんなところ行きたい派ではない僕にとっても好都合というか。うちの奥さんマニア度が高いので、ディズニーランドのマニアックな情報と共にこちらは何も考えずとも最適なコースでディズニーリゾートを堪能出来るという、そういう利害が一致しているわけです。ですし、やはり、そうとうハイ・クオリティーなエンタメ施設ですよ。ディズニーランドって。ベンチに座って植え込み見てるだけでもそれなりに楽しいですから。)、娘も産まれて半年後には(いや、ぶっちゃけ産まれる一月前にも行ってますからね。胎児の状態で。)パークデビューしてるという、洗脳とは言わずとも刷り込みによるエリート教育が施されておりまして、既にディズニーキャラクターの名称なども僕の何倍も記憶しているくらいなんです。

で、その流れの中で当然ディズニープラスにも入ろうというのを僕から提案するわけですが(もちろん、真の狙いはそれに伴いネトフリやU-NEXTなどの他のサブスクにもなし崩し的に入ることでありまして、それは見事に成功するわけです。)、娘はディズニーミュージックのショーケース的な番組やそれぞれのキャラクターのショート・アニメーションは観るんですけど、長編の映画はあまり観たがらないんですね。エルサもベルもアリエルもラプンツェルもあんなに好きなのに長編映画だけは頑なに観ようとしない(なんですが、観るとハマるらしく『トイ・ストーリー』シリーズと『シンデレラ』は一時期日に何回も観てました。)。ただ、たまに行くディズニーリゾートのホテルのラウンジなんかで流れてるディズニーアニメはいつも食い入るように観てるんです。「これ、家で観れるから家で観たら。」というと「嫌だ。」と。なんでか聞いてみたところ、家で観るのは怖い。ホテルのラウンジで観るのは(他の人と)みんなで観てるからいいんだって言うんです。ちょっとよく解らない理屈ですが(どうやら、長編映画を観るのはひとつの試練のように感じているようで、家で何気なく『シュガー・ラッシュ』を流していて、それを娘も観てたんですが、1/3くらい観たところでハッとして、お母さんに「『シュガー・ラッシュ』観れたよ。」と自慢げに報告してました。)、4歳の子供の理屈なんていうのは大概が大人の思考を超越しているのでそういうものかと思いつつ、このままではディズニープラスに登録している理由が希薄になり奥さんから退会宣言が出されないとも限らない(そうすると、マーベルもスターウォーズも20世紀フォックスの映画も観られなくなってしまう。)。それはマズイ。ということで、それならちょうど『リトル・マーメイド』の実写版が公開するから行ってみる?みんなで観るやつだよ。と言うと、急に目を輝かせて『行く!』と(これで家でも長編を観るようになってくれればとりあえずの危機回避となるわけです。)。映画館デビューは小学校に上がってくらいかなと思っていたので、ちゃんと座って2時間観れるかなという不安もありましたが、本人のやる気に任せてチャレンジすることにしました(ちなみに僕の映画デビューは、東映まんがまつりとかああいうのを抜かせば、父親に連れられて行ったクリストファー・リーヴ版の『スーパーマン』でした。映画を観る前にテレビで『スーパーマン』特集の番組を見たんですけど、その中に、赤ん坊のスーパーマンが乗せられた隕石が落ちてきた農場の人のインタビューがあって、それを真に受けて、そのあと何年間かはスーパーマンは実在するって信じてました。なので、僕の中では逆にクリストファー・リーヴ自体がいまだに架空の人物感あるんですよね。)。

ということで、全然映画本編の話になりませんが、結果(エンドロール中に走り出したりはしましたが)135分観きりました(オリジナルの『リトル・マーメイド』が83分なのに対してどこがそんなに長くなったのかよく分かりませんでしたが)。初鑑賞で135分はちょっと長いかなと思ったんですが、そこはさすがディズニーと言いますか、他にも何人か娘と同じくらいの年の子が来ていましたが誰ひとり奇声など上げることなく上映終了(奇声や悲鳴、なんなら場内を走り回る姿なんか期待してたんですけどね。)。まずはとにかく絵が楽しい。パークやその他のコンテンツなんかで作り上げたディズニー的世界観と、実写版ということでリアルにした現実の世界観を最新のCGで繋ぐ手法は見事で、アニメとも実写ともつかない奇天烈でキャッチーな世界が続くんです(これ、ちょうどピクサーがアニメ側からその境界線を攻めて来てるのの反対で、アニメ・キャラクターなのに演技してるように見える『トイ・ストーリー』に対して、実在の人間なのに描かれたキャラクターのように見える不思議な感覚の映画に今回の実写版はなってたと思います。)。

そして、黒人俳優のハリー・ベイリーさんがアリエルを演じることで物議を醸していた本作ですが、はなから人種の概念がない4歳児にはなんの違和感もなかったようで。ただ、実際は娘も白人赤毛のアリエルをアリエルとして認識していてアリエルの絵を描く時はそう描くんです。ここら辺どうやって受け入れているのかは気になるところですが、上半身が人間で下半身が魚みたいになってる女の子で、人魚なのに人間界に憧れてるのがアリエルっていうくらいの認識なんでしょうか。うーん、子供のおおらかさを見ているとこのくらいの適当な認識でいいような気もするんですよね。実際、僕もさほど違和感なかったです。そもそも人魚なんで。人魚に人種の制限ありませんし、7つの海というセリフが劇中で出て来たときに、それぞれの大陸を統括してる神のような存在が人魚姉妹なのかなと考えたら物語上の設定としてもしっくり来ました。あ、なんですけど、一点凄く引っ掛かったところがありまして、白人のエリック王子の母親である筈の女王陛下が黒人の俳優さんなんですね。これだと今回の『リトル・マーメイド』の世界全てがファンタジー設定になってしまって、せっかく黒人のアリエルだってあり得る(ダジャレじゃないですよ。)ってメッセージが、"ファンタジーの世界なら"っていうカッコ付きになってしまって、それは良くないんじゃないかと思うんですよね(何の為に実写版にしてるのかって話です。あ、で、ちなみにうちの奥さんのこれを飛び越して気になったところは、アリエルがアースラと契約を交わすシーンで、オリジナルでは紙の契約書にペンでサインするんだそうなんですけど、それが鱗を一枚渡すっていう風に変わってたんですね。このペンというのがですね、ディズニーショップでグッズとして売られてるくらい重要なアイテムなんだそうで。なぜ変えたんだ!とお怒りでした。今度は鱗を売るつもりかと。笑)。

娘が唯一飽きてたのが、絵的に面白かった海中のシーンからアリエルが陸に上がって普通の絵面が続いてた頃なんですけど、確かにあの辺りは王子とのイチャコラシーンが続くのでちょっとダレるんですよね(お父さんもちょっと飽きてました。)。その後、ヴィラン、アースラの巨大化で気を持ち直してラストまで。オープニングのディズニーロゴで拍手したり、アースラがアリエルに魔法を掛けるシーンで膝掛け毛布を頭から被って見ない様にしたり、初映画館はかなり楽しんだようでした。

ということで、今回は作品の感想というより、"人生で初めて映画館で映画を観る"という貴重な体験のレポートのようになってしまいましたが、一回きりのことなのでお許しください。娘の『リトル・マーメイド』評ですが、135分観きったくらいには楽しかったようなのですが、鑑賞後映画館でグッズを欲しいとも言わず、気に入った他の作品(『トイ・ストーリー』や『シンデレラ』や『となりのトトロ』など)のように家でまた観たいとも言わないので、まぁ、そのくらいのお気に入り具合だったようです。ここら辺も子供の視点は非常にシビアで適格だなと思いました(ちなみに、お父さんのお気に入りシーンは、トリトン王役のハビエル・バルデムが甲冑着けたまま海面に上半身だけ浮いてきて良さげなこと話してるシーンでした。シュール過ぎて。)。

※後日、娘に「リトル・マーメイド面白かったね。」と聞いたら非常に的確な評をしていたのでご紹介します。娘曰く「面白くはないよ。かわいかっただけ。」とのこと。これ、たぶん、映画を観た感覚として"面白い"という感情とは違ったというのと、アリエルがかわいいだけで充分というののふたつの感想が入ってると思うんですけど、確かに今回のアリエル、地上に上がってからは自分で何もしないんですよね。王子と再会してからはただ可愛いだけになっちゃって面白くはないと。でも、それでも可愛くて良かったねと。なかなか的確だなと。


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