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#38 -自分の思い通りにいかない。ということが楽しめると生きるのがもっと楽しくなる。

ヨメに、旦那に〇〇してほしかったのに!友達には〇〇を期待していたのに!息子・娘には〇〇をやってほしかった!

自分以外の誰かと関わりながら生きていると常に相手に何かを期待するのは人間の性だと思う。

相手にしてほしいこと
言ってほしいこと
考えてほしいこと

自分の理想の(リ)アクションが誰にでも設定されていて、その期待どおり、自分の思った通りにいかないとガッカリしてしまう。イラついてしまう。悲しくなってしまう。

ボクも昔はそうだったと思う。

結婚するんだったらこんな人がよくて・・・とか、
自分と似た考え方の人で・・・とか、
その人はこういうことをボクにしてくれて・・・

と自分の中での勝手な理想の相手を妄想していた。

彼女として付き合ったひとたちもそんな理想の相手に近い存在だった。

そんな自分が今、1人の女性と結婚し、付き合ってるころからも含めると10年以上、人生を共にしている。

自分で言うのもなんだが、ヨメはボクが昔描いていた理想の結婚相手像からは遠く離れた所にいるヒトだった。

ヨメはことごとく、ボクの予想を裏切る。

でも、


いい意味で。(大半は・・w)


ボクの学習能力の低さが原因なのかヨメの思考回路が常に1手2手、先を行っているのか、そもそも走っているトラックが違うのかは、わからないが、10年経った今でも、

それ、やりますかい!!

ということをしでかす。

でもその度に、

この人と結婚してよかった。

と思えるのだ。

だって、そうじゃないとつまらないじゃないですか?

もちろん、核になるようなところはしっかり共有しているのだけど、よく考えると一緒なところよりも違ったところの方が多い気がする。

自分だったら絶対しないチョイスをしてくれるのもヨメ。
自分だったら見ることもなかった景色を見せてくれるのもヨメ。

マンネリ化を防ぎ、意外性を常に維持できるのはお互いの違いがあってこそだと思う。

長く連れそった相手は言葉を交わさずとも意思疎通ができるという。
思考のシンクロもできると言われている。
阿吽の呼吸ともいう。

台所で一緒に料理をしていて横にいるヨメに手をさし伸ばすボク。

んっ。 (前を向いたままヨメの方へ手をだしてフライ返しを要求する)

はいっ。 (それを察知したヨメはボクに手渡す)

ん? (なにかおかしいことに気づくボク)


それはハエたたきだった。

ヨメはコンロの近くに一時停止しているハエに気づいたのだった。
ボクにはまったく見えてなかった世界だった。

そうそう。この網目が油をよくきって・・・

とノリツッコミをしたかったが、ノリツッコミの文化のないエストニア人には馬の耳に念仏なので、面白気もなくハエの始末に専念する。(ちなみにハエは生きながらえた)

自分にはない視点をいつも気づかせてくれるヨメ。10年も一緒にいて飽きないのはきっとそういうところなんだろう。

そしてそれは人だけに言えることではない。

ボクが畑やガーデニングを楽しんでやれているのも、
植物たちはいつもいい意味でボクの期待を裏切ってくれるからだ。

苗が大きくなっていき、

多分、これとこれがたくさんの実を成らせるだろーなー

と思っていたら、全然予想していなかった苗が最多の収穫をもたらしてくれたりもするし、去年は全然実を成らせなかったリンゴの木が今年はすんごくおいしい実をならせることもある。

超期待できるニンジンを引っこ抜いたら実は極短だったり。

毎年作る自酒(じざけ)も当たりハズレがある。

これらを商品として売ろうとすれば、既定の形に仕上がるように育て、自分の思う通りに育てなければならなくなる。レシピはミリグラム単位で調節し、アドリブなどは禁止になる。

そんな面倒で面白味のないことはボクはしたくないのだ。

結果が予想できないから毎年、

今年はどうだろう!?

とウキウキした気分でいられるのだ。

毎朝のコーヒーだって、ハンドドリップが上手くいった時はそれだけで一日が楽しくなるし、失敗した日は、今日なんてどうせっ!と投げやりにしたくもなる。


旅をしていた時もそうだった。

1人旅だったにも拘わらず、独りになったことは一度もなかった。

素敵な旅人に出逢っては、え?じゃあ一緒にいく?とか、付いていってもいい?と次の目的地が変更することはしょっちゅうだった。

旅に出る前に世界地図に定規を使って書いた旅のルートは、旅を終えた後のものと比べると似ても似つかぬものになっていた。

自分が「見たい!」と思っていた世界遺産などよりも、「一緒にいたい」と思える人と見た景色や共にした経験の方が何倍も価値があったのだった。


いつからか、自分の思い通りにいかないことも楽しめるようになった。むしろ自分の想像内に収まる結果には興味がなくなっていた。

予想外の出来事を原因にしてしまうのではなくきっかけにすることができれば人生もっと楽しくなると思うんです。

自分の思い通りにいかない時って、新しい発見をするチャンスなんです。

多くの人にとって、人生って自分の思い通りにいかないことの方が多いんじゃないでしょうか? だとしたら、その都度ガッカリするのではなく、ものごとを違った角度から見るチャンスだと思って、前向きにとらえていくと日々のストレスも減り、相手側が見ている世界も垣間見れてよりよい人間関係が築けていけるハズなんです。


フライ返しでなくハエたたきを渡されても、

ありがとう。

と言えるゆとりが心にあれば、生きていくのが今より少しだけ楽しくなりますよ。



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