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【読んでみた】ディス・イズ・ザ・デイ(津村記久子)

俺達のJリーグが再開延期、そしてビジター席を設けない方針が出てきましたね。いかがお過ごしでしょうか?

私はJリーグ、そして柏レイソルの試合があることは当たり前ではなかったということに衝撃を受けつつ、時に闇落ちしかけつつ、素敵な他サポさんにお誘い頂いて飲みに出かけて刺激を受けたり、いっそこの際だからとインプットとアウトプットにチャレンジしてみたりしています。

そんなわけで今回は読んだ本のレビューでも書いてみようかと。
本の感想を書くなんて小学校の読書感想文以来だ(笑)

本の概要

読んだ本:ディス・イズ・ザ・デイ
著者:津村記久子
出版社:朝日新聞出版
価格:¥1,760

とにかくリアリティがすごい

ストーリーとしてはサポーターをテーマにした群像劇で、舞台は日本のJ2をモデルにした国内2部リーグ。日時はリーグ最終節の一日。オムニバス形式の全11話です。

1話につき1試合を取り上げ、ホーム/アウェイそれぞれのクラブのサポーターが登場。つまり1冊の本の中に11試合22名のサポーターが主役として出てきます。
そして各ストーリーの中で様々な背景を持つ22人の「サッカーと生きること」「クラブとともにあること」の様子が描かれています。

強調したいのはとにかくサポーターやリーグの描写がリアルなこと。Jサポあるあるが各話に登場します。読んでいて「これ自分のクラブみたい」と思う部分もあるだろうし、「この登場人物●●さんみたい」って思い浮かぶ人もいるのでは?

自分を立たせるもの

個人的に一番グッときたのはあとがきの↓の部分。

遠野から鹿児島まで、日本の各地のさまざまな人々の話を聞いて回ることは、その土地に生きること、伝統芸能に携わること、地元のチームを応援することなどにまつわる「誇り」という感情の大切さを考え直す機会でもありました。苦しいときもそうでないときも、人間を立たせるものは他でもない誇りなのではないか、また、その土地に生きる誰かに誇りをもたせるということへの一助を、Jリーグや他の地域密着スポーツのチームは担っているのではないかと、一連の取材を通して考えるようになりました。

ここに一番惹かれたのは、サポーターとしての活動(フリーペーパーの方含む)を通じて自分自身が好きなものを好きだと声を大にして言えるようになったり、Jリーグ(柏レイソル)を通じてある種の世間が思う「こうあるべき」から解放されたりした経験があるからでしょうか。

実際サポーター活動を通じてアイデンティティを確立した人の話やブログ記事はちょくちょく見かけますよね。

サポーターの数=人生の数

あとは全編を通じて、サポーターとひとくくりにいってもサポーターの数だけサッカーを観るようになったきっかけや置かれた境遇、サッカーとの関係性、そして人生があることがよくわかります。

私は実際に受け入れるかどうかは別として「多様であることを知る」行為は必要だと思っていて、この本はそんなサポーターの多様性を知るにはぴったりな本だと思いました。

次読む時は人物相関図を自分で作りながらじっくり読み込みたい、そんな作品です。


※ところで朝日新聞連載時は「最終節に向かう22人」ってサブタイトル付いてましたよね?

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