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「ちょっとゆっくりなお子さんです」の本当の意味

IQ60~70あたりの「軽度」のお子さんに対してよくいわれるのが、「ちょっとゆっくりなお子さんです。3割ぐらい幼いと思って接してあげて」というような言葉です。

保護者からお話を伺うときにも、「うちの子はゆっくりなだけで……」とおっしゃる方がいます。でも、その「ゆっくり」という意味がどれだけ理解できているかは正直、わかりません。

「ゆっくり」という意味をはき違え、「発達はゆっくりだけど、いつかは追いついて普通になる」、「定型発達だと20歳で成人だけど、この子はゆっくりだから30歳ぐらいで成人とおなじようになる」、そのように考えている人も少なからずいらっしゃいます。

しかし、3割幼い定型発達のお子さんと、発達障害の特性のある子どもと、接し方を同じにするのは賛成できません。3割幼い定型発達のお子さんの場合、日常生活の中でさまざまなことが自然と身についていきます。ところが、発達障害の子はそうはいかないのです。

じつは、「ゆっくりなお子さん」の本当の意味は、「3割幼い」のではなく、定型発達に比べて「3割学び取ることができない」という意味です。一般の子が「10」学べるところを、このお子さんは「7」しか学ぶことができないということなのです。

そうなると、学習する情報量が多くなればなるほど、その差が広がっていくことになります。10個の3割減だと3個で済みますが、100個なら30個です。率で考えれば同じでも、総量で比較するととても大きな差になってしまうわけです。

―『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』ルール6 「ゆっくり」は自然には身につけられない情報量のこと より

◆本書の紹介◆
発達障害の女の子の保護者や支援者が気をつけるべき点や、
知っておくべき情報などを全6章、「47のルール」としてわかりやすくまとめたのが本書です。

1章 診断や医療機関の上手な使い方について
2章 親としての心構え、親のとるべき行動
3章 日常生活での支援と療育について
4章 健やかな生活を送るための学校選び
5章 女の子に必要な「学び」-思春期と性教育
6章 療育支援Q&A
   「何度注意してもやめてくれません?」
   「プライドが高くて注意するとパニックになります」
   「新しい場所や新しいことが苦手です」など。

豊富な経験や、専門家からのアドバイスをもとに著者が作りあげてきた「発達障害の女の子たちが幸せに生きていくためのノウハウ」です。
ぜひご活用ください。

―藤原美保(Fujiwara Miho)

籐原さん250

健康運動指導士、介護福祉士。株式会社スプレンドーレ代表。エアロビクス、ピラティス、ヨガインストラクター等フィットネスのインストラクターとしてスポーツクラブ、スポーツセンターでクラスを担当。発達障害のお子さんの運動指導の担当をきっかけに、彼らの身体使いの不器用さを目のあたりにし、何か手助けができないかと、感覚統合やコーディネーショントレーニングを学ぶ。その後、親の会から姿勢矯正指導を依頼され、定期的にクラスを開催。周囲の助けを受け、放課後等デイサービス施設「ルーチェ」を愛知県名古屋市に立ち上げる。

100組以上の発達障害の女の子とその保護者をサポートしてきた経験を踏まえ、実践の場からの声を届けるために、『発達障害の女の子のお母さんが、早めに知っておきたい「47のルール」』を執筆。



想いを込めて作った書籍を応援してもらうことに繋がり、大変嬉しく思います。 また本が売れなくなっているというこの時代に、少しでも皆様にお伝えしたいという気持ちの糧になります。