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「今日を終えることが出来たなら、もう90点」

 私が大学院生であったときのことである。初めて国際学会での研究報告を控えていた私に、ある先輩がかけて下さった言葉がある。

「無事に開催国に入国できたら80点。自分の研究報告を予定時間通りに始めることができたら、もう90点ぐらいの気持ちでいたらいい。」

当時の私は、うまく発表しようと思うばかりに、自分にできることを遥かに超えるレベルを自分に求めてしまい、自分で自分の首を締めていたのだろう。そのことを自覚したら、とても気持ちが楽になったことを今でも覚えている。シンプルに今時点の自分にできることをやれば良いのである。

 以後、緊張するようなイベントを目の前にした時は、この言葉を思い出すようにしている。

就職活動のための面接に臨むにあたっては、面接開始時刻前に会場入りできたらもう90点。

博士論文のディフェンスに臨むにあたっては、時間通りに発表を始めることが出来たらもう90点。

 最近は日常生活で緊張することが増えたように思う。おちおち風邪もひくことが出来ない。仕事をするにしても、第一声は「感染防止を徹底」である。感染者数の推移のニュースを見るたびに、離れて暮らしている家族・親族が心身ともに健康に過ごしているだろうかとすぐに心配になる。

そのような時こそ、前述の先輩の言葉を思い出すと良いと思う。

今日という1日を終えることが出来たなら、もう90点である。


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