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家に帰ったら。

自分の中にはいくつも顔があって、
家族やおじいちゃんおばあちゃんと過ごす自分と
地元の友達と過ごす自分と
東京の会社のみんなと過ごす自分と
家で1人だけで過ごす自分と。

それぞれが結構離れていて、
愛知から東京に帰る新幹線の中では
どんな自分になればいいか分からなくて
なんだかそわそわしてしまう。


おじいちゃんのお葬式は
大往生だったからか最後に会えたからか
不思議と悲しくなくて、
一個一個をちゃんと受け止めようとできた。
お家にいた頃のおじいちゃんの動画を見て
あーそうだそうだ、これだ、と思って、
いつもニコニコしてて、私とお兄ちゃんを孫として
とっても可愛がってくれてたことを
じーんと思い出した。
お兄ちゃんと撮った遺影の写真、
私たちのよく知ってる嬉しそうないいお顔だった。

そう、実家に帰ると私は
たくさん愛されて育ってきたことを
じんじんと感じる。
そしていつも、甘えん坊で自由奔放で自己中な
赤ちゃんに戻っちゃう。

そればかりか、愛されてることに甘えて
それをちゃんと返すこともできない。
誰かを優しく気遣ったり、率先して動いたり
そういうことが全然できない。

ああそうか。私は、残念なことに、
愛されるがまま思いきり甘えることが、
愛されることへの恩返しだと思ってる。

そう気がついたら涙が出てきた。
私はおじいちゃんになにか返せたのかな。
本当に、自己中の真骨頂だ。



東京に来れば、自分は成果を求められる
社会人の一員で、自分のためだけではなく
誰かのことを考えて、想像して仕事をしてる。
誰にとっても、頼りになる人でいようと
心がけながら。
一方で、自分1人だけのための家で
全ての空間と時間を自分だけのために
使って過ごしてる。
どうにも外に出るのが億劫で、
ただただソファの上で携帯をいじって、
脳みそが溶けそうと不安になりながら。


どれも全部私だけど、
時々あっちの自分を見てこっちの自分が
急に寂しくなったりする。

1人の家に帰ったら、この寂しさを埋めるために
甘い飲み物を買って自分を甘やかそうと思う。

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