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Y字路を進むと。

東京に来て5年目の春。
もう高い建物やネオンが溢れる街を見て
押し潰されそうだなぁと思うこともなくなった。

東京にも圧倒されるくらい素敵な桜並木はあるし、
狭い街の中にぐちゃぐちゃに並んでる無数の店も
中に入れば案外心休まる場所だったりする。

仕事も、5年もやれば慣れてくるもので
誰かにビクビクすることもない。

つまり、私はやっと、何にも怯えることなく
東京で働きながら一人暮らしできるようになった。


やっと少しは視界がひらけたと思ったら
急にいろんな情報が流れ込んできた。

インスタのストーリーに
週1ペースで流れる誰かの結婚式。
自分のやりたいことや昔からの夢に向かって
少しずつでも進んでいるかつての友人。
そんな大層なものは語らずとも
ただただ素敵ライフを送る同級生。

あれ。
私は今どこにいて何をやってるんだろう。
どうしてここにいるんだっけ。
この5年で何を得て、何ができるようになったの。


分かってる。みんないいところだけ外に出すし
きっと同じようにそわそわ不安になってたりする。
誰かと比べることって、本当に何の意味もない。

でも私、誰かと似たような人生で安心したいの。
そして、誰かより充実した、幸せで特別な、
得難いもののある人生が送りたいの。


何年かぶりに会う友達と、
いる場所も見てるものも違うのに。
価値観なんて環境に作られるものだから、
とっくにズレてるに決まってるのに。


いつでもありのままの自分を
受け止めて愛してもらおうだなんて、
都合良すぎるのよ。

大人って、そういうものよね。

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