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あなたにとって私もそうでありたい

3月9日、という日付を目にすると、レミオロメンの「3月9日」が脳内で再生されるようになったのは、大学生のころからだ。

初めて聴いた日のことはとても鮮明に覚えている。当時わたしは居酒屋でバイトをしていた。その日はお店がとても暇で、わたしは2階にあったお店のエレベーターホールの黒ずんだ床を、ひざをついてがしがし磨いていた。有線放送からは流行りのJポップが絶え間なく流れていて、それを口ずさみながら、ただひたすらに床を磨いていた。その時に、流れた曲の1つが、3月9日だった。

やわらかなメロディーに、思わず手がとまる。心地よく響く歌詞にしばし耳を傾ける。

瞳を閉じれば あなたが
まぶたの裏にいることで
どれほど強くなれたでしょう
あなたにとって私も そうでありたい

好きだとか、愛してるとか、大切な存在、とか、シンプルでストレートな表現もわかりやすくてよいけれど。目をつぶって大切な誰かを思い浮かべてきっとひとつ深呼吸をして「よし、だいじょうぶ」と目をしっかりと開いて一歩ふみだす、という情景がありありと想い描かれて、なんて素敵な歌詞だ、と、鳥肌がたったのを今でも覚えている。2度目にこの曲がかかった時、歌詞にあわせてわたしは無意識に目を閉じ、当時心の支えになっていた人を思い浮かべていた。催眠術にかかったみたいだった。

3月9日、という曲名を知るのはしばらく後のことだけれど(テレビの音楽番組か何かで見たんだと思う)、それ以来毎年3月9日という日付を見ると、勝手にこの曲が脳内で再生されるようになった。なんて秀逸な曲名なんだろうと、毎年思う。

今年もまたこの曲を聴きながら、ふくらみ始めた桜のつぼみに春の足音を感じ、花咲くを待つ喜びをわかちあえる人が隣にいる幸せを、噛みしめている。昼前の空の白い月は見逃したけれど。

そして、大切な人たち、夫や家族や友人たちにとって、彼ら彼女らがわたしにとってそうであるように、まぶたの裏でそっと力になれる存在でありたいと、強く強く願う。

#3月9日 #日記 #レミオロメン #旅と写真と文章と  

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