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【コラム】助走の段階からその「モード」であること #044


■左利きに取り組むハナシ


周囲に「左利き」をトライしている人が何人かいる。先日もその話になった。話を聞いていると「こんなことができるようになった」「これはまだここまで」みたいなことになる。
これ、何の話かというと「成果とプロセス」の話でもあり「モード」の話でもある。

仮に練習してお箸を左手で上手に使うことができたとしよう。
それは動きが始まって結論まで「できる」になった、ということを表している。動作と成果を習得したとも言えるし、シンプルに「できるようになった」とも言える。そして「それだけ」だ。

これは左利きだけの話ではなく、様々な「できる」ようになったことに当てはまる話をしている。


■その行為の前にある「モード」


元々左利きの人を考えてみよう。当たり前だけど最初から左手を器用に扱うことができる。
動作だけ、成果だけを見れば「左でお箸を使えるようになった人」と区別がつかないかもしれない。全く同じ、違いなどない、というように見えるかもしれない。だが何かが違う。お箸だけを左で扱うことができる人と、そもそも左利きの人とが全く同じわけがない。
何が違うのか?

モードが違う。

左でお箸を使うという動作に入る時、右利きの人は「技術を駆使しよう」「動作を意識して上手にやろう」という働きが起こる。左で箸を使うことに慣れてしまったのなら無意識で「いつもとは違う作業をするモード」に入る。心身ともにそうなる。
これが左利きの人がお箸を使う場合、「いつもと同じモード」のまま左で操作する。わかりにくければ右利きの人が右でお箸を使う時の「状態」を思い浮かべるといい。

左利きの人にとって左で箸を使うということは、体と動作の自然な流れのままそれを行う。つまり箸を使う以前の「助走」の段階から左中心の体制が組まれている。
一方右利きの人が左手でお箸を使うときは、助走の段階では右利き中心の体制が組まれていて、末端作業だけ左で箸を使う


■自分がどのような無意識の状態であるのか?によって成果の定義が全く違うものになる


食事でテーブルにつく。テーブルにつこうを一歩を踏み出したそのとき、その一歩は右利きの人が上手にテーブルにつくことができるような踏み切り方をしている。座るために椅子を引くとき、座り方、正面を向く向き方ですら右利きの人が適切に動く動作になっている。
細かいことを言えば重心が右にあり、意識も右にある。左はおまけでしかなく、普段から中心なり優位なりの状態にない。そうしてはじめて目の前の場面で左手で箸を使う

例えばこうだ。普段自分中心にしか物を考えない。自己都合を優先しなるべくめんどくさくない日常を過ごそうとする。しかしある日、家族が事故に遭った。病院に駆けつけて無事を知って安堵する。涙を流して良かっただとか、心配させるな!とか言う。ひとりになった時にやっぱり自分は家族のことを愛しているんだと深い気づきを得る。
それは果たして本当に家族を愛していることになるだろうか?

普段から自分以外の人のことを気にしていない。自分のことしか見えていない。それがこの人のモードだ。つまり右利きのモードだ。
しかしいざとなったらやる男or女だ。つまり左で箸を使うことはできるのだ。
この人は果たして左利きでもある人だろうか?それとも場面に応じて左利きを「使うことができる人」・・・普段使わないことが当たり前で必要に迫られた時だけ使うことができる人・・・だろうか?
答えは簡単にわかる。


■もう一人の自分を作り出すつもり


左利きの話では、予備動作、助走から左利きの人のようにやるといい、という話をした。ただ技術ができるようになったのではなく、その技術を扱う人と同じモードになるとこから意識してほしいと言った。

すでに違いがわかると思うけども、だから改めて言えることは技術者や成果を上げること(だけ)にコミットしている人は、人として信頼するに値しないと言える。
仕事やわかりやすい成果だけでなく、実はコミュニケーションに長けている人にも同じことが言える。それはコミュニケーションや笑顔を「上手に使うことができている」「相手との関係に不備が出ない技術を駆使している」だけということがありえないほど多く見受けられる。
モードは自分中心。技術を使ってその自分中心を促進させることに目的がある。はたから見ると人間関係が上手で、人の気持ちを考えているように見える。あるいはいい笑顔が眩しい。
だがそれは「行為の成果」であって「モード」ではなかったりする。

もしこれから何かに取り組もうと考えているなら、技術的に「できる」ようになることだけでなく、まるで最初から左利きかのような「もう一人の自分」を生み出すつもりでやるといい。それが自分の可能性枠を広げることにつながる。技術の習得や新しい成果は、単発で物事を増やすだけの効果しかない。


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