なぜ泥酔したら記憶を失うのか?

泥酔している時のことはよく覚えていないが、意識はあって話をしている。

その内容が記憶から消えるのはなぜだろうか。

それは、長期記憶にならないからである。

脳は長期記憶をする時、その記憶にかかわったニューロン(神経細胞)内で、タンパク質の合成が行われ、シナプス(神経細胞間の接合部分)に溜っていく。

ある記憶をした時、その記憶にかかわった神経細胞内のシナプスの伝達が強くなる。

シナプスの伝達を強くするために、タンパク質を合成しているわけである。

逆に言えば、タンパク質の合成を止めると、記憶してもすぐに忘れる。

アルコールを摂取すると、タンパク質の合成の機能が落ちる。

だから、泥酔して話したことは、短期記憶として直後は覚えているけれども、翌朝になると忘れてしまう。

ということは、ある記憶を思い出している時に、タンパク質の合成を阻害すると、その記憶は弱くなる。

人間は酒を飲むと、愚痴が多くなる。

私達は、自然と忘却効果を使っている。

古い記憶を不安定にして、もう一度、脳の中に再固定化させることを行っている。

古い記憶があり、その記憶と関連した体験をした場合、新しい内容の記憶に作り替えていくのだが、その時に古い記憶ががっちりしていたら、結び付かないので、一度不安定にしておいて、新しい記憶と連合させて固定化する。

だからこそ面白いし、今後大きく変わる可能性を秘めている。

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