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もう少し生々しい、ITエンジニアの給与の話

前回、普通の人はどの程度もらっているものなのか、dodaやエン・ジャパンのデータを使って、説明しました。

今回はもう少し生々しいITエンジニアの給与の話。

どの職種にも関わらず、給与が不満で転職する人はかなりの数います。しかし、自分たちが業界のどのくらいに位置していて、その給与は妥当なのか。客観的に知る手立てはほとんどありません。

今回、経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査」などを用いて話したいと思います。

職種別の平均年収

本来は中央値を用いるべきなのでしょうが、データが平均しかなかったため、平均値を使って話を進めていきます。

これを見ると、上流工程や特定技術のスペシャリストのほうが年収が高く、スキルも高い傾向にあります。当たり前だけど。

スキル標準レベル別の給与

スキルの違いを見ると、リーダー・責任者・指導者レベルにあるかどうかが、一つの分岐点になるようです。ゆえに、世の中にエンジニアにはPL/PMになりたい人が多くいます。

いろいろと理由はありますが、大きくは下記2つの理由です。

・文系出身のエンジニアが、技術を諦めマネジメントを目指す
・スペシャリストの道がほとんどなく、仕方なくマネジメントを目指す

エンジニアが技術職、といいながら、日本の技術職はほとんど(チーム・組織、またはプロジェクトの)マネジメントのキャリアしか用意されていません。この問題は別の機会に話したいと思います。

年代別の給与

年代別が一番、実感に近いのではないでしょうか。

諸手当や賞与を含めたら、20代は350万円~450万円、30代は350万円~650万円に収まるのは現状に総数値です。

逆に言えば、ITエンジニアはこのくらいしかもらっていません。というのも、成果主義と言いながら、年功序列であったり、親会社との兼ね合いであったり、評価が曖昧だったりと、正当な評価制度がないからです。

評価が難しいといったほうがいいかもしれません。特に客先常駐型のプロジェクトの場合、一人常駐だったら評価のしようがありません。また、スキルマップを作成している企業でもないと、スキルの客観評価も難しいでしょう。

結果、よく分からない評価判断になるわけです。

地域別の給与(アプリ)

地域別の給与(ネットワーク)

また、地域差も大きくないのが現状です。割合で言えば、東京以外のほうが低い給与が多いと思いますが、上下差が少ないので、中央値としては変わりません。

一方、東京は上限が高いので、もらっているエンジニアが少なくありません。これが東京と地方の格差の現実です。

このように、技術職だからもらっているだろう、と思われていますが、もらっているのは、トップクラスの一部です。スポーツ選手と一緒で、一流選手は億単位ですが、下限はギリギリの生活レベルなのと同じです。

夢があると感じるか、結局は他の業界と変わらないのかと思うのかは、本人次第です。

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