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社内SEの復権がやってきた?

かつて、社内SE(事業会社の情報システム部門に所属するSE)は「楽ポジ(楽なポジション)」と思われ、非常に人気の高い職種でした。

転職者が抱くイメージとは、以下のようなものです。

しかし、各種メディアや社内SE自身から「楽ではない」というメッセージが多く発信されたためか、ここ2~3年は人気に陰りが見えてきました。それでも、まだSIerやSESの求人と比べると人気ですが…。

また、「日経XTECH」の「クロステック極言正論」の木村氏は、毎回のように話題に取り上げている通り、情報システム部門の劣化――社内SEや部署に技術やナレッジがなくなってしまった、と言及しています。

本来、社内の調整と取りまとめを行うはずの情報システム部門が、本来の機能を果たせず、現場部門が直接SIerとやりとりを行って、自分たちに必要なシステム開発を行うように。

情報システム部門はもはやコスト部門と化し、事業会社の社内でのプレゼンスが低下しているという状況です。

ここまで聞くと、「はたして社内SEのやりがいとは?」と思う方も少なくないでしょう。しかし今、社内SEが大きく注目を集めています。それは「ニューノーマル」による新しい働き方によるデジタル技術の導入です。

ニューノーマルによって、リモートワークやWeb会議、ECなど、これまで多くの事業会社が遅れていたIT化が一気に進んでいます。そのとき、中核になるのが情報システム部門――社内SEです。

また、基幹業務システムの刷新やDXによって情報システム部門のプレゼンスは上がり続けています

もはや社内SEは「楽ポジ」ではなく、会社の行く末を左右する重要なポジションになりつつあります……本当は。

ですが、本当の意味で上記を実現できる情報システム部門が、どれだけ存在するのでしょうか。本当なら非常に面白い仕事で、他では得られない経験とキャリアが積めるはずです。

ただ(情報システム部門が主体で)本当にできるのか、疑問に思うことは多くあります。なぜならば、社内SE求人の多くに「ベンダーコントロール」という業務があるからです。ここでいうベンダーとはSIerのことです。要件定義と受け入れ以降は情報システム部門が、設計・実装・テストはSIerが担当することがほとんどで、下手をすると要件定義(のようなもの)もSIerが担当します。それって情報システム部門主導と言えるのでしょうか。

その問題から内製化を目指す情報システム部門が求人を出すこともあります。上記に比べればマシですが、今までのツケをどこで払うのか。求職者側からすると不安しかありません。

私としては、SI業界の多重請負構造を是正すべきと考えており、その一つの鍵となるのが、情報システム部門の復権です。最上流の社内SEが丸投げするから、多重請負構造がまかり通るのです。社内SEが要件を決め、プロジェクトを管理できれば、想定以上の要員は必要なく、SESを調整弁にする必要もありません。しかも、自分たちで運用・保守までやれば、運用を考えたシステム企画や要件定義を行うので、運用のコスト・人員削減にも繋がります。

いいことずくめですね。

ネガティブなことも書きましたが、働き方改革を機に社内SEのプレゼンスが向上し、SIerにも波及していただけると、IT業界の健全化が進むはず。ぜひとも頑張っていただきたいところです。

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