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求人を見るときのポイント:週休2日制と完全週休2日制

求人独特の言葉として「週休2日制」と「完全週休2日制」があります。パッと見、同じ意味に見えますが、その実、まったく違います。

上記のサイトにもある通り、それぞれは明確な違いがあります。

■週休2日制と完全週休2日制の違い

◎週休2日制とは
週休2日制とは、1年を通して、月に1回以上2日の休みがある週があり、他の週は1日以上の休みがあることです。たとえば、毎週日曜と第2水曜が休みとなる場合や、1年のうち1月、4月、7月、10月の第2土曜だけ出社する場合などを指します。
◎完全週休2日制とは
完全週休2日制とは、1年を通して、毎週2日の休日があること。たとえば、毎週土曜と日曜、水曜と日曜が必ず休みになる場合などを指します。

つまり、「完全週休2日制」は毎週2日の休日を保証するが、「週休2日制」は毎週2日の休日を保証するものではない、ということです。

なぜ、そんな違いが生まれるかというと、労働基準法の定義に一因があります。

労働基準法では、休日は少なくとも1週間に1日は与えなければならず、4週に4日を与えなければならない、としています。つまり、週1日休みでも法的には問題ありません

ただし、同時に労働時間は週40時間、1日8時間を超えてはならない、ともしています。1日最大の8時間労働させると、1週間5日しか働けません。よって、1週間に2日休みが存在するのが当たり前、のようになっています。

しかし、ここには落とし穴があり、労使間で「36協定」を結んだ場合、月45時間・年間360時間まで時間外労働を認められます。さらに、「特別条項付き36協定」を結んだ場合、年6回まで月45時間の上限を超えられるのです。

とはいえ、「1年の上限は720時間以内」「1カ月の上限は100時間未満」「2カ月ないし6カ月の時間外・休日労働の平均は月80時間以内」に収める必要があります。

法律関係なので、ややこしいですね。

一度まとめると、労働時間は上限が、休日は最下限が法律で明記されています。1週間に1日休み、労働時間の上限を超えなければ(36協定で結んだ超過分も含む)、何日働いても違法ではないということです。

そうです。1週間に2日休まなければならない、という法律は存在しないのです。

週休2日制や完全週休2日制という言葉は、あくまで求人上で用いられる独自の言葉に過ぎません。

■完全週休2日制=土日休み、とは限らない

「じゃあ、完全週休2日制なら間違いないんだ」と思うかもしれません。もう2つ、落とし穴があります。

一つは「土日休み」とは限らない、ということです。あくまで1週間に2日休めばよいので、不動産業界によくありがちな「火曜日と水曜日」休みや、教育業界によくある「日曜日とほか一日」休みというパターンも存在します。

もう一つは「祝日」の扱いです。感のよい方は想像がつくと思いますが、あくまで1週間に2日休むということは、言い換えれば1週間に5日働く、ということです。祝日が休みとは明言していません。そのため、完全週休2日制だけれども、祝日休み出ない会社も存在します。なんだったら、祝日は休みだけど、そのぶん土曜日は出勤、なんて会社も。

なので、完全週休2日制、祝日休み、と別記されているかを確認する必要があります。

「そんなの詐欺だ!」という方もいると思います。しかし、これもまたウソは吐いていません。悪意を持って言えば、「明記しているよ。そっちが勘違いしたんでしょ?」というだけです。

法律に準じているので、基本的に嘘は書いていません。しかしながら、常識に基づいているかといえば、必ずしもそうではありません。なぜならば、常識とは時代によって変化するものだからです。

例えば、今回の「1週間に2日休み」ですが、今でこそ当たり前になっていますが、20世紀・昭和では当たり前とは言えませんでした。むしろ、週休1日だけで土曜日は出勤という会社が多くありました。あくまで法律的に正しいというだけです。

■総合的に判断することが大事

このような表現はほかにいくつもあります。ただ、問題なのは「週休2日制」=ブラック企業というわけではありません。まだ業界の慣習上、当たり前の会社も多くあるからです。企業は業界の慣習に従っているだけで悪意はありません。中小企業の場合、完全週休2日制では回らない、という切実な会社もあります。

しかしながら、このような表現をいくつも用いている企業は要注意です。一つの表現だけでブラック企業と断ずるのではなく、総合的に判断してもらえればと思います。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。