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私たち国民の税負担って軽いの?重たいの?

(転職を含めた)働くにおいて、お金は非常に大切な要素です。しかし、お金の中に入る「税金」について考えていない方が多いように思っています。先日も「サラリーマン増税」ではないかといわれた税制調査会の議論ですが知らない人も多いのではないでしょうか。
税金を知る前段階として、そもそも我々はどの程度、税負担をしているのか。今の税負担は適正なのかについて語りたいと思います。


戦国や江戸期の税金ってどのくらい?

「百姓は生かさず殺さず」とは、徳川家康の発言だと言われています。実際には、1727年に大道寺友山が書いた『落穂集』に、家康がそのように発言したらしい、と書かれたことが由来です。説によっては、家康の家臣である本多正信の発言とするものも(『江戸雑録』)。

どちらにせよ、「税金を取るのは、ほどほどにしたほうがいい」というのが、江戸前期の政治家の考え方のようです。

では、「ほどほどがいい」というのは、どの程度なのか。江戸初期の税率は四公六民、税率40%です。江戸以前の戦国期は五公五民が一般的で、後北条氏が四公六民で善政を敷いていたといわれるほど。酷いところでは、六公四民で百姓が疲弊していた地域が存在しました。

というのも、戦争していた時代なので、戦争の負担を百姓(国民)が負担していたという構図です。しかしながら、税率50%というのはカツカツの状態、貧困であったといえるでしょう。逆に、平和な時代であれば税率40%が最大値ともいえます。

ただ、戦国期の百姓は兼業で足軽をやっていたり、落ち武者狩りで武士を襲っていたりと、たくましい生き方をしていたので、一概に弱者と論ずることはできませんが(この話は、また別の機会に)。

現代の税金はどの程度なのか

戦国期から江戸初期にかけて、税率40%がちょうどよいと考えられていた時代と比較し、現代の税率はどうなっているのでしょうか。

令和4年(2022年)で国民負担率47.5%、令和2年(2020年)では49.6%と、ほぼ五公五民です。

ちなみに。バブル絶頂期といわれる平成元年(1989年)は38.4%でした。一番古い調査結果は昭和50年(1975年)で、税率は25.7%と現在と比べて半分近く負担率でした。

現在の政府は、「国民は生かさず殺さず」ではなく、「胡麻の油と国民は絞れば絞るほど出るものなり」と考えているのでしょうか。だとしたら、かなり国民をバカにしていますね。

税金の中で、もっとも重たいのは?

税制の中で何がもっとも重たいのか。それは社会保険料です。2020年度で社会保険料負担率が19.8%ともっとも大きく、ついで消費税9.9%、個人所得税8.8%と続きます。

特に社会保険料負担率は、50年の間ずっと右肩上がりで負担率が増加しています。

一方、国民の平均給与は2000年以降、急激に下がっています。90年代は470万円を超えることもあったのに対し、2018年は433.3万円。もっとも低い時期は2014年で、419.2万円でした。

国民の給与が上がっていないのに、負担率は上がり続けています。これでは国民が「苦しい、苦しい」というのは当たり前です。

■1989年(平成元年)
平均年収:452.1万円
税負担率:38.4%
負担額:173.6万円

■2018年(平成30年)
平均年収:433.3万円
税負担率:44.2%
負担額:191.5万円

約30年前と比較すると、年収が20万円下がったにもかかわらず、負担額は20万円増えています。つまり、40万円の差があるのです。

こうしてみると、バブル崩壊後の日本(失われた30年)が、低成長(というか停滞)にもかかわらず、税負担だけが増加したことがわかります。その間に諸外国は成長しているため、相対的に日本は安い国に陥りました。

政府の収入(歳入)はどのくらいか

税収をみると令和2年(2020年)で60.8兆円と、バブル絶頂期の翌年である平成2年(1990年)の60.1兆円を超えています。

内訳を見ると、所得税は平成3年(1991年)の26.7兆円を頂点に減少し、リーマンショックが起こった平成21年(2009年)に12.9兆円を記録し、そこから上昇し、令和4年(2022年)は20.4兆円を予定しています。国民の平均年収と近しい動きをしています。

それを補うように、消費税は平成元年(1989年)の開始から右肩上がりで増加しています。当初は3.3兆円でしたが、令和4年(2022年)では21.6兆円が見込まれています。いまや消費税が、歳入のトップを占めています。

一方、法人税はバブル絶頂期の平成元年(1989年)に19兆円を記録した以降は減少を続け、2006年・2007年に上昇したものの、平成21年(2009年)に6.4兆円まで減少し、そこから少しずつ上昇している状態です。

ただ、2019年で企業の納税率が23.4%と考えると、企業の納税負担は低いように感じられます。海外と比べて高いという意見もありますが、その分、会社員の給与が低いので、税制的には意味がありません。

まとめ

以上のような数値を見ると、政府はほぼ100%税金を取れるビジネスパーソンから搾取し、当場を乗り切ろうとしているように思えます。その前に、納税率の少ない企業に税負担する仕組みを作り、歳出(支出)を削減することが重要です。

数値で見ると当たり前のことが、利害関係でなおざりになっているのではないでしょうか。

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