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私の体験談#2~大学編『バンドS』~

まえがき

高校生活で音を奏でる喜びを知った私は晴れて大学に入学し、軽音楽部に所属することになるのでした。そこでは、コピーバンド(既存のアーティストの曲を覚えて演奏するバンド、以下コピバン)で年に何回かライブをすることが主な活動内容でしたが、一方で、外バン(大学の外で活動するオリジナルバンド)というものも存在しており、私の憧れていたバンド活動は外バンの方でした。大学在学中に複数外バンを組んでいたのですが、今回はライブの楽しさを教えてくれた初めての外バンについて書いていきたいと思います。

『バンドS』

 当時、1回生の私は部室のスタジオが空くたび個人練習の予約を入れ、黙々と練習に明け暮れていました。するとある日、4回生の先輩から

「練習頑張ってるし、外バンとか興味無い?」

と声を掛けてもらい、外バンのお誘いをいただきました。それが冒頭でも記載したバンドの「バンドS」でした。
1回生の私にとって、4回生の先輩はかなり偉大なもので、お話をいただいたときは緊張もありましたが、念願の外バンを始められる嬉しさから即OKを出して加入することになりました。

どういったバンドかと言いますと。
編  成:3ピースバンド
ジャンル:メロコア、パンク、スクリーモ
特  徴:
ライブはパフォーマンス重視で勢いのあるステージングと疾走感のある曲で盛り上げるバンド。

っとかなりエモーショナルなバンドなんです。ここで経験できた大きなことは、なんといってもオリジナルバンドで活動する楽しさです。今まで世に出ていない曲を自分たちの手で作り、世に発信していくことがとても新鮮で、

「本当にこんなことができるんやなぁ!!!!」

と驚きながら、新しいことだらけの刺激的な毎日を過ごすのでした。
また、ライブ活動をしていると、バンドマンの友達もでき、ライブハウスでの繋がりも増えていき、そういった繋がりが増えれば増えるほど出演しているライブハウスがホームのように感じられるようになっていきました。

そういった数々の体験の中でも、特に音楽活動を実感したのは、レコーディングでした。ライブももちろん立派な音楽活動ですが、レコーディングは頻繁に行うものでもなくとても貴重なものでした。(出費も激しいので笑)

ドラムのレコーディングの風景は、打面一つ一つにマイクを設置し、クリック(テンポをキープするための機械)に合わせて曲を叩いていきます。ベースと、ギターを録音のマイクに音が入らないようにヘッドホンにうっすらと鳴らしてもらいながらドラムをたたくのですが、ドラムの音がいつもよりはっきり聞こえるのでめちゃくちゃ粗が目立っていました。自分の下手さを痛感しながら叩くドラムは何とも苦い思い出でしたね。笑

心の中では、
『え?俺ってこんな下手っぴやったん!?この後のレコーディングどうなるんや!?!?』
って終始考えてましたね。。。笑

結局、ドラムをとり終わるまでに、何テイクも重ねてしまい、かなり時間を使ってしまいました。トホホ...

そしてそれが終われば次は、ベース、その次にギターと順番に録音していきます。最後は、録音した音を調整し、曲の雰囲気に合ったエフェクトを加えたりするミックスの作業を経てようやく終了です。(お、おわった。。。笑)

完成した曲を初めてCDで聴いたときには、創作というものを可視化したような気がして、ものすごい達成感を感じることができました。ただ、演奏面はドラムが先輩方の足を引っ張ってる感じで悔しさが残りましたが...

とにもかくにも、練習して完成させた曲を、レコーディングスタジオで録音し、CDに焼き、そして、ライブを見に来てくれた人に持って帰ってもらう。
ライブやCDを通して、これが自分たちだ!といろんな人に発信できていることがとても充実感を与えてくれて、音楽活動が非常に楽しいものだと実感させてもらいました。

しかし、こんなに充実感に満ちていた「バンドS」も1年ぐらいで脱退を決意することとなります。理由は、なんか違う。。。という違和感からでした。練習はするけど新曲があまりできない。何回ライブをしてもお客さんが増えない。結局お金だけが飛んで行ってしまっている。練習がなーなーになってきている。。。とそんなことを考えていたら徐々にモチベーションが下がっていってしまい、不満だけが積もっていってしました。そして、とうとう脱退を告げるのでした。。。

この時は気づいていなかったのですが、知らず知らずのうちに自分は他の人と違うという優越感に浸り、それが心地よくなっていました。そしてそれに満足して、自分自身がバンドの状況をを変えようと努力することはせずに、ただただおんぶにだっこの状態で文句ばっかり言っていたのです。(今思えば恥ずかしい。。。)ただ、ドラムの練習は人一倍しており、うまくなりたいという気持ちはしっかり持っていました。だから、今となってはもう少しバンドが良くなるようにとか、そういう方面にに気持ちを向ければよかったなぁなんて思います。要するに自分の事で精一杯な時期だったなぁと反省です。

その後...

私の脱退後の「バンドS」は新たなドラムを入れて、しばらく活動していましたが、先輩方の卒業とともにそのバンドは解散することとなりました。脱退してからの「バンドS」は曲の路線がめちゃくちゃカッコよくなっててびっくりしました笑

脱退という決断をしましたが、こうして振り返ると非常に影響を与えてくれた思い入れのあるバンドでした。心も技術も未熟な私でしたが、温かく迎え入れてくれ、いろいろ楽しさを教えてくれた先輩にはとても感謝しています。そして、当時の私はこの経験を通して、ドラマーとしての一つのあり方を見つけた気がしたのでした。

次回へ続く。。。

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