『甘えてもいいんだよ』と言える人間でありたい

「甘えるな、恵まれているんだから」

社会の風潮が、周囲の空気感が、私にそう言っているようにずっと感じていました。

確かに私は、生まれた直後の1年間、小児喘息に悩まされた時期もありましたが、それ以降は本当に何事もなく過ごしてきました。
もちろん、いろいろな挫折を経験し、いくつもの壁にもぶつかってきましたが、それは見る人から見れば大したことではないのかもしれません。

体が不自由で、したいことが出来ず、それでも必死に人生と向き合う人が世の中にはいます。
私の身近にもいますが、精神的な病気を抱え、それでも必死に社会に適応しようと頑張って、必死に生き抜いている人もいます。
家庭の問題、子供の問題、介護の問題などなど、多くの悩みや苦悩を抱えながら頑張っている人も当然います。

そんな人たちに比べれば、確かに私は大した苦労はしていないのかもしれません。

ただ、私と同じように「恵まれている方だ」と思われ、悩みや苦しみを誰にも話せず、人知れず辛い思いをし続ける人も世の中にはいます。
それはそれで辛いということが、私には痛いほどわかります。

悩みや苦しみを持たない人はいません。
人ぞれぞれ、各々の思いの中で悩むことは必ずあります。
しかし、こんなことを話しても「甘えているだけ」と思われるのではないかと思い、一人で抱え込む人も世の中にはいます。

誰だって、時には甘えていいと私は思います。
私は恵まれている方なんだから、こんなことを言っていたら罰が当たるとか考える必要はないはずです。
そう思うことが普通になってしまうと、人は甘え方を忘れて、良く言えば強くなりますが、悪く言えば孤独になっていくのです。

悩みや苦しみの度合いは、人と比べるものではありません。
それぞれに、辛いと思うタイミングや感覚は違うのだから。

悩んでいたり、苦しんでいたりする人がいたら、「甘えている」とか「そんなことで」と言って突き放すのではなく、とにかく話を聞いてあげてください。
それぞれの目線で、それぞれの気持ちで、感じている苦しみを理解してあげるようにしてください。

誰に対しても、「甘えるな」ではなくて、「甘えていいんだよ」と言ってあげられるような、そんな世の中であってほしい。

それが、私のささいな願いです。

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