見出し画像

こんな本に出会えるから、読書は辞められない。

書評家YouTuberとして活躍されている『学識サロン』さんにご紹介いただいたビジネス小説。

『HSPサラリーマン』
ーー人に疲れやすい僕が、
楽しく働けるようになったワケーー



発売から一年近く経つ本を、タイトルに書いた言葉をもってご紹介いただけるなんて嬉しいの一言なんですが、僕がこの出版社に移り、最初に手掛けたビジネス書でしたからなおさらです。

それも二年半をかけて何度も推敲を重ね、物語そのもののテーマも変更したり、人気の映画を研究したりしながら著者と二人三脚で仕上げた本ですから、かなり思い入れの強い一冊です。

***


じつは、最初に出版した時のタイトルは『HSPサラリーマン』ではなく、

『話すことが怖い。
でも一人にはなりたくないんだ。』
ーーあなたが知らない
最高の自分に気づく40の言葉ーー

だったことも付け加えねばなりません。
発売されたのは2018年1月です。


なぜ『HSPサラリーマン』というタイトルに変わったのかと言えば、「この本はもっと売れてほしい!もっと売りたい!」という個人的な欲望に突き動かされ諦めきれなかったからで、本というのは数年経つと、よっぽど売れ行きのよいベストセラー以外は書店の棚から消えてしまうことから、タイトルもカバーも変えて、新刊として再発売させるしかなかったんです。

そんなことが出来るんだ!と思った方もいると思いますが、内容が同じなのにタイトルを変えて新刊として再発売するためには条件があります。

まず、書店にほとんど在庫がないこと。発売から一定の期間が経っていること。本の奥付などに、改題したものであることを記すこと。前の本を絶版にすることなどです。

もちろんこのようなパターンは稀であり、よっぽど売れた本でなければ前の本を買われた方が違う本だと思って買うこともありません。世の中には内容が素晴らしいのに売れずに消えていく本が山ほどあります。


***


ここで、学識サロンさんに絶賛された『HSPサラリーマン』について語る前に、少し出版業界について触れておこうと思います。


ご存知の方もいると思いますが、出版業界では、毎日200点前後の新刊が誕生し、リアル書店は仕入れる容量に限界がありますから、満足に並べられることなく、ほとんどの方に知られることなく消えていく本の方が多いと言えます。

それだけ、出版したは良いものの、日の目を見ずに泣く著者も多いのです。

僕が約10年前に調べた話しですが、仮に世の中に、絶版になった本を除いた全ての本を一冊ずつ書店が仕入れようとした場合、書店の坪数は2000坪近く必要だと知りました。いま、2000坪ある書店はジュンク堂書店池袋本店だけです。

ましてや、書店に一冊だけあっても、目が眩むくらい沢山の本がある中、棚に埋もれてしまい、売れないで終わることが大半なんです。新刊が多ければ多いほど、競争も激しくなり、発売されてから2週間も経たずに見切りをつけられて返品されるのもザラにあります。

その点、Amazonをはじめとするネット書店は、リアル書店の弱点である容量の限界がありませんし、書店になければネット書店に注文した方が早く手に入れられるため、益々書店で買わずにネットで買う人も増えていきます。

ただ、便利になればなるほどリアル書店で体験できる閲覧性がなくなり、思わぬ新しい世界に触れる可能性が狭められ、買うつもりのなかった本を見つけて思わず買ってしまったということも少なくなります。

良くも悪くも検索による目的買いばかりが増えて、その本を買った人はこの本も買っているとか、こちらもオススメですといったレコメンドに支配された状態になりますから、益々、日の目に当たらない本は面白いように売れない環境になり、逆に、売れてしまえば一気に情報が拡散される環境だとも言えます。


ただし、残念ながら仮にネット書店だけでよく売れても、リアル書店で広がらなければベストセラーにはならない現実があります。ここに検索商売の限界があると僕は見ています。


もちろんリアルで売れた本はネットでもよく売れます。電子書籍も、リアル書店で売れた本が売れています。

リアル書店というのは、Amazonに比較すれば小さな店舗の集まりですが、点と点が線になり面になるように、ジワジワと広がって全国どこでも展開される流れの中で、比例して話題になり、口コミになり、SNSで拡散されていきます。インターネットがデスクトップだけの時代だったらまだしも、皆がスマホを持ち、スピィーディに情報が拡散される時代ですから、リアルで売れている商品、話題になる商品はとても強いと思っています。

また話の角度が少しズレますが、昔は目利き力に優れた書店も多くありましたが、出版業界の衰退で、掘り出し物を展開してベストセラーにする環境ではなくなりました。

書店もPOSレジの普及に従って、売れ行きの良い本はデータで簡単に情報共有がなされ、一気に広がっていく。売れ行きの悪い本もすぐにわかるようになりますから、しばらく様子を見てとか、並べる場所を変えて展開してみようとか、本を育てて実績を作っていくというよりも、売れる本をすぐに入荷して早く売ろうが強くなります。在庫に限りがありますから、奪い合いにもなる。


良く言えばベストセラー化がしやすい時代であり、悪く言えば発売してすぐに火がつかない本はあっさり消えてしまうような時代なのです。


ただしです。

理屈上はベストセラー化がしやすいとなるのですが、現実はベストセラーになる本の部数は減ってきているように思います。見方を変えると、なかなかベストセラーが生まれにくい環境になっているとも言えます。

明らかなのはミリオンセラーがなかなか作れなくなっている。なぜなのか?統計的に調べ上げたわけでもなく、確かな証拠があるわけでもありませんが、


一つ挙げるならば、あまりにも早く情報が広がり過ぎて、早く流行り過ぎて、市場が成熟する前に飽きられるのも早くなっている。


つまり、打ち上げ花火のような売れ方になり、一気に広がったものは一気に沈むと言われますが、市場がペンシル型になったのが一因ではないかと思うのです。

ここまで書き連ねると、何が言いたいのか分からなくなるのですが、ハッキリしているのは、売れないとデータで判断された本や、発売後しばらく経たないと売れないような本は、益々生き残れなくなっているということです。

だからこそ、発売からしばらく経つ本を、発信力のある学識サロンさんに紹介いただいたことが、めちゃくちゃ嬉しいんです。

そして、ようやく本題に入ります(笑)


***


YouTubeで紹介いただいている通り、本書はストーリー仕立てのビジネス書(自己啓発)です。なぜストーリー仕立てにしたのか。

当初、著者と打ち合わせをした際、何を書きたいのか?との質問に対し、「伝えられる人を増やしたい」というような趣旨の回答であったと記憶しています。思い込みやレッテルに縛られず伝えたいことをきちんと伝える人を増やしたいんだと。

しかし、世の中には沢山の伝え方本やコミュニケーション本があり、その大半は人間関係の悩みが原因にあるわけですが、人間関係に悩む人のための本も沢山ある。

いわばレッドオーシャン市場に、後発で入り込んでは売れないし、伝え方のテクニックやスキルを学んでもうまくいかない。あれやこれやとタイトルをひねって出しても、他の著者と差別化しようと頑張っても、結局言いたいことは同じだったり、特別新しい情報があるわけでもない。

そして僕はこう提案しました。

「春明さん、本当に大切なことって言葉では説明しずらいものじゃないですか。もし可能なら小説で表現できないですか?」

そしたら彼は、

「本当ですか!!じつは、自分も小説を書いてみたいと密かに思っていました。小説で僕が伝えたいことを表現したいと思っていたんです!だけど、ある出版社の編集にそれを語ったら採用されなかったんです」

と、目を爛々と輝かせながら話してくれたのです。

その編集者が採用しなかった理由も何となく分かります。ビジネス小説は当たり外れが大きく、書店の反応もイマイチであることを知っていたからです。

やるなら賭けになる。だけど、読者にとって一番大切なことを伝えるには、小説しかない。もちろん売れなければ意味がない。だけど、売れる、売れないを目的にせず、素晴らしい本をつくる責任が出版社には必要だし、その正義感をプロとして持つ必要が、今はとくに大事なのだと決断したからなんです。

それからというもの、イメージは著者にお任せしながら、いくつかストーリー設定をお願いしては、何度も書き直しを繰り返していただきました。

ときには、「話しが綺麗過ぎるのでダメ!もっと泥臭く書けないか?」「主人公にはもっと地獄の体験をさせてほしい」「途中味方になる女性の存在も欲しい…」など、細かく注文を出しました。

おそらくかなり悩ませたと思います。そうこうしながら出来上がった原稿を見つめながら、まだ腑に落ちない自分があり、当時放映されていた『美女と野獣』の映画を一人で観に行っては、ストーリー展開の参考にしたりもしました。

試行錯誤を繰り返しながら、ようやく原稿がまとまり、話のリズムを崩す恐れのある箇所は遠慮なく削らせていただきながら仕上げていきました。

そして、最後に悩みに悩みまくったのがタイトルでした。普通のビジネス書であれば、ある程度タイトルの型に当てはめながら考えられるのですが、小説として読者に認識して欲しかったし、何の本かを頭で理解させるタイトルよりも、感情を動かして、伝え方や人間関係に悩む読者がスッと手に取ってしまうようなタイトルを考えたかったんです。

本当に難しくて、何日悩んでも出てきた案がつまらなく、著者に意見を求めたり、編集長にも考えてもらいながら、ふとした瞬間に浮かんできたタイトルが、『HSPサラリーマン』と改題する前の、『話すことが怖い。でも一人にはなりたくないんだ。』でした。

少し長過ぎた感も否めないのですが、これで行くことにしたのです。それから約三年が経ち、はじめに書かせていただいた通り、こんなに素晴らしい本を自然消滅させたくはない!もう一度売りたい!との気持ちに突き動かされて、『HSPサラリーマン』と改題し、発売させました。


***


学識サロンさんのYouTubeでも、正直3回は泣きましたと紹介してくださっていますが、僕の周りでも読んでくれた方から、「泣きました」「3回も繰り返し読んでしまいました」「コミュ症の私には刺さりまくる内容で感動しました」と、沢山の感想が集まった本です。

一番嬉しかったというか、ほら見ろ!と思ったのが、普段は自己啓発本を敬遠していた二十代前半の女性に、「騙されたと思って読んでみてほしい。感想聞かせて!」とお願いしたら、「最初は仕方なく読み始めたけど、自分でも意外過ぎるほど止まらなくなり、感動してしまったの!」と言ってくれたことでした。そして、同じような感想を60代後半の女性も述べていました。

普段なかなか本を読まない人に刺さるようなものでなければ、意味がないと思っていたからめちゃくちゃ嬉しかったんです。


具体的にどんな内容の本かは、YouTubeを見ていただければと思いますが、


伝えることにトラウマをもち、会話が苦手で、仕事も人間関係もまったくうまくいかない営業マンが、親友や職場の先輩に触れながら人生を大きく変えていった成長物語です。 


なんか…ポロっと涙する、感動と成長のストーリー。ぜひ、お楽しみくださいね!

※学識サロンさんのおかげで現在、Amazonも楽天も品切れ中ですが、もう少しすればすぐにお届けできるようになるかと思います。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?