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知っておくべきベストセラーの共通点。

売れる本は「まえがき」と「一章」から面白い。

いまはあまりしていませんが、数年前までは毎月5〜10冊、これはと思う本を研究用として購入し、「なぜ売れているのか?」という視点で赤線を引きまくっていました。

また、ジャケ買いとは別に、書店でパッと立ち読みしながら、「これは何かありそう!」「読んでみたい」と購入する本は、例外なく「まえがき」から面白いか、「一章」のはじめの方から面白いことに気づきます。

面白いと言っても、いろんな面白いがあるわけですが、人間が他人の書いた文章を読んで、強く興味を引き立てられるのは、やはり常識破壊なんですよ。

「え!何それ!?そう言われると確かにそうだよね!」が、本の最初の方にないもので、すっごく売れた本ってほとんど記憶にありません。

よく人が興味を持つのはギャップだと言われますし、コピーライティングもギャップを使っているものがたくさんありますが、世間の常識として定着しているものを見事に裏切るような切り口、問題のありか自体を別の角度から斬り込む本は魅力的です。

だいぶ前に、読者は本を買いにくるのではなく、著者のフィルターから見える景色、見てきた景色を買いにくると書いたことがありました。

本もコンテンツの一つだとした場合、コンテンツ自体すべて、人に行き着くことを考えれば、著者が見た景色が普通の人では見れないものであったり、気づきにくいものでなければ面白いとはならないでしょう。

プロモーションがどうの、マーケティングがどうのと、認知活動や売ることに力を注いでも、コンテンツが面白くなければ結果は知れています。

また、話を常識破壊に戻しますが、いまや膨大な本の種類で溢れていて、差別化なんて言葉が死後になるくらい、そう簡単に他の人が書いていない常識破壊させる文章を作るのが難しい時代です。

では、どうやって常識破壊できるような切り口、文章を書けるのか?が課題になると思うんです。

その一つは「観察しまくる」ことを挙げたいと思います。

なぜそうなのか?本質は何か?それ自体がそもそも間違いではないのか?思い込みでしかないのでは?など、問題となっている要因や前提を疑ってかかる習慣・訓練です。

人は意外にも常識に支配され、思い込みとなり、みている世界を矮小化させてしまうものではないでしょうか。

例えば、ある方の講演に参加した時、非常に分かりやすい例え話しをしていました。もう誰もが知っているであろう『ウサギとカメ』のお伽話を通して、いかにみんなが勝手な思い込みでものを見ているかを指摘されたんです。

思わず自分も、「うまい例えだ!」と唸ってしまいました。

彼は参加者に以下の質問を投げかけました。

「みなさん、ウサギとカメは知ってますよね?あの話はどっちが主人公なんでしょうか?ウサギだと思う方から挙手してください」

すると、少なからず手を挙げた人がいました。

「では、カメが主人公だと思う人は?」

たぶん、9割くらいの人が手を挙げていたように記憶しています。僕も例外から見事に外れず、カメこそ主人公だと手を挙げていました。

さて、こんな書き方をしてしまうと、常識破壊をテーマに書いているから尚更、「答えはウサギか!」と思うのではないでしょうか?違います??

じつは、やっぱりカメが主人公だったんです!

とはなりませんから、引き続き読み進めてくださいねw

もう正解を言いますが、どちらも主人公になり得るって話しなんですよ。カメだと思った人が間違いでもなく、ウサギだと思った人も間違いでもないのです。

ただ、カメが主人公だと思い込んでいる方が、日本人には多いだろうと予測されますが。日本人は、努力すること、頑張ることを美徳にしてきましたし、判官贔屓といって、弱者が強者に立ち向かうお涙ちょうだいに弱いですから。

また、これまた面白かったのは、少数派であったウサギが主人公だと思い込んでいた人のほとんどが経営者、起業家だったことです。

なんだかわかるような気もしますよね。

つまり、彼はこの話を通して何を伝えたかったのかと言えば、みんな勝手に思い込みに支配されているんだよってことだったのです。

彼の話がうまかったのは、みんなが知っていることをフックにして見事に常識破壊をやってのけたことなんですね。

いくら常識を破壊してるぜ!って意気込んで書いても、誰も知らないようなことやネタを切り口に書いたのでは意味がありません。

以上の通り、あなたが伝えたい結論をどんな例えを用いて見事にカマをかけて、「え!何それ!?そう言われると確かにそうだよね!」と思わせるか。

決して簡単ではありません。
とにかく、「観察し抜く」ことから始めてほしいと思います。

そして、本は「まえがき」と「一章」がとにかく大事だと言うこと。そもそも素晴らしいな!と思う本は、最初の一行から違います。人により、編集者により、考え方や見せ方の違いはありますが、売れていく本は間違いなく、最初の方から線を引きまくりたくなるくらい面白いよとしつこくお伝えしておきます。

僕が担当する本の場合、とにかく「まえがき」にはかなり手を加えたり、細かくアドバイスしたりします。その本に費やす時間の7割を「まえがき」にかけているくらいです。出版コンサルの依頼を受ける場合も、「まえがき」をがっちりやるわけですが、それだけでも何を伝え、どう書いていくべきがの全体像が見えてきます。

とくに「まえがき」は、初めてあなたに会う人に対して行う自己紹介と同じです。みんながやるような当たり前な自己紹介の仕方では印象に残らないし、とは言え奇抜な自己紹介をすれは良いというわけでもありませんから、売れている本を何冊か購入して研究してみてはいかがでしょうか。

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