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大逆転!人生・感動物語。vol.6

言葉はときに、その優しさが相手を傷つける
こともあります。
傷ついた人にしか分からないのだと思う。


不妊に苦しむ女性との出会い。


医療の発展により、
人生の選択肢や望む可能性が広がること自体は
素晴らしいことだと思う。

一方で、望む結果を得られない失望と、
次こそは!という期待との間で
心を消耗し続ける不妊治療は、
女性の身体・精神の負荷が非常に大きいそうだ。


不妊治療と一言でいっても、
治療内容、ぶつかる壁も人それぞれで、
孤独な思いに陥りやすい面もある。

費用負担もある。やめ時の決断も難しい。
医学的な可能性が広がるほど、
心の迷いや苦しみが大きくなるという
ジレンマもあることを彼女は教えてくれた。


彼女は、結婚2年目から治療をはじめた。
顕微授精で妊娠を確認できた時もあった。
しかし、9週目、その動きが止まった。


数日泣き悲しみ、
その悲しみを振り払おうと悩み続けた。
悲しみは癒えなかった。

彼女を励まそうと投げかけてくれた
優しさの言葉が、
逆に彼女を苦しませることもあった。

しかし、わが子になろうとしてくれた生命の、
確かな姿を見たときを振り返り、
一瞬でも宿ってくれた生命に感謝の気持ちが
わいた。

その言葉は、
授からないことの意味ばかりを考えていた心に、
僅かながら希望と勇気の光がともった証なのだと
僕は思った。

それは、
不妊に苦しむからこそ気づけたことだったと、
彼女は語ってくれた。
その言葉に、目頭が熱くなる感動を覚えた。


彼女が知ったこと。
辛く悲しい試練を経て気づいたこと。


それこそ、『命の尊さ』だった。



そして、もう一つ。


この世に誕生し、
今を生きる自分への尊さと感謝だった。



誰もが深い使命、
役割や意味を持って生まれてくる。

生命の尊さを知り、
自分が存在している軌跡自体に
感謝できるようになって初めて、
他人の生命も尊いんだとわかる。

だからこそ、人を大切にしなければならない。
自分を愛しめる心があって、
自他共(とも)の幸福を願えるんだと思う。


あるとき、
思い悩む彼女を励ましてくれた言葉があった。


「もしあなたが自分で自分を責めたり、
だめだと思っても、私は、そうは思わない。
生命の尊さを知ったあなただからこそ、
苦しんでいる人がいればどこにでも駆けつける。
そんな温かな人にあなたはなれるんだよ。
あなただからできることなのだと思う」


悲しみが優しさを産み、
苦しみが知恵を産む。


心の暗雲を払ったとき、
雲の上には必ず太陽があるように、
希望の光がのぞき出す。


ずっと晴れない日などない。
朝が来ない夜もない。
春が来ない冬もない。

悲しみや苦しみの大地には
たくさんの涙が雨のように降り注ぎ、
その涙が、新しい草花を咲かせる養分になる。


それに気づけた人はみな偉大だと思う。

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