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ChatGPTとDeepLを使って論文紹介をしてみる

圧倒的な能力を誇る人工知能ChatGPTと翻訳であれば敵なしのDeepLを使えば、論文を読むことなく機械的に論文要約ができてしまうという話を聞き、実際にやってみました。

今回は、以前このnoteでも紹介したことがある論文を使って、試してみたと思います。果たしてうまくできるのでしょうか?

ChatGPTを使い前に

私自身一度は読んでいるので、何が書かれているかはある程度理解しているつもりです。

今回対象とする論文の分野の専門ではないので理解レベルは低めですが、何とか一通り読んで、面白いところをピックアップしたものがこちらです。

こちらを一度読んでもらうと少し理解がしやすいかもしれません。

それでは実際に翻訳していきましょう。

論文タイトル
The diving bell and the spider: the physical gill of Argyroneta aquatica

論文にはアブストラクト(要旨)という、筆者の手によって書かれる要約文が初めについています。ChatGPTによる要約を見る前に、人の手によって書かれた要約の翻訳を見てみましょう。

Argyroneta aquaticaは、ほぼ一生涯を淡水下で過ごすユニークな空気呼吸のクモである。水草の間にドーム状の巣を作り、潜水鐘に水面から運ばれた空気を充填する。ベルは水中の溶存酸素を取り込むことができ、「物理的な鰓(えら)」として機能する。この研究では、O2感受性のある小さな光電池でベルの体積とO2分圧(PO2)を測定することにより、クモは暖かい淀んだ水という最も過酷な条件下でも、少なくともO2に対する静止要求を満たすことができる物理的エラを作り出すことが示されました。より大きなクモは、より高いO2コンダクタンス(GO2)を持つ大きなベルを生成した。GO2は表面積にのみ依存し、有効境界層の厚さは一定であった。クモのいるベルといないベルを、GO2やPO2変化率を測定することで呼吸計として使用した。また、フロースルー呼吸計で代謝率も測定した。水と空気のPO2差は一般に10kPa以下であり、クモは自発的に約1-4kPaの低い内部PO2を許容してから地表の空気で更新していることがわかった。ベル内の低PO2はベルからのN2損失を促進したが、クモは更新なしに1日以上ベル内にとどまることができた。クモはより高い酸素要求量とより低い水中酸素濃度に応じてベルを拡大するようであった。

論文のアブストラクト DeepLによる翻訳

専門用語が多くてわかりにくいと感じられる方も多いと思いますが、学術論文というのはこういうものです。ただかなり難しく感じますね。

通常は、実際に数ページの論文を読もうとするとそれなりに時間がかかってしまうので、このアブストラクトを読んで続きを読むか判断します。

もし、このアブストラクトよりももう少し詳しく、1000字~2000字程度で論文を要約してくれていたら、研究者からすると読む手間も省けて助かります。

それではChatGPTによる要約がどのような感じになるか見ていきましょう。

手順

まず、DeepLを使って論文の全文を翻訳します。
次に、ChatGPTが対応できるように、背景、方法、結果、考察、結論に分けてそれぞれ以下の文字数を目安に要約しました。考察は長くて一度で要約できなかったので半分に分けて要約しました。

背景:200字
方法:200字
結果:500字
考察1:200字
考察2:200字
結論:100字

ChatGPTによる要約結果

その結果を以下にそのまま示します。
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背景

Argyroneta aquaticaは水中で生活するユニークなクモであり、本肺と気管系を持ち、水面に閉じ込められた空気を利用する。さらに、水中の草木に絹織物を張り、空気の入った泡、「ダイビングベル」を作る。クモは水生無脊椎動物や小魚を食べ、何度も脱皮を繰り返し、成虫が約50〜100mgになると、潜水鐘の中の繭に産卵する。孵化したクモは独立し、脱皮して自分自身の小さなダイビングベルを構築する。

方法

2010年6月から7月にかけてドイツ北部のMielkendorf付近のEider RiverとFlemhude付近のEider RingkanalでArgyroneta aquaticaを収集し、それらを実験用にフンボルト大学に運ばれました。 クモは水槽で飼育され、ミジンコやユスリカの幼虫を与えられ、成長し、外骨格を脱ぎ捨てることができました。実験用のクモは、水槽やガラス瓶に入れられ、水草を数本置いて潜水鐘を作らせるようにしました。実験は、水の対流を望まないため、熱水循環器なしで室温で行われ、水中のPO2濃度を測定しました。

結果

クモは飼育環境に適応し、水面上5-10cmに潜水ベルを作った。ダイビングベルは水槽の側面と植生の間にある網の骨組みの上に作られ、クモは下から棘突起を骨組みに接触させて網を部屋の上部と側面に堆積させ、網の層を作り上げた。クモは水面から採取した気泡は、水中で普通に動いているときの腹部や頭胸部のガス層よりも大きい。

11匹のクモが作った14個の空のダイビングベルで、ダイビングベルの体積、ガスコンダクタンスと境界層 Volume (V) とGO2を測定した。この2つの変数の関係式はGO20.075V0.665である。潜水鐘はほぼ球形で、表面積だけに依存し、厚さには依存しないようである。球体モデルの場合、有効境界層厚は、Seymour (Seymour, 1994) の式8に従って、GO2 (molh-1kPa-1), Kroghの水中酸素拡散係数 (KO2; molh-1kPa-1cm-1), 境界層の内部半径 (ri) と外部半径 (ro) から算出することができる。25℃におけるKO2は,純水のデータに従って1.0410-3molh-1kPa-1cm-1とされ,14個のダイビング・ベル周りで最小値は0.12mm、最大値は0.35mmであった。

考察

この研究により、A. aquatica の潜水鐘が物理的エラとしてどの程度機能しているかが明らかになった。クモは、水面から酸素を拡散的に取り込み、代謝に必要な酸素量を満たすことができ、適度な酸素濃度の水中では大気中の空気による補給に頼る必要はない。クモが自発的に作った潜水鐘の表面は、ほとんどの場合、水と鐘の間のPO2差を10kPa以下に制限していた。本研究のクモは他の研究で調査したクモより小さいが、同様の結果が予測される。この研究から、物理的な鰓として機能する潜水鐘が、頻繁に空気を更新することなく、休息中のクモを支えることが示された。

研究の結果、A. aquatica の潜水鐘は物理的エラとして機能しており、休息中に水中から酸素を取り込むことができ、適度な酸素濃度の水中では大気中の空気による補給は不要だと明らかになった。また、潜水鐘の寿命については、Ege (Ege, 1915)の時代からモデル化されてきており、Rahn and Paganelli (Rahn and Paganelli, 1968)のモデルが支持されていることがわかった。本研究では、A. aquatica のダイビングベルガスコンダクタンスと代謝率から体積減少率をモデル化することが可能であり、Fick拡散方程式に従って計算される。

結論

この研究では、A. aquatica の潜水鐘が物理的な鰓として機能し、高温の淀んだ水中でも休息中のクモの酸素需要を満たすことを実証した。鈴の大きさは多様で、周囲の水環境に適応することができ、水面からの酸素補給を最小限に抑えることができる。だが、長期的にはN2が失われるため、補給が必要である。

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トータル1377字となり、アブストラクトよりは詳しく、全文翻訳よりははるかに短くなりましたね。

ただ一方で、専門外の人にもわかりやすいかと言われるとかなり難しい印象を受けます。私も初見だったらなんことやら全然わからなかったと思います。

感想

正直、ChatGPTによる要約を経てもまだまだ難しく、このままでは論文紹介として堅苦しくて読む気が失せてしまうように感じました。

一方で、研究者にとっては、無駄に簡略化され過ぎず要約されているため、意外と使えるのでは?と感じます。

今回は、お試しということもあり、文字数制限のある無料版DeepLで翻訳するのに少し時間がかかりましたが、論文からの文章の自動抽出と文字数無制限のDeepLを使用できれば、一瞬で翻訳が完了します。

ChatGPTによる要約もそれほど時間がかからないので、一括処理は難しそうですが、適切なプログラムを書けばものの1,2分で今回作成したような要約記事を作ることが可能です。

加えて、これをデータベースに自動保存していけば、英語を読まずに論文の内容をある程度理解することができるようになりますね。

ChatGPTの能力は底知れず、まだまだ使いこなせていない気がするので、今後もChatGPTをアシスタントとして使った論文紹介を挑戦してみたいと思います。

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