【スパイスの科学】勝利を表す月桂樹(ローリエ)とは
古代ギリシア人やローマ人の時代から人類に親しまれている植物、月桂樹。
おそらく名前だけなら聞いたことがあるかたも多いのではないでしょうか。
この月桂樹は英語ではローレル、フランス語ではローリエとも呼ばれ、料理でも重宝されるスパイスの一種です。ここでは料理の文脈でよく使われるローリエと呼びましょう。
今回はそんなローリエの科学について紹介したいと思います。
ローリエとは
もともと地中海沿岸の地域で育っていたローリエは古くヨーロッパに広がり、古代ギリシアやローマで、肉の香りづけなどに使われていました。
月桂樹の冠は悪霊を追い払う力があるとされて、スパイスとしてのローリエだけでなく祭事などでも活躍していたようです。
そんなローリエはクスノキの仲間の植物であり、主に葉をスパイスとして使用します。生でも利用できるようですが、一般的には乾燥したローリエが市販されているのを見かけますね。
私が昔通っていた小学校には大きなクスノキが生えており、子供時代にはかなり身近なところにありました。その周りにはクスノキの枝葉が落ちていることがあったんですが、その香りはちょっと薬っぽいものでした。この成分が肉の臭みとりに使えるようですね。
ローリエはカレーやスープなどの香りづけなどにも使われ、中でもブーケガルニには欠かせないスパイスとされています。
ブーケガルニとは複数の薬草スパイスを束にしたもので、ローリエに加えてタイムやパセリ、セージなどを結んで、料理に投入するそうです。本格的なヨーロッパ料理を作る際には、使ってみたいものですね。
ローリエの成分
ローリエは刺激的なシネオール、薬っぽいオイゲノール、ミント風味と柑橘系の風味もつフェランドレンを多く含みます。他にもリナロールやピネン、サビネンといった成分も豊富に含んでいるんです。
そんなローリエに含まれるシネオールには消化を促進して食欲を増進させる効果があるそうです。
また風邪やウイルス性の感染に効果があったり、炎症を緩和して疲労を回復するなど、匂い消しの他にも様々な効能があるスパイスなんですね。
カレーやシチュー、ポトフなどの煮込み料理に使われるローリエですが、調べてみると面白い使い方をされていたりします。それが風呂に入れるというものです。
ローリエはスパイスの中でも薬草(ハーブ)の一種とされています。このローリエを刻んで布の袋で包んでお風呂に入れるとスパイスとしての効能が感じられるとか。
個人的にはちょっと驚きの使い方でしたが、日本にもゆず湯などがあることを考えると、あながち変わった使い方というわけでもなさそうですね。
香りを引き出すには
私が使っている限りでは、ローリエの香りは他のスパイスにかき消されてしまっているように感じます。しかし、それは使い方が間違っていたのかもしれません。
ローリエは煮込み料理の方に投入しますが、そもそもローリエの香り成分は水に溶けにくい性質があるようです。そのためローリエの香りを最大限引き出すためには、少量の油で軽く加熱してから料理と合わせるのがいいみたいですね。
また油は使わないよ、という場合は、やはりじっくりと長時間加熱する必要があるそうです。ローリエを上手に使うのは少々難しいですね。
最後に
今回はローリエについて紹介しました。勝利を示す植物として祭事に使われ、そしてカレーやシチューなどの煮込み料理でも重宝されるローリエはこれからも私たちの生活には欠かせないスパイスになるでしょう。
そんな素晴らしいローリエをこれからも楽しんで使っていきたいですね。
参考
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