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note|だいすけさんのnoteを読んだ

だいすけさんのことは、大阪に住んでいる青森県出身の料理人さん、ということくらいしか知らないのですが、タイトルが「ズバっ」と言い切りで気持ちがいいな、と思っていて読ませてもらっています。

内容も、新しい時代に向けてどうやって料理人をアップデートしていくかということを、テクノロジーと現代という視点を交え、大胆に提案していっています。

そのなかで、面白いな、と思ったnoteがあったので紹介させてもらいます。

体験価値がわかりづらいレストランは淘汰される

とくにおもしろかった、というより、共感したのが、「エンタメ」としてのレストラン体験の部分です。だいすけさんは、以下のように書いています。

その分、新しい組み合わせや映える盛り付けなどの付加価値が料理の価値に大きく加わるはずです。今ももう十分加わっていますが、きっと将来的には実際に料理を作ってみるという「体験型」のレストランが人気が出てくるのではないでしょうか。

未来のレストランがどうなっていくか、と考えたときに、僕は「グランメゾン」と呼ばれるレストランは、かなり淘汰されていってしまうと思います。グランメゾンといっても、コース4万円以上の本当に贅を尽くした、振り切ったグランメゾンは価値として残ると思うのですが、1~2万円くらいの価格帯のグランメゾンは、かなりきびしいんじゃないかと。

というもの、1~2万円で体験できることを考えたときに、たとえばディズニーランドで1日遊べる、とか、音楽フェスに参加するとか、洋服を買う、スポーツを観戦するといった他のエンタメと、体験価値として比較が容易で、かえって差を見出すことが難しいと思うのです。

その点、「めっちゃ高い店」とか「高級食材バンバン出てくる」、みたいな、価値基準が明確なもの、わかりやすいもの(けっきょくはお金なのが残念なところですが)は、他のエンタメ体験とはまったくちがう価値があって有利かなと。ほかのものと比べられないところまで突き抜けていくことで、体験価値があがるんだと思うんです。

では、1~2万円くらいの価格帯でどう戦っていくか、というのは、だいすけさんの意見と同様に、実際に料理したり、職業体験したり、食育やフードロスなど、意味のある(ありそうな)体験に価値がでてくるんじゃないかと思います。

レストランも可処分時間の奪い合いに参戦しないといけない

さまざまなエンタメが、スマホのなかで楽しめる時代になって、「食事の時間だけはアナログな楽しさがあってほしい」と願うことは、スマホ登場以前に生まれた人間たちが崇拝する過去の神話です。たぶん、スマホネイティブの人たちにとっては、この神話が理解できないんじゃないかと思うんです。

ひとに出会うのも、文字を読むのも、動画を見るのも、愛を語るのも、すべてがエンタメとしてスマホのなかにある時代。よくいう「可処分時間の奪い合い」のなかで、飲食だけが「聖域」であるはずなど微塵もなく、レストランで働くなら、飲食で働くなら、この可処分時間の奪い合いに参戦しなければ、きっと消えていくものになるでしょう(今の雑誌がまさにそれ)。

簡単に言えば、出かけて食事をするというのが、家でYouTuberの動画を観るよりも楽しくなければ外食なんてしないわけです。

じゃあ、レストランはどうエンタメ化していくのか。

料理人がプレイヤーとプロデューサー、2つの職業に分化する

僕は、レストランの「カラオケ化」は、ひとつあり得るんじゃないかと。思っています。

レストランのシェフになって料理を作れたり、サービスをしたり、バーテンダーになってお客さんを話したり、カクテル作ったり(そして口説いたり)みたいなことを、素人ができるようなレストランです。

カラオケって楽しいですよね。演奏される音楽は、けっしてプロ演奏じゃないけど、適度に臨場感があって、ガイドのメロディもあって、好きなアーティストの曲を気持ちよく歌うことができる。さらに、一緒にいる人も盛り上がれるし、ちょっと年齢が離れていてもいける。カラオケでは、だれでも主役になれるという楽しさがあります。

それと同じように、食材を切ったり、フライパンを握ったり、かっこいいい盛り付けをしたり。そういう料理の「気持ちのいいところだけ」でいいので、レストランの真似事ができたら、体験としていいのではないかと。

料理人は、そういう店のレシピ監修だったり、工程の管理、衛生チェックだったり、だいすけさんが言うように、食の知識を生かして「プロデューサー」としての役割が強くなっていきます。

そうなってくると、小室哲哉のようなプロデューサーとか出てくるだろうし、ヒット狙いに来る料理人も出てくるかもしれないなぁ。音楽業界見ても、音楽を演奏するうえでのプレイヤーの時代は終わったよなって思います。かろうじて歌う人だけが生き残っている。

それよりも、プロデューサー、アレンジャー、または他の分野とのコラボレーションとか、たとえプレイヤーからあがりだとしても、時代を作っているのは、そういった知的労働者たちになってきています。料理人も、おそらくプレイヤーとプロデューサーの2つの職業に分かれていくんじゃないかと。

それは、どちらもすばらしい職業なので、いまからどっちが得かみたいのは、あまり関係ないと思います。

ちなみに「カラオケレストラン」の構想はすでに #被災地農家応援レシピを作る会 で実践してます。

もちろん、そういう「カラオケレストラン」ばかりじゃなくて、ジャズバーやライブハウスみたいに、プロが料理をする場所は、今と同じようにあるんですよ。だから、まったくレストランがいらなくなるということではなく、レストランをうまくエンタメ化しつつ、可処分時間を使ってもらい、その利益で本業のレストランを運営していく。

カラオケレストラン」は、突飛かもしれませんが、今の音楽業界だって、純粋に楽曲やライブだけでビジネスが成り立っているわけではなく、楽曲から派生するカラオケ印税やグッズ展開などで利益を出しているわけではありません。

レストランも、新しい体験の展開を見つけていかないといけないと思うのです。


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