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Art|ゴッホ《花咲くアーモンドの枝》

ゴッホの作品で、一般的にはあまり知られていないけど、個人的に好きな絵があります。

1890年、ゴッホがなくなる年に描いた《花咲くアーモンドの枝》です。

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フィンセント・ファン・ゴッホ《花咲くアーモンドの枝
1890年 ゴッホ美術館

日本ではほとんど見かけないアーモンドの木を、ゴッホはサン=レミという南フランスの街で写生しました。

前年の12月23日夜にゴーギャンと口論になり耳を切り落としすなど、精神的な発作を繰り返し、ついにはこの年初めにサン=レミの精神病院に自らの意思で入院し、治療にあたっていました。

精神的なストレスを感じながらも創作は続けていたゴッホ。この絵は、ゴッホの弟テオに生まれた子供のために描いた作品だといわれています。

手前の太い枝は力強い線で描かれている一方で、それよりもやや遠くにある枝は線だけでなく色も薄くなり、一見浮世絵のように平面的に感じるのですが、その平面性を保ちながらも奥行きを出そうとしている。ちょうど、望遠レンズで遠くからのぞいているような、そんな感覚が画面にあるようにきがします。

背景の青も花のまわりは薄く、離れるにつれて濃くなっていくのも面白い表現です。

僕は、写真のように描こうとゴッホはしたんじゃないかなと思っています。

強い色彩と筆遣いの印象が強いゴッホとしては、実験的で繊細な表現に僕は魅力を感じています。

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明日は「Food」。科学的に味が分析された世界では、おいしさは民主化される、ということを書きたいなと。

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