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Human|マイ・パートナー「スニーカーとバックパック」(自己紹介テンプレ⑤)

コロナ禍で、時間ができた飲食店従事者の方に向けて、自己分析トレーニングに最適な「作文」を勧める「文章力アップ自主トレメニュー」の記事を書いていました。

飲食店従事者のみなさんも、営業が始まり時間がなかなかなくなってきているのではないかと思うのですが、「書くこと」はどんな状況でも、思考の整理とアウトプットをするうえでもっとも有効な方法の一つだと思いますので、ぜひ続けていただきたいなと思っています。

そこで、自主トレメニューの参考文例(テンプレ)の5回目を、僕も引き続き書いてみたいと思います。今回はseason2で書いた「マイ・パートナー」です。

価値感の破壊を求める仕事観の象徴

25歳で雑誌の編集プロダクションに入って以来、スーツと無縁の生活をしてきました。スーツを着た記憶といえば、謝罪のとき(思い出してぞっとする)と著者の大先生にお会いするときくらい。

たいていの取材はジャケットを着れば問題ない、って感じでしたね。その分、雑誌の取材とかで同行してくれていた営業さんとかは、「こいつ、きちんとした恰好をしろよ」なんて言われていたかもしれません。

TPOをわきまえないといえばそうですが、「服装は人への敬意だ」と教わってきたので、それでも30代は、襟付きのシャツをできるだけ着るようにしたり、自分のなかでの決まりごとのようなことはありました。

あいつはスーツを着られない

と版元の編集長にも陰口いわれて(スーツを着るタイミングを知らない、スーツを着る局面に立ち会えないなど、いろんな意味が込められている)いたこともあったけなぁ。

最近は、スーツをほとんど着る機会がなくなりました。だれも注意してくれなくなった中年、まっしぐらです。

別に自分のファッションを話してもしょうがないのですが、仕事に関連するもので使い続けているものといったら、スニーカーとバックパックが思い浮かびます。

編集者なら万年筆とか便箋とか、ペンケースなんてものが一般的なのかもしれませんが、僕にはなぜかそういうものがない。使いやすいものであることを望みますが、その使いやすさを探求しようとは思わず、コロコロ変えていく。そんな感じです。

もちろんスニーカーもバックパックも種類はその時々によって違います。だけど、この2つだけはきっと仕事をしているうちは使い続ける仕事道具だと思います。

その理由は、どちらも流行に左右されるものというのが、もしかしたら大きいかもしれません。もちろん時代を超えたスタンダードな形は、どちらにもありますが、それでもデザインはどんどん変わっていきます。

おそらく買い換えるたびに、僕はトレンドを追うわけです。きっとすでに流行を追えていないと思うのですが、それでも気にすることで社会が見えてきます。編集者の仕事にとって大事なことなにかなと。社会のニーズを理解しないといけないわけです。

常にバックパックを背負うことで両手をフリーにしておきたいとか、スニーカーは疲れないとか、現実的な理由もあるのですが、それよりも社会との繋がりを求めている。そんなことが僕の中にあるんだと思います。

それなら、革靴でも社会と繋がれるし、ショルダーバックでも流行はあるじゃないか

おっしゃる通りです。もう一つの理由は、編集者というより自分の生き方なのですが「カジュアルにこそ上質がある」という考え方です。

権威的、体勢的、伝統主義は確かに長い年月と人間の思考や技術に積み上げによって生まれているからこそ文化と呼べるものであることに異論はありません。

しかし、どんなものも始まりがあり、権威もなければ、賛同者もおらず、歴史もありませんでした。名もなき何も持たざるものがはじめたことが、すべての文化とよばれるものの出発点です。

スニーカーやバックパックはここ50年で生まれた新しい価値観だと思っています。陸上や旅行者の専門道具でした。それがアパレルブランドに吸収されて、ひとつのライフスタイルになった。

今はまだカジュアルであることがヒエラルキーとしては下層かもしれませんが、いずれ既存の価値が逆転して、カジュアルが上質とされることもあると僕は感じています。

そうした新しい価値を肯定したいという気持をスニーカーとバックパックに投影しているのだと思います。

そこには「編集者は、次の時代を導く職業である」という自分の仕事への誇りも込められているのです。

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さてさて、書いてみて感じたのは、僕の場合あんまりもの持ちをしないので、辛かったなぁ。かなり強引な文章になってしまった感ありますが、もう少し飲食業従事者の方はいろいろあるんじゃないかなぁと思います。

あとは道具を通して自分を語ることがいかにできるかってところかと思います!

ぜひ書いて見てください!

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明日の予告

明日のテーマは「Work」です。仕事依頼を書いてなかったのでまとめてみたいと思います。


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