note|Kiyotoさんのnoteを読んだ 新サービス「Chef」のやさしさ
裏方のイメージが強いレストランサービス人のイメージを覆し、外界(料理界に対する)とつながって、モロ内側から料理界を変えようとしているKiyotoさんが、noteで新サービス「Chef」を告知されていた。
利用される側にとってもうれしいだけでなく、コロナ禍で厳しさを増す飲食業界にとっても、生き残りの一つの方法になるのではないかと感じています。
ウィズコロナ・アフターコロナでのスタートの難しさ
コロナ禍にあって、飲食店の倒産が相次いでいます。8/7付けのダイアモンドオンラインには、400件がコロナ関連で倒産したといいます。
8月3日、新型コロナウイルス関連倒産(負債1000万円未満および個人経営者も対象)が全国で400件に達した。負債総額は、2394億8500万円(調査中を除く385件の合計)。帝国データバンクが同日11時までに確認した。
(中略)
業種別で見ると、レストラン、居酒屋、バー、喫茶店などの飲食店(54件)とホテル・旅館(48件)の件数が突出する結果となっている。
飲食店を経営するオーナーの方々の心労は想像をぜっするものだと思います。それとともに、才能のある料理人やサービススタッフ、夢を持って飲食店に入った若者たちがもつ不安も相当なものなのではないでしょうか。
コロナ禍からウィズコロナがスタートした4月から7月にかけて、どこも苦しい状況ではありますが、お客さまに支持されているお店というのは、お店そのもののファンというよりは、そこにいるシェフや料理人、サービススタッフにファンがついているな、と見ていて感じています。
僕自身も今、お店に行くときに「●●さんに会いに行きたい」という動機でレストランに行くように(ビフォーコロナの時からそうでしたけど、さらに)なってきたように思います。
とはいえ、このファンや応援団というのは、一朝一夕に生まれないものです。コロナ禍になって、「よし、これからはファンベースのレストランにしよう、SNSの発信をがんばるぞ!」といっても、効果が出るのに1~2年はかかります。その間に、もっと閉店するお店は増えるでしょうし、体力が続かず、飲食業界を離れる人が大量に出てきてしまうな、と考えながら、僕自身はそれに対して何か決定的なアイディアを出せずにいました。
料理人の本質的な能力だけを活かすサービス
そんななかで新サービス「Chef」は、料理人の「技術、知識、経験」に特化しています。
ぼくはそこに働くプロフェッショナルたちの価値が下がるとは思っていません 彼らには技術が、知識が、経験があります
その無形資産こそがぼくが注目した飲食業界生き残りのための命綱です
個の時代とは、優秀な人材が会社や業界の壁さえも乗り越えて活躍する時代
現代の料理人に求められる能力は「おいしい料理を作る」ことだけでは、まったく足りなくなってきています。
社会的な課題を料理を通じて解決するソーシャルな視点、料理を根本的に支える生産者や産地に対する知識とそれを伝える言語力、自らお客様の前に立ってサービスもできるようなホスピタリティなど。そこにSNSの運用力や、レストラン以外での仕事をこなすためにビジネススキルや政治・経済に対する素養、チームを作り上げるマネジメント力なども求められます。
そう、一流の料理人というのは、本当にスーパーマンなんです。
しかし残念ながら、料理人になったすべての料理人がスーパーマンになるわけではありません。
僕自身が料理に関する個人メディアのようなことをしている一つのミッションに、スーパーマンになる料理人を増やすことではなく、料理が好きな人が仕事を続けられるような選択肢を増やして、辞めようと思う人を減らしたいというものがあります。
「Chef」は、料理が好きな人が料理を続ける選択肢がいくつもあったなかで、これまでなかった選択肢になるのではないかと思っています。
コミュ力が低い人がふるいで落とされる世界
「これからは個の時代になる」とか「AIに使われる人間ではなく使われる人間になれ」ということが、まるで金科玉条のようにメディアを賑わせています。僕自身、現代の消費経済のなかで、個人の物語が消費の対象になっていくだろう、ということに同意なので、できることなら料理人も、もちろん料理に没頭するとともに、「世界に一人しかいないあなたを武器にすべきです」と大きな声で言いたい。
だけど、それができない人は必ずいます。
そういう方に、「それなら、諦めてください」とほっぽるのではなく、そういった方でも活躍できる世界にしていく方がいいのではないかと僕は思います。
「Chef」が価値にしているのは、Kiyotoさんが言うように、あくまで「技術・知識・経験」です。
このサービスはケータリングサービスではないのでシェフはユーザーの望む美味い料理を作り置いて帰ります
サービス(給仕)はありません
(もちろんテーブルまで運んでセッティングはします)
料理を作るところまでのサービスというところがケータリングとの違いなのですが、これなら過度なコミュニケーション力も必要なく、映える写真も不要です。「SNSに何を投稿しなきゃ」とか、「物語のある食材がほしい」などに悩ますことはないんじゃないかと思います。
目の前が食べたいものを、それこそ「技術・知識・経験」を使って作っていく。とうぜん、得意料理のようなものがあるといいでしょうが、たとえば「今日は、軽いものが食べたいんだよね」だったり、「ヴィーガンメニューにしてほしい」とか、「作り置きできるものにしてほしい」というようなリクエストを聞いて表現するためのコミュニケーション力は必要になるかもしれませんし、知識や技術が足りなければ、勉強しながら対応していく必要です。
それでもケータリングのように、世界観を作り上げるために事前に出張先の下見をしたり、皿を用意する必要もないのは、かなり参入障壁としては低いのではないでしょうか。つまり、何ももたなくても、文字通り「技術・知識・経験」があれば始められる。
たとえば、シェフやスーシェフ以下のレストランで働いている若い料理人なんかがいちばんピッタリなサービスなんじゃないかなって思っています。
若手料理人だと、キッチンの中だけでなかなか外のつながりができないでしょうし、自分の料理を振る舞う機会もありません。
最近はシェアキッチンも増えて、ポップアップイベントを若手料理人がしているのをみかけるようになりましたが、やってみるとわかると思うのですが、テーマを決めて、食材原価を考えて、集客するというのは、かなりの労力が必要です。継続してやっていくのはかなり難しい。
それなら「Chef」のサービスに登録して、お客様の希望にそって料理をしていきながら、少しずつ自分の個性を見つけていくというようなやりかたもできるような気がします。
また、残念ながら現在、所属先を探しているような経験を積んだ料理人の人たちにとっても、次の就職先を探す間のスポットとして登録してもいいかもしれません。そして、そこから新しいつながりも生まれるかもしれませんし。キャリアがある料理人の方であれば、お客様のご要望に応えていくのは、ある意味ずっとやってきたことでしょうからまったく問題なくフィットできるのではないでしょうか。
そういった意味で僕は、料理人だれもが持つ「技術・知識・経験」だけをサービスにした「Chef」に「できるだけ多くの料理人を助けたい」というKiyotoさんのやさしさを感じずにはいられないのです。
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明日は「Rock」。The Jeevasの「1 2 3 4」を。僕の好きなロックのパターンがつまったアルバムです。
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