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Food|パリの一つ星シェフ、伊藤良明さんのポップアップレストラン

パリから一時帰国中の「ラルケスト」のオーナーシェフ、伊藤良明さんが東京でポップアップレストランをされているというので行ってきました。

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パリで独立準備中の伊藤さんに取材をしたのは、2016年1月。物件を探している最中で、「ここで決まりそう」と教えてもらえたのが、のちのラルケストになる場所でした。その年の7月に幸運にもパリを訪れる機会があって、プレオープン中のラスケストで食事ができたのは最高の思い出です。

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その後、オープンからわずか半年でミシュラン・ガイドで一つ星を取得し、パリを代表するシェフの一人になられました。それから5年経って、伊藤さんのお料理を東京で食べられるというのは、長くレストランを楽しむ醍醐味というか、こういういった巡り合いや再会こそ、食べる側の醍醐味だよなと思います。

伊藤さんにとって、この5年間ってどんなものだったのかな? そんなことを思いながらテーブルに着きます。

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日本の食材はほとんど知らないので完全にアウェーです」という伊藤さんですが、この短期間でこれだけの食材を集めて料理をされるというのは、なかなか出来ることではないなと思いました。

日本とフランスの食材を織り交ぜながらの「おいしい料理とは何か」というすごくシンプルな目的の料理の数々に、伊藤さんという人間の幹の太さ、ブレない強さを感じるのです。

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ガスパチョ 水牛のモッツァレラ

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トウモロコシのポタージュとカカオニブの泡
低温調理したフォワグラにカカオニブ

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キンメダイのベニエ 西洋山椒と四川山椒

キンメダイは、日本のガストロノミーレストランが憧れる静岡県焼津市の「サスエ前田魚店」前田尚毅さんが手配してくれたものだそうです。

火を入れた魚の本当にふっくらとした身質とうま味が、ベニエ生地のなかにしっかりと包み込まれています。すごくおいしい。

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高知県産の樫の木で燻製したキャビア ヒラメ
イタリアの魚醤コラトゥーラでマリネしたアオリイカ
乳酸発酵させてた飯のピュレ 愛媛県産の姫レモン 早摘み豆

ヒラメとアオリイカは、キンメダイと同じ前田さんから。

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フロマージュ・ド・テッド

豚の頭部のさまざまなを部位をテリーヌ状にした「フロマージュ・ド・テッド」を春巻きに仕立て直しています。マッシュルームとトリュフの香りが豊潤。キメキメの塩味に、強い意志を感じます。

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クロムツの炭火焼き パエリア 岩手県産の白うに
フランス・ロワールのホワイトアスパラガス 行者ニンニクのソース

パエリアは、これまで出てきた魚の全部のあらでとった出汁を含ませています。ホワイトアスパラは直径2.5㎝はあろうかというホワイトアスパラガス。やっぱり太いのはおいしいですね、繊維の質感と香りが違う。クトムツはこちらも前田さんのもの。

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スイス産乳飲み子羊 実山椒を利かせたソース
グリーンアスパラガス

乳飲み子羊は初めて食べたかもしれない。草を食べる前の子羊ながらバラの脂の部分にほのかに草の香りがするのは、母牛の乳の味なのだろうか。やわらかくふるんとした食感に、若い命の姿を感じます。

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ヴァシュラン

ヴァシュランは、焼いたメレンゲにアイスクリームやホイップクリームを挟んで、フルーツ、ソースをあわせたデザートです。

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36 カ月熟成のコンテチーズを使ったチーズケーキ

45%のホワイトチョコを使っているそうです。これは本当においしかたです。コンテのチーズケーキ、フランス料理好きにたまらないデザートでした。あまりのおいしさに写真を撮り忘れてしまい、食べかけ写真しかありません(泣)。

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トリュフチョコレート

特に印象的だったのは、金目鯛のベニエとフロマージュ・ド・テッドの春巻き、36ヶ月熟成のコンテのチーズケーキは「また食べたい」と脳が記憶するほどの稲妻が直撃したようなおいしさでした。

伊藤さんのポップアップは4月から始まり、6月上旬まで続くそうです。ただ、前日満席、ウェイティング500人とのこと。

早くワクチン打って、次はパリで食べたい。


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