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Food|レストランには必ず物語がある

料理人付き編集者」の仕事が必要になってくるのではないかと、活動をし始めて1年が経ちました。コロナによって思いがけない状況になりましたが、少しづつ形になりだしています。

レストランをオープンさせるにあたってコンセプトワークを担当させていただいた「Restaurant Solfège」もその一つです。

今回関わらせていただいて、レストランを作るのは、料理やサービス、空間演出といったお客様がレストランとして実際に触れる部分以外にも、ウェブの発信もあれば、スタッフとのビジョンの共有や、PR会社さんとのやりとりなど、本当にさまざまな要素があることを知りました。その点は、雑誌の新創刊にも似ていて、さまざまな人の力を集めてようやくできあがるものなのです。

僕が担当したコンセプトワーク作りでは、そうしたさまざまな要素のなかで「Restaurant Solfège」で実現したいキーワードを一つのストーリーとしてまとめることでした。雑誌《&プレミアム》の「The guide to a better life」であったり、《WIRED》の「IDEAS+INNOVATIONS」のような雑誌のビジョンをあらわすコピーとその意味を示したノートをまとめることでした。

その際に、実際に要素として上がったのは以下のようなものでした。

①自由が丘という街にできるレストランであること
②健康志向がよりトレンドになっていく中で、本質を見据えたオーガニックな食材を中心にした料理にしていきたい
③サステナブルやエシカルといった社会の課題に対してレストランもしっかりと向き合っていきたい
④きちんとしたメッセージを発信できるレストランでありたい

そういった思いをつなぎあわせて「上質なカジュアルを」というストーリーにまとめたのが、以下のコンセプトです。

上質なカジュアルを
緑が溢れ、落ち着いた雰囲気がある自由が丘は、ファッション・スイーツ、美容や暮らしを彩る雑貨などのトレンド発信地として知られる街です。

自然や四季を愛しオーガニックやサステイナブル(持続可能な)にも敏感。環境に優しく、上質なものを見抜く力もこの街に宿っています。

その自由が丘で、音楽の基本となるレッスンを意味する”Solfège”という名前でレストランを開くことになったのは、わたしたち自身がもう一度初心に帰り、レストランの原点を問い直したいと考えたからです。

レストランの原点は食材です。美しい彩りと自然の力が宿るいきいきとした新鮮な旬の食材をこよなく愛し、生産者や農家とともに、Solfègeを訪れた全ての方の身体と心が喜ぶ食材を厳選しました。Solfègeの軽やかで上質な料理をお楽しみください。

あなたは、あなたの人生のヒーローである

そして、いよいよ「Restaurant Solfège」がオープンする1週間前に、統括支配人 成澤亨太さんと料理プロデュース 滝本 亘さんの対談記事を、運営するTOYO JAPANのコーポレーションサイト配信しています。

なぜこんな時期にレストランをオープンするのか? その想いをまとめることで、コンセプトワークをできるだけストレートに理解してもらえるように、お二人の思いを語ってもらっています。

この取材で、僕が意識したのは「すべての人はヒーローになれる」ということでした。成澤さんも滝本さんも十分なキャリアをお持ちの二人で、肩書きだけで十分な「ヒーロー」なのですが、肩書には現れないところで、悩みや不安を抱えて、それを乗り越えるために日々何かを変えながら生きていらっしゃいます。

そして、そういう日々の積み重ねを通じて何かが生まれる。お金では買えないそういった心の部分に一番価値があって、その心の動きは、例えば僕がそのまま真似してできることでもないし、真似しても意味がいないことで、それこそ唯一無二の「あなたは、あなたの人生のヒーロー」なんだと思うんです。

「僕になんて語る人生はないですよ」なんていう人がいますが、そんなことはない。すべての人の人生は、壮大な物語であるはずなのです。

そして、レストランの誕生も同じ。開店までに至ったさまざまな物語を、お二人の心の動きと交えながら、きちんと伝えることができれば、多くの人から「特別なレストラン」に思ってもらえるのではないかと考えたのです。

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ウィズコロナ/アフターコロナの世界では、たくさんある来店要素のなかで、「あなたに会いたい」という、人への欲求が強まっていくと思っています。レストラン、そしてそこで働く人たちが、自分たちの特別な物語をきちんと語っていくことが必要になってきます。

そんなことを今年3月にTOYO JAPANの阿部洋介さんと成澤亨太さんにお話ししたことが始まりで、「Restaurant Solfège」の立ち上げに参加させてもらいました。

とはいえ、僕ができたことは本当に少しで、「Restaurant Solfège」は、飲食業の未来をコロナを理由に暗いものにしたくないというお2人の強い意思が実現したレストランです。

僕はそういった想いをしっかりと伝えていくことで、飲食業を盛り上げていけたらと思っていますので、レストランのコンセプトワークにお困りの方、お声がけ下さい! あなたのレストランにある物語を、僕がしっかりと引き出します!

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明日は「Human」です。

料理人付き編集者の活動などにご賛同いただけたら、サポートいただけるとうれしいです!