Food|大手町「常盤橋フードトラックストリート」へ
地下鉄の大手町駅B8a出口付近に、11時から14時まで「常盤橋フードトラックストリート」とよばれるスペースに、6台のキッチンカーが出ている。その中の一台で、毎週水曜日限定で友人のシェフ、山崎真人さんがレシピ監修したまぜそばが販売されているということで、先週と今週、2週続けて行ってきた。
2/5の初日に行った時は、キッチンカーのオペレーションの確認など、試運転的で、味もまだまだ改善できそうだと山崎さんは話していたで、1週間でどうなったか楽しみで行ったら、大幅に調整して、まじウマなまぜそばに仕上げてきていて、ほんと驚いた。
1週間で劇的変化、レストランクオリティのあえそば
このまぜそばは、目黒の量り売りの八百屋「HACARI」や産直野菜スティックサラダのデリバリーサービス「The SALAD BAR」などのサービスを運営する「株式会社yoloz」がやっているもの。その料理監修を山崎さんが担当している。
キッチンカーに掲げられたコンセプトはこう書いてある。
特製香味ダシ油の旨味あえそば
昆布だし油と野菜の香り油の二種類をブレンドしたオリジナルの香味油にフォン・ド・ヴォーを加え、海の幸と山の幸、和と洋の旨みを詰め込んだサッパリとした油そばです。
浅草 開化楼 特製麺 使用
そして、僕が今日購入したのは、これ。
[2/12版]香味ダシ油の旨味あえそば800円
グリル野菜トッピング100円
そして、先週のがこちら。同じメニューで定点観測です。
[2/5版]香味ダシ油の旨味あえそば800円
グリル野菜トッピング100円
まず最初に変化を感じたのは、香りの使い方だった。
ボウルの蓋を開くとスパイシーな香りが立ち上がってくる。台湾の花椒(ホワジャン、ホアジャオ)だ。
もともと2種類の香り油(昆布オイルとニラオイル)を使っているので、先週からまぜているとオイルの香りがたってきてはいたのだが、さらにその前に、蓋を開けた段階から香りを出すあたりは、レストランシェフならでは。香りのコントロールがうまい。
もうひとつ、見た目でもわかるのは、グリル野菜の存在感だ。
先週までは、和えやすいようにダイス状になっていたものが、大きく長くスライスされているのがわかる。これによって、野菜の食感が生まれて、野菜を食べている感が大いに増した。「さっぱりとしたまぜそば」というコンセプトにそって、ヘルシー感が爆増ししている。
ちなみに本日のグリル野菜は、赤カブ、赤ダイコン、ニンジン、シャドークイーン(ジャガイモ)、紅あずま(サツマイモ)、菜の花。とくに、菜の花の茎のグリルは、甘くておいしかった。
昆布オイルも改良したそうだ。
昆布の旨みをオイルに移すフレーバーオイルだったが、オイルに入れる前に、昆布を火にかけて昆布炭のようになるまでしっかり香りを出すことで、オイルにスモーキーな香りが加わり、香りに奥行きを与えている。
下の写真が2種類のフレーバーオイル。上が昆布オイル、下がニラオイル。
あえるタレは、フランス料理における牛出汁「フォン・ド・ヴォー」に黒酢を合わせたもの。
ここに今週から南米原種のトウガラシ「チポトレ」(一緒に行った唐辛子農家で買ったもの)を加え、ピリリと辛みがアクセントとして加わった。唐辛子の辛み成分であるカプサイシンは、脳内にβエンドルフィンという、快楽物質を放出する。つまりやみつき作用で、これがスルスルと麺を口に運ばせる。
麺は、浅草の名物製麺所「開化楼」製。シャキッとした歯切れのよい麺で、胃に負担がすくない(おそらく、加水が他より少ないんじゃないか)。
ニーズを掘り起こす「あさっり油そば」の挑戦
「常盤橋フードトラックストリート」には、山崎さんのあえそばが食べられるキッチンカーを合わせて6台が集結している。ほかの店は、イタリアのフィレンツェの郷土料理「オッソブーコ」のライスがけや豚丼、から揚げ弁当、牛や豚の焼き肉弁当など、ガッツリ飯モノが多い。
じっさい、これまでの傾向上、ご飯モノの方が売り上げがよく、麺やハンバーガーといったものは、「常盤橋フードトラックストリート」では苦戦してきたと、このスペースの運営者はいう。
確かに、「ガッツリ」を求めるなかでは、ご飯モノに比べて麺やハンバーガーなどは、弱いかもしれない。チョコチョコっと副菜がある弁当に比べて、1食ドカンでは、ちょっと寂しいという意見もうなずける。
しかし、一方で、今回のまぜそばは、「ガッツリ」のステージではない、「野菜」や「あさっり」といた、別のステージで勝負しようとしている。しかも、「香り」や「辛み」といった、食事時間の体験値を長くする工夫もなされている(開けた瞬間の香りとか、食後に舌に残る辛みなど)。
そういった、レストランシェフならではの食体験のデザインは、週に1度の楽しみになりえるのではないかと思う。じっさい、僕自身、今週のまぜそばなら、また食べたいと思う。
食べられるのは3月までの毎週水曜
「常盤橋フードトラックストリート」は、月~金の11~14時まで、大手町のB8a出口のそば(パソナのビルの隣)で開催中。山崎さんのまぜそばは、3月まで毎週水曜に販売している。
ストリートには、ベンチもあるので、天気がよければそこで食べていくこともできる(ただし、ごみ箱はないので、食べ終わった容器は持ち帰ることになる)。
ニンニクは使っておらず、強烈な臭いもないので、新幹線の中で食べるお弁当にもなるだろう。
キッチンカー発のサッパリとした油そば。食べてみてほしい。
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