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読書ログ『流山がすごい』

読むのにかかった日数:1日
臨場感のあるドキュメンタリーで、ページ数も少なくするする読めました。特に前半の市長選の様子は圧巻!思わず胸が熱くなりました。


6年連続人口増加率1位を達成した、千葉県流山市に関する書籍です。
『母になるなら、流山』『父になるなら、流山』というキャッチコピーで知られる流山市。
そのキャッチコピーが示す通り、流山では子育て中の共働き世代にターゲットを絞った政策を行い、近年大幅な人口増加を続けています。
つくばエクスプレスが出来て、わずか30分ほどで秋葉原駅に到着可能となった利便性も申し分ない流山。
これから子供を産みたい、でも仕事も今まで通り続けたい。
そう考えている私は、果たしてどんな政策を行っているのか気になりこの本を手に取りました。

◆書籍に記載のあった子育て世帯向けの主な支援は以下の通り
・駅前から保育園へ送り迎えを行う「駅前送迎保育ステーション」を設置。送り迎えの時間が短縮可能。
・仕事が遅くなっても、ステーションで子供を預かってくれるサービスを実施。
・認可保育園の数を13年間で6倍に増加。定員数は4.8倍に。
・保育士確保のために保育士の待遇を改善。
・一度キャリアを引退した人向けの女性向け創業スクールを運営

都内に住んでいると、どうしても気になってしまうのが保育園問題
保育料が高いのはもはや諦めるとして(本当は諦めたくないですが)、定員オーバーで入園させることが出来ず仕事を辞めざるを得ない状況は最も避けたいところ。
しかし、待機児童が多い地域ではやむを得ず入園できないことも頻繁にあると聞きます。
点数を稼ぐために育休を早めに切り上げ、高額なベビーシッター料金や一時保育を利用して収入がマイナスになってしまうなど、なんだか子育て世代にちっとも優しくないなぁと思うことは少なくありません。
仕事をして税金をちゃんと納めて子育てを頑張ろうと思っているのに、そんな当然のように思うことが当たり前に出来ない。
ここまで頑張って子供を産む必要があるのかな?と躊躇してしまう人も多いのではないかなと、現在の子育て事情を調べるたびに思います。

そんな子育てにかなりネガティブな思いを抱いている私にとって、この流山市の政策はとても魅力的に映りました。
単純に保育園を増やすだけでなく、質の高い教育のために保育士を確保。そのために必要な待遇も改善。
ここまで市民に寄り添った行政を行う市があるのだなと感動を覚えました。
これを実現するために奔走した井崎市長や、民間で期待挙げた分析スキルをいかんなく発揮し活躍されてる近藤市議の活躍は見ていてとても熱い思いがこみ上げました。
区に対して「なんかいい感じにならないかな」と口を開けて待っているだけでは何も変わらない。そう自らの行いを反省したものです。


書籍を読んでいて一番惹かれたのは、流山市には市政としては異質なマーケティング課が存在することです。
リンク先にもありますが、流山市のイメージアップ・認知度アップのために様々な施策を打っているのがわかります。
この課はアメリカで街づくりを徹底的に学んだ井崎市長肝入りの課。何と日本の自治体で唯一の課だそうです。
発足当初にマーケティング課を起こすことについては、「行政が金儲けをたくらむなんて」と反対の声も多かったそうです。
しかしその声に真っ向から立ち向かい、こうやって今も同課は活躍を続けています。
民間から来た新しい風をうまく取り入れ、既得権に真っ向から立ち向かう姿勢には心打たれるものがありました。

※若干気になるのですが、行政のHPってなぜこうもページ内にpdfリンクをくっつけるのですかね…クリックまでのハードルが上がるのでHPにコンテンツでそのまま情報を表示して、かつ必要な方向けにpdfリンクも載せるとかできないのかな。



市政に携わる職員の方の活躍以外にも、流山の制度や土地を活かして自ら動こうとする人々の様子が多く描かれていました。
本音を言えば人口増加率向上を達成するために行った施策についてもっと掘り下げたり数値的なデータを見たかったという思いもあります。
しかし限りなく『人』にフォーカスしたところが、流山市の力強い面のアピールに一役買っているのかなとも思いました。
文末のあとがきにある通り、「自ら機会を作り出す」人を後押しし、そのサポートを受け力強く踏み出していく人々が作り上げた結果が、今の流山市なのだと感じます。
行政を「自分一人が声を上げても何も変わらない」と他人事にするのではなく、当事者の一人として行動していくこと。
その大切さについて、改めて考えることが出来る書籍でした。


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