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子どものころの夢のような



 いつの間にか、スーパーAにセルフレジが導入されていた。



わたしが行っているスーパーはAとBの2つあるのだが、Bにばかり熱を注いでいて、Aの変化になかなか気付けなかった。
突如として現れたセルフレジゾーン。
店員さんはしきりに、「セルフレジ空いております。ご利用ください〜」と声を張ってくれる。
気になる。
チラッと目を向けるが、レジのすべてを自分でやる億劫さと、途中で何か分からないことがあって店員さんを呼んでいる人を見るため、わたしは有人レジでいいかな〜と思っていた。




2月のある日。めちゃめちゃ有人レジが混んでいる。うわぁ、と思うほどの列ができていた。

かたや、セルフレジはスカスカだ。

ゴクッ。
意を決してセルフレジゾーンにはいった。

左側にカゴを置き、右側にエコバッグを掛ける。ピッ、ピッ、ピッ、と商品を読み込ませていく。
お会計。

思いの外、順調のままレジは終わった。

なんだ、簡単じゃん。しかも楽しかった。 




 子どものころ、ミニサイズのレジスターのおもちゃを持っていた。
お会計を表示する画面にはシールが貼られていて数字は変わらないし、レジの色も濃いピンク色をしていて本物とは程遠かった。

付属の商品を読み込ませるとピッと音がした。ボタンを押すと、お金を入れる引き出し部分が開いた。
それだけでワクワクした。お気に入りだった。


壊れてしまって遊べなくなったけれど、レジごっこが好きだった。




 今は本物のレジに触れる時代になったのか〜。

想像もしていなかった。


バーコードを光っている小窓にかざすと、商品を読み込んでくれる。金額も加算して表示されていく。
ピッ、ピッと音が鳴るたびに、子どものころのワクワク感を思い出すようで、ほんの少し高揚してくる。


願っていたことはないはずなのに、長年の夢が叶ったかのようだ。



何事も、新しいものを取り入れるときは嫌がられるけれど、乗り越えてみると「あら、こんなことだったの?早くやれば良かったわ〜」なんてことはよくある。


大人になるにつれて、二の足を踏みがちになった気もするけれど、食わず嫌いせずに飛び込むことも大事だ。


でも、ときどきは使うから、有人レジは無くさないでください。
お願いします。





もしサポートいただけたら、部屋の中でものすごく喜びます。やったーって声に出します。電車賃かおやつ代にさせていただきます。