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とろ日記(5/25と5/28付加価値①)


 道端に割り箸が落ちていた。
夜に、夫とスーパーまでさんぽ兼買い物に行った帰りのことだった。

暗闇と外灯の明かりが交わったところに落ちていた。透明なビニールに入っている割り箸。ぽとん、という感じで、歩道の真ん中にあった。見つけたときに「割り箸が落ちてるなんてあんまり見ないかも」と「割り箸なら欲しいな。使い道ありそう。だからといって、さすがに拾わないし使わないけど」と思った。
割り箸は買い物で貰う物だし、落ちていてもおかしくはないんだけれど、必要で貰ったとしたら(箸がない、洗うのが面倒だから割り箸を使おう等)、大事(?)に家まで持って帰るだろうに。落としちゃったのか…。家に着いて割り箸がなかったらショックかも、という思考になった。


「割り箸落ちてたね〜。あんま見ないかも。(我が家で)割り箸は使うけど、さすがに拾わないよね。笑」
みたいな話をした。家に着くと、どちらからか忘れたが、落ちていた割り箸から物語が出来そうという話になった。




わたしは、拾った割り箸がなんとなく捨てられず、机の上に置いたままの主人公が浮かんだ。

マンション(かアパート)に住んでいる彼は、コンビニ帰りに落ちていた割り箸をなんとなく拾い、持ち帰った。使う気はないけど、捨てるのも違う気がする。机に置いたまま、いつもの日常を送る。

ある日、マンションで火災が起きる。気づくのが遅れた彼は、逃げるのが遅れてしまう。火の手や煙がジワジワと部屋にやってきている。焦った彼は転び、足を痛めてしまう。ほふく前進で玄関ドアまで進み、開けようとするがうまく開けることができない。もしやここで……。ヒヤリとそう思ったとき、ギィ。ドアが半歩開く。なぜだ?ドアの足元を見ると、拾った割り箸がストッパーとなり、ドアを開けていてくれた。倒れ込むように、上半身が外に出る。気づいた救急隊に助けられ、彼は意識が朦朧とする中、振り返る。割らない方向に、半分に折れた割り箸。ドアがバタンと閉まるまで、彼の目に焼き付いた。


火災は無事に鎮火。病院に行ったり、親と会ったりしてから部屋を見に行った。最後に見た割り箸が頭を離れない。ここで見たんだ。それなのに、玄関を探しても、どこを探しても割り箸は落ちていなかった。ただ拾っただけなのに。使わなかっただけなのに。割り箸。割り箸よ。

(すべて想像です)


みたいな話を考えた。


つづくかも。


もしサポートいただけたら、部屋の中でものすごく喜びます。やったーって声に出します。電車賃かおやつ代にさせていただきます。