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第十九番 中吉



厄年だ。
厄年になってしまった。
しかも本厄らしい。





 数え年18〜20歳のわたしは、初めての厄年を迎えた。でもたぶん、当時はそんなのへっちゃらだった。厄年だなんて意識していなかったし、そもそも、その情報がわたしに届いていたかすら微妙だから。



あれから12年。
数え年32歳で再び厄がきた。それは去年で前厄。
そして、今年は本厄だ。
前厄はあまり気にしていなかったのに、今年の本厄はなぜか気になる。第六感が冴えているかのように、わたしは停滞している空気を感じているのだ。
考えてみると、前厄だった去年は人生の中で一番病院に行っていた気がする。
もしや、厄の気配が漂い始めていたのか……!?なんて思った。
(人間はおもしろいもので、こじつけたくなりがち)



お祓い行っておこうかな。


思い立ったが吉日で神社へ向かった。




 初めての厄祓い。



未知のものに対して、極度に緊張してしまう。変なことをしてしまわないか、恥をかかないか心配なのだ。



前のお祓いが終わるまで、控え室でひとり待つ。
他の人来ないのかなぁと思いながら、厄祓いの内容を確認する。途中で玉串拝礼があるため、作法をイラストと文字で説明している張り紙を熱心に読んだ。
(玉串拝礼を簡単に言うと、葉っぱつきの榊の木の枝を神様へ献上し、二礼二拍手一礼をするもの)



祖母のお葬式関連で玉串拝礼を何度かやったことがあるが、毎回これでいいのかな?と思ったまま終えていたので、少々不安だった。



そわそわ待っていると、巫女さんに案内され、わたしは1番前の席に座った。ドキドキ。
厄祓いが始まった。


宮司さんに、白いヒラヒラがついた棒でシャッシャッシャッと祓ってもらう。巫女さんは鈴でシャンシャンシャンとしてくれた。


祝詞が好きなので、神経を耳に集中させる。
今回も「かしこみ〜かしこみ〜」が聞けた!
マスクの下でにやついてしまう。
わたしの住所も名前も、宮司さん特有の声の調子で読まれると嬉しい。特別なものに感じられた。


いざ、玉串拝礼。

ちゃんとできるかなぁと内心いじいじしていたが、意外にもすんなりできて終わってしまった。
わたしも大人になったんだなぁと思っていると、巫女さんの言葉を聞きそびれた。
とりあえず椅子に戻るかと座ろうとしたら、
「あの」みたいなかんじで巫女さんが戸惑いの声を出した。

祈祷後に渡されるお守りやお神酒などを貰って帰るところを、わたしは椅子に座ってドッコイショしようとしてしまったらしい。
恥ずかしさをワハハハとごまかし、ぺこぺこして拝殿から出た。



ふーっ、終わった〜。
ひと仕事終えてホッとしたので、おみくじを引いて帰ることにした。
ただ、わたしは運気の停滞を感じているまっ最中だ。おみくじを引いても、絶対に大吉が出ないという確信がある。
運気好調、流れがいいと感じていたころは、いつも大吉を引いていた数年の経験があるので、
直感的に″分かる″のだ。
(スピリチュアルというよりもただの勘)


躊躇せず、これだと思ったものをザッと持ち上げた。



中吉




うん。腑に落ちる。
ショックでもなんでもなく、受け入れられる。


頑張り次第で、上にも下にも行けるよ。
どうするかは、あなた次第だと試されている感じ。



泥の中で身動きが取れないからって、まったく動かずに沈んでいくだけなのは避けたい。
休みながら、合間合間にもがいていれば、1ミリくらいは移動できてるかもしれない。
無理しないけど、少しでも進むように。




今のわたしには、中吉がしっくりくる。





(ちなみに、おみくじの順番)

大吉>吉>中吉>小吉>末吉>凶>大凶

※諸説あり




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