ドンマイ、わたし。
先日、娘(小6)とピアノのコンサートに行った。
小中学生とその保護者、ピアノの先生等を対象にしたコンサートだ。
息子(小2)は、(珍しく)すんなり夫と出かけてくれた(大好物のカツ丼とポケモンセンターで釣った)。
終わったら、私と娘はスイーツを食べに行く約束。
ルンルンだ。
私も娘も、いつもよりちょっとだけかしこまった格好で会場入り。
こじんまりしたホールだが、天井が高くて音がよく響く(前に発表会で来たことがある)素敵な空間だ。
既に来られている親子連れやピアノの先生(に見える)で半分くらい席が埋まっていた。皆さんお上品(に見える)でなんだか華やかだ。
ちょっとだけ、背筋が伸びる。
ピアノのコンサートや発表会では、ステージを向いて左側の席に座ることにしている。ピアノを弾く手元がよく見えるからだ。
上の方の席が埋まっていたので、前から5列目くらいの左側の席に座った。
娘もピアノを習っているので、きっと刺激になるはず、そう思っていた。
程なくして公演が開始した。
やはり、ピアノの音色は素晴らしい。ホールに響き渡る旋律に身を委ね、味わっていた。
3曲目の途中、娘がモゾモゾ動き出した。
どうやら昼食後だったため、睡魔が襲ってきたようだ。
静まり返った客席では、咳払い1つでもものすごく響き渡る。
動くのはちょっとやめてよね~、と思っていたら、動きが止まる。
見ると、なんと、頭を90度に傾けて背もたれに完全に収まり、目を閉じている。
ーーわ、寝てる!
静かに寝てくれるならいいが、たまに寝言を言ったり急に起きたりする娘なので、この場ではそれは完全にNGだ。
しかも、周りのお子さん達は真剣な眼差しでピアニストの方を見ている。
ーーうわ〜、どうしよ。
ヒヤヒヤしているうちに、演目は進む。
なんとか第1部が終わり、休憩時間を迎えた。
最後の拍手の音で起きた様子の娘。
ーーばっちり寝てたね。寝言言わないかヒヤヒヤしたよー。どうする?もう帰る?
娘「いや、ちょっと寝てすっきりしたから、多分大丈夫。次は聴きたい曲がある。」
ーーそう?じゃあ、聴こうか?
大丈夫だろうかと不安になりながらも、娘を信じることにした。
そして、第2部が開始。
途中、横目でチラチラ娘を確認。うん、しっかり聴いている。よしよし。
だが、ちょうど2曲目が始まった頃。
今度は予想外の事態が発生した。
なんと。
私のお腹が怪しい雲行きになってきたのだ。
以前、この記事でも書いたことがあるが、私の胃腸は大変弱い。
ーーえ?
頭の中が混乱する。
ーーさっきまでなんともなかったけど?
冷や汗をかきながら、食べたものを振り返る。
ーーあ、朝からメロンパンとアップルパイ食べたわ。バター&バター。それに渋いコーヒー(刺激)に牛乳入れてカフェオレにした(牛乳古くなってたかも)。
あー、そして昼はミニラーメン(汁は残したけど)。
それに、昨日割と夜遅くに焼き鳥食べたよね。うわ、ビールも。あー、あの時から累計したら結構脂もの、刺激物、摂ってるわ。。
寄せては返す波のように、1分くらいの間隔できゅーっとした下腹部の痛みに襲われる。
経験上、もうそんなに猶予はない。
額には妙な汗が。
もはや、ピアノの音色どころではない。
ーーは、早く終わって~!!
膝の上で両手の指を絡ませて握りしめ、心の底から祈る。
ーーどうか、どうか助けて。。
そして、ついに光が差し込む。
曲が終わり、演者が交代するのだ。
ーーチャーンス!!
娘に小声で「ママ、お腹痛いからトイレ行って来るね。」と告げ、身をかがめて会場から脱出した。
なんとか間に合った。
ほっと一安心。
そしてふと思う。
娘の居眠りより何より、とんでもなく目立つ行いをしたのは、そう、私だ。
こういうこと、実はよくある。
外食中、子どもの食べこぼしを拭いたり、スプーンでガチャガチャするのを止めさせたり、に集中していたら、自分の肘でコップを倒し、飲み物をぶちまける、とか。
走り回る子どもを追いかけていたら、足を思いっきり水溜まりに突っ込んで、自分だけびしょ濡れになる、とか。
子どもの粗相よりはるかに厄介なハプニングを引き起こす。
しょぼん。
なんだかとてつもなく虚しくなる時がある。
「何やってるんだ、わたし」、と。
でも。
そもそも、それって落ち込むことでもないんじゃないかと思い直す。
母親だからしっかりしなくちゃ、とか、人前だからちゃんとさせなくちゃ、とか思うから落ち込むんだ。
子ども連れていたら、注意力散漫になっても仕方ないし。失敗する確率も上がるよ、そりゃ。
それに私は今、たまたま有難いことに子育てを経験しているけれど、母親になったからといって、偉くなった訳でもなければ、急に何かが得意になる訳でもない。
子育てを通して、プラスマイナス色んな体験をしているのは事実だけれど、私という人間が生まれ変わったわけではないのだ。
おっちょこちょいで、緊張しいで、胃腸が弱い私は何も変わらない。
そうだ、私は私なのだ。
だから、多分誰も言ってくれないので、心の中で自分で言う。
「ドンマイ、わたし。そんな日もあるよ。」
と。
その後、席に戻り、無事にコンサートは終了。最後まで娘は起きて聴いていた。ナイス。
お腹の回復のため、約束していたスイーツは諦めた。娘がタピオカドリンクを美味しそうに飲むのを眺めながら、その日の出来事を振り返る。
この日得られた教訓は2つだ。
よく考えたら、この教訓に、子どもは全く関係ない。
つくづく、ドンマイな私なのだ。
*
最後まで読んでいただきありがとうございました。
みなさんも色々頑張りすぎずにご自愛くださいね。
***2023/6/5追加***