見出し画像

チョコクッキーはしょっぱい

小さい頃、チョコクッキーがとてもすきな子どもだった。今も好きなのだが、当時はチュッパチャップスとならび、狂ったように食べていた二大好物だった。本当に、暇があれば食べていた。これはそんな三歳児のとある日の話である。
その日もいつものように母親がお夕飯の支度をしていた。となりで何か夢中になってひとりで遊んでいるわたし。るんるん。しばらくすると飽きたのか、母親の方へ歩き出す。お腹空いたな。きょろきょろ。台所を見渡すと、どうやら目の前にチョコクッキーと思しきものを発見。わあ、クッキーあるじゃん!食べたい!しかし、そのパッケージは見るからに何か他のものであったので、わたしは困惑した。うん?なんだ?これはチョコクッキーなのかな?それともとっても似た他のものなんだろうか?わかんないからママに聞いてみよう。「ママ〜これなに〜?」少し間があってから、返事が返ってくる。「ん?...塩こんぶだよ」そうなんだ...?脳内は全力でクエスチョンマーク。え?これチョコクッキーじゃないの?しおこんぶってなに?そんな似た食べ物あるの?疑いと困惑の表情をするわたしの隣で、母親はお腹に力を入れてへんな笑顔を浮かべている。ふ〜ん。それなら仕方ないか。わたしはしぶしぶ自分のあそびに戻ったが、何かすっきりとせずもやがかったままだった。
それから、ときが経つこと十五年。学校から帰ってきてお腹が空き、冷蔵庫と台所を物色していると、何か見覚えのある色と文字面のパッケージに出くわした。ハッ...........!?これはあのときの................。電撃が走った。そのときやっと全てが理解した。あまり調理をしないわたしは、こいつと再会するのにこんなに時間を要してしまった。完璧に思い出した。このパッケージ。文字面。間違いない。鼻息荒く近くにいた母親を呼び出す。ねぇ、昔さ。なんだなんだという顔で近づいてきた母親、わたしがすっと塩こんぶを指差すと、堰を切ったように笑い出した。...なんだと!?この人.........覚えてやがる。ほとんどのことを忘れている母親が、こんな反応するのは珍しい。「クッキーでしょ?」うん、だけどさ、いや、まじで、だれがジップロックとして塩こんぶの袋使うんだよ。
以来、実家で塩こんぶを見つけると、「わあ〜クッキーじゃん!食べていい?」「いいよ」「ん、....しょっぺ!」という謎のやりとりをするようになった。くそ〜!許せない!一生ゆるさんぞ!!!!!子どもにもやってやるからな!と母親に強気に言ったが、たぶんわたしのことなのでやらないだろう。ん〜、やっぱやるかも。食事前に食べさせたくないもんね。ありがと。笑

どうも〜