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note上場初年度のIR活動を振り返る【#IR系AC】

こんにちは、note(東証グロース:5243)でIRを担当している三浦です。
この度はじめて「IR系アドベントカレンダー」に参加させていただくことになり、15日目の担当として、こちらの記事を書かせていただきます。

IR系ACの詳細につきましては、発起人であるシゲマツさんの記事をご参照ください!

昨日のご担当は株式会社TWOSTONE&SonsでIR・PRを兼任されている森川さんでした。

いつもXやnoteで積極的に発信されている様子を拝見しており、その裏側でこんなにアツイ想いを持っていらっしゃったんだな・・・!と、大変刺激をいただきました。特に下記の部分については、私もPRチームと連携することが多く、年々IRとPRの垣根がなくなってきているように感じていますので、改めて意識したいと感じた部分でした。

IR業務の一端に触れてみて、広報・PRの生み出すアウトプットや手法とは異なるため、最初は不安でしたし戸惑いました。そして勉強して覚えなければいけないことばかりで、とても難しい職種だとも感じます。
ですが、私がこの1年で得た気づきは「本質はIRもPRも同じである」ということです。
自社の価値を用いて、投資家・株主の方々に伝わる言語で対話する。

今年もさまざまなバックグラウンドの方々が中身の濃い発信をされているなかで、私に語れることはなんだろうか?と考えてしまったのですが・・・各社各様の考え方・取り組み方があるのが、IRの奥が深くておもしろいところ。

当社は上場して約1年というタイミングでもあるため、この機会をお借りし、noteのIR担当者が1年間どんなことを考えながら活動してきたのか、その裏側を少しお伝えしてみたいと思います。




改めまして、自己紹介

最初に簡単に自己紹介をさせていただきます。

前職は不動産デベロッパーで、分譲マンション営業や収益不動産投資といった不動産どまんなかの業務もちょこっとだけ挟みつつ、約5年間にわたりIRを経験しました。その後noteにジョインし、約1年間の上場準備期間を経て、昨年12月の上場以降、本格的にIR活動を担当しています。

前職は時価総額数千億のプライム企業であり、かつ比較的海外投資家が入りやすいと言われる不動産セクターでしたので、「有力海外投資家とのリレーションキープ」を活動の中心においてIRをしていました。海外IRや統合報告書の作成、サステナビリティ関連の業務などに多くの時間を充てていた記憶があります。

一方、上場企業としての歩みをスタートしたばかりのnoteは、個人投資家のみなさまに向けたIR活動を中心に展開していくフェーズ。もちろんIRとして基本となる部分は同じですが、業種も会社のフェーズも異なるなかで新鮮な気持ちでIRに取り組んでいます。

Xでも情報発信していますので、フォローいただけると嬉しいです!

それでは、本題に入っていきます。


上場初年度IR活動で意識してきたこと

最初に白状すると、私自身は個人投資家向けIR活動の経験はそれほど多くないものの、noteはサービスの知名度もあるからそれほど困らないのでは?、業績成長にあわせて自然と市場の評価も上がっていくのでは?と、当初はどこか楽観的に捉えていたところもありました・・・。

ですが、上場前後のタイミングから少しずつはじめましての投資家の方々と対話させていただく機会が増えるなかで、以下の点が課題と考えるようになりました。

課題①:noteに対するイメージは、ご利用いただく方の用途や使用頻度、使用歴によってかなり差があること。
noteで記事を販売したことがある人、記事を購入したことがある人、無料の記事しか読んだことがない人、noteをまだ利用したことがない人では、それぞれに届けるべき情報の内容が大きく異なります。そのため、どなたにとってもnoteのさらなるポテンシャルを感じていただくためにはどんな情報をどのように伝えるべきか、常に考えて発信する必要があると感じています。

課題②:CtoCプラットフォームとしてのnoteはすでにある程度完成しているように見えてしまい、今後の成長イメージを持っていただきにくいこと。
noteをご覧いただいたことがある方からは「noteって、もう完成してるんじゃないの?」というお声をいただくことが多くあります。当社としてはまだまだたくさんやりたいことがあるのですが、文章系コンテンツがたくさん集まるメディアとしてのイメージが先行し、今後の成長性に期待して興味関心を持っていただくことの難しさを感じています。

上場するということはすなわち、上場企業数千社のなかから当社に投資いただく意味が伝わらなければ、投資していただけないということですので、上記2点の課題を念頭に置きながら、以下の3点を意識して取り組んできました。


1)株主・投資家のみなさまと直接会話する機会をつくる

特に課題①(相手によりnoteに対し抱いているイメージが大きく異なる)を意識したときに、noteに対してどんなイメージを持ってくださっているのか、またIRサイドから発信する情報や会社説明に対してどのような印象を持ってくださったのか、生の声をいただきながら伝え方のブラッシュアップをしたい。

そんな思いから、決算説明会も「機関投資家・個人投資家にかかわらず、どなたでも参加可能」とオープンにしたほか、下期には集中的に個人投資家の皆さんが集まる勉強会にもたくさん参加させていただき、直接会話させていただく機会を多く設けることに注力しました。(参加させていただいたリンクスリサーチ小野さんKabuBerry yamaさん湘南投資勉強会kenmoさん神戸投資勉強会キリンさん、ありがとうございました!!)

毎四半期発表する決算説明資料はもちろん、個人投資家向け説明会資料も毎回微妙に改修を重ねながら、お伝えする内容も見直しながら準備をしています。

まだまだ模索中ですが、一部抜粋してご紹介します。

  • noteが生み出すコンテンツの新しい価値

noteでコンテンツを購入したことがない方にとっては、「noteでコンテンツを買うメリットは?書籍や有料メディアを購読するのとどう違うの?」といった疑問が生じることがわかり、追加したページです。
物理的にコンテンツを届けようとする場合、流通の制約上どうしてもその形式や販売価格が制限され(例えばビジネス書は概ね200-300ページ、1,500-2,000円程度ですよね)、この形式や価格に見合った内容しか届けられません。
一方noteであれば、データファイルや動画、音声でも届けられるなど形式に制限がなく、ニッチな情報・タイムリーな情報も自由な価格で設定できるため、これまで流通させられなかった情報・コンテンツを販売することができるメリットがあります。
部分的には書籍・メディアと競合する部分はありますが、noteにしかできないこと、noteにしか生み出せない価値があると考えています。


  • noteが取り組む課題と具体的な施策

今後の成長性に関するご質問の中で、「いちばん大きな課題は何ですか?」「特に注力する伸ばす必要がある部分・KPIは何ですか?」といったご質問もよくいただきます。実際、社外の方にとってはわかりづらい部分かと思います。
当社としては「CREATION(いい作品を生み出す)、DISTRIBUTION(広く人々に届ける)、FINANCE(収益化する)の3つをバランスよく伸ばすことが重要である」と考えています。いい作品が集まっても、それが人々に届かず、クリエイターサクセスにつながらなければ、続かない。逆も然りで、いくらnoteの収益・クリエイターの収益が増えても、その裾野が広がっていかなければいつか頭打ちになってしまう、と考えているからです。
このバランス感についてお示しするのが難しいところではありますが、noteの長期的な成長のためにいま当社が考えていることや、さまざまな施策がCREATION、DISTRIBUTION、FINANCEのどこに結びつくのか、ねらいをわかりやすくお伝えすることを心がけています。


ほかにも決算説明資料の見直しについては随時行なっているのですが、2Qの決算説明資料について、IR向上委員会でいつもお世話になっているFiNXの後藤さんが詳細に分析してまとめてくださいました。どこかで我々の話を聞いていらしたのかな?と思うほどリアルに試行錯誤のようすを汲み取っていただいていますので、ぜひご覧ください。


2)noteの街の進化のようすを適時適切に伝える

課題②(今後の成長イメージを持っていただきづらい)に対しては、具体的な開発予定についてはお伝えできる内容が限られるため、中長期的な戦略・方針を可能な限りお示ししつつ、お伝えできるタイミングになったら随時アップデートしていくしかないのかなと思っています。

そのため、決算発表や会社説明会のタイミングなどでは方針・戦略について少しでも事前にお伝えできることがないか検討してお伝えしつつ、具体例や実績がお示しできるタイミングが来たら、PRをはじめ社内の情報発信を担うチームと連携しながら適時開示・PR発信の対応をしています。

例えば、2Qで発表した「アプリの強化・ポイント制の導入計画」。導入にあたり関係機関の審査があるためまだ導入時期の目処すらお伝えできない状況ではありましたが、noteのNext Stepに向けた開発を行っていることやそのねらいについて、可能な範囲で記載をしました。

そして先日リリースしましたが、来年1月からポイント機能が導入されます!!キャンペーンも同時にスタートしますので、今後もさらに盛り上げていければと思います。

また、3Qの決算説明資料では「当社のAI関連の取り組み」について説明ページを加えました。

実はこれも後日発表したAI子会社設立を見据え、社内での取り組みが加速していることを踏まえて作成したページでした。

今後もこのように、中長期の成長イメージと合わせて当社がいま何を考えどんなことに取り組んでいるのか、可能な限りお伝えしていくことで、少しでもnoteの成長性を感じていただけるよう工夫していきたいと考えています。


3)IRを通じて事業の成長にも貢献する

最後はIR活動と言えるのか?という感じですが・・・

こちらのアカウントでの発信を行いつつ、3月に創刊した「IR note マガジン」の窓口担当としての業務も行ってきました。

「IR note マガジン」とは、このIR系ACの発起人でもあるシゲマツさんに発案いただき立ち上がった、企業が共同でIR発信を行う共同運営マガジンのこと。noteでアカウントをお持ちの上場企業でしたらどの会社様も費用負担なくご参加いただけます。

想像以上の反響で、当初31社だった参加企業数は69社(12月15日時点)となりました。多数お問い合わせをいただき、さまざまな企業のIR担当の方とお話しさせていただく機会にも恵まれ、note proセールスチームの商談に同席させてもらうこともありました。(タイミングによっては、IR面談よりもIR note マガジン関連の面談の方が多い時期もありました。笑)

そうした面談の際、ときどき「この取り組みはなぜ無料でやっているんですか?」「IR担当しながらマガジンの担当もして、大変ですね・・・」なんてお声かけいただくこともあるのですが、その背景には課題②(今後の成長イメージを持っていただきづらい)の意識がある中で、IR担当である私が直接noteの発展に関われる部分であり、株主・投資家のみなさまにも直接noteの成長を感じていただきやすいものだから、という想いがありました。

noteが目指しているのは、インターネットにおける「街」。個人・法人に関わらずあらゆる人が集まり、インターネットにおける創作・ビジネスをはじめとしたあらゆる活動の本拠地となることを目指しています。

もちろんこの活動の中にはIRも含まれますし、最近はESG・サステナビリティ関連、人的資本開示に関する発信をされている企業さま、株主・投資家としてnoteをご利用いただく運用機関様・個人の方も増えてきていますので、いろんな方向に発展の可能性があるな・・・と考えています(私個人の妄想ですが)。

今後もさらに数多くの企業様を巻き込み、IR note マガジンを、そしてnoteという街を盛り上げていくために少しでも貢献していきたいと思っています。


今後やっていきたいこと

まだまだ多くの方にnoteについてご理解を深めていただきたいので、引き続き課題①②を念頭に置きつつ愚直に取り組んでいくフェーズと捉えていますが、課題①②があるのは大変ありがたいことにそれだけ多くの方にnoteをご利用いただいている、認識いただいている、ということだな、ということも改めて実感した1年でした。

土台が少しずつできてきた上場2年目以降は、既存のIRのやり方にとらわれず、クリエイターのみなさんを巻き込んだ施策やIR note マガジンの横のつながりを生かした企画など、noteならではのIRの取り組みにも自由にチャレンジしていきたいです。

こんなIRを期待しています!、こんな取り組みを一緒にやりたい!といったお声はどしどしいただけますと幸いです。



それでは、弊社もQA stationを活用させていただき大変お世話になっているMutualの吉田さんに次のバトンをお渡しします!

そして、昨年からはじまったこのアドベントカレンダーの取り組み、今年は参加者が増え「裏AC」も盛り上がっています。21日には弊社CFOの鹿島も登場予定ですので、ご期待ください!!


いただいたサポートは、ほかのクリエイターの方のサポートに使わせていただきます!!