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意識が変わる女性起業家の熱い思い - 物流の未来のために今できること -

<Discovery>

起業家 × 現役大学生の対談 vol.2

 福岡市スタートアップカフェ初企画である、現役大学生 × 起業家対談企画が7月も開催された。今回で2回目となる本企画のゲストは、株式会社ロジカム代表取締役である中島 麻衣子さん。そして、インタビュアーとして福岡女学院大学4年(フリーライターである私)浦丸 絵里が今回も登壇した。

今回は、事前収録したものを全2話に分け、前編を7月14日・後編を7月21日に福岡市スタートアップカフェ公式FaceBookとInstagramから公開。

本記事では、公開されている動画には入りきらなかった未公開の内容も合わせて執筆させて頂きたく思っておりますので、ぜひ、最後まで読んでいただけると幸いです。それでは、どうぞ。

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 中島 麻衣子さん。女性では珍しい経歴をお持ちの、物流を愛しすぎている起業家だ。現在、福岡を拠点として、軽貨物に特化した配送マッチングサービス“サポロジ”の運営を始め、物流に関する全般的なお仕事を受け持っている。

彼女を表すとしたら、“男前”という言葉がぴったりのような気がする。女性に対して使われる場面が少ないのが現実な言葉であるけれど、今の時代そんなことを気にするのは違う気がするし、私が知っている中島さんは、分かってくださると思うので、敢えて使わせて頂いた。

誰がなんと言おうと、自分の道をしっかりと見据えて、紆余曲折しながらも前に進んでいく。そんな逞しさと強さを兼ね備えた凛とした女性起業家。単純な言葉にはなってしまうけれど、とにかくカッコいいのだ。

今回の対談では、中島さんのお仕事に関するお話からプライベートなお話まで、幅広く聞かせて頂いた。この対談は、あなたに一歩踏み出す勇気を与えてくれるはずだ。

初めの一歩はとても軽やかに

 中島さんが物流界に飛び込んだのは、12年前。友人から誘われたことがきっかけで、大手物流会社の佐川急便に就職した。女性では珍しいという印象を受ける選択だが、中島さんにとっては、自然な流れのようだった。「(佐川急便への就職を決めた理由は)単純にかっこいいと感じたし、基本的に体育会系なので、性格的にも合っているなと思って(入社を)決めました。」と、なんとも軽やかだった。

そこで、大型以外のドライバー職は全て経験した後、起業の物流を担う3PL(サードパーティロジスティック)の現場・管理を約10年ほどした。そして、2019年1月に自身の事業である、株式会社ロジカムを創業している。

「佐川急便からこの業界に携わって、もう、12年目になるんですが、ずっと業界にいる中で、管理職も経験して、経営側と現場の間に挟まって、現場だったり、上の人たち、業界に対して、色々と思うことがあって、もやもやしていたんです。でも、当時の私には能力的にもどうすることもで来なくて。どうしたらいいのかと悩んでいました。」

「この業界は人が支えている業界なので、人が活き活きと働ける環境を作りたい。そういうところで働いて欲しい。と思った時に、自分で作るしかないと思い、起業に至りました。」と語った。

起業に至るまでの思考もとてもスムーズで、勢いがある。

原点はいつだって、現場だ

 「物流という仕事は、物を売ったり、企画したりする仕事とは違って、そういう人たちがいて、それを購入されるお客様がいて初めて成り立つ仕事、存在する仕事だと思っていて、あくまでも代行業みたいな感覚なんです。そういうと、やらされている感を持ってしまう現場の方もいるんですが、、私たち、間に挟まる物流の人たちがいないと、遠方に届けるとかできません。今は当たり前になってきていることなんですが。」

「(荷物を)届けた時とか、預かる時とか、梱包する際に、携わる人の意識によって、(荷物を)届けた時のお客様の感想は変わってきます。やっぱり、汚い状態で梱包されていたら嫌じゃないですか。それに、挨拶一つできないドライバーだとやっぱりいい気はしないですよね。だったら、少しでもいい気持ちで受け取って欲しい、とか、荷物を楽しみにしている気持ちを喜んで欲しいなと思う気持ちで、仕事をすることで、その気持ちって、(お客様に)届くんだなと現場で働いてきて思いました。」

「実際に、お客様からお言葉をありがたいことに頂けたりすることもあって、肌で感じることができました。直接感謝の言葉を頂ける仕事って、色々あるとは思うけれど、物流という仕事が一番あると思うんです。物流が好きすぎるが故に偏ってはいますが、、(笑)すごくやりがいがあるし、価値ある仕事だなと思うから、そこが魅力だと思います。」

「直接「ありがとう」と言って頂けることがドライバーの時の私のやりがいでした。

人をとことん大事にする会社を作ろう

 そう語るのは、おそらく誰よりも業界が好きで、現場が大好きだから。だからこそ、働く人の思いを一番に考えられるのだろう。中島さんを魅了した物流との出会いから、働いてきた中で感じたものは何だったのか。

「働いてきて、働く環境に思うことが色々あって、起業したんですが。現在、末端のドライバーさんが思うように報酬を得られていない。ということが課題であります。それが理由で、起業しました。」

「現場のドライバーさんが本当に活き活きと働けると働ける環境を作りたいです。そして、ここ数年、本当に物流業界に対するイメージが悪いので、そのイメージを変化させたいです。業界の社会的価値を向上させていきたいですね。」

「たくさん実現させたいものはありますが、まずは、ドライバーさんの報酬の部分を改善したいです。適正な価格を運んでいるドライバーさんが受け取れる仕組みを作っていけば、個人事業主さんが多い業界なので、自分がやりたい働き方を(自身のワークスタイル)を作ることができるはずだと考えています。その環境を実現させていきたいですね。そのために、サポロジというアプリを作りました。」

「またそれを通して、ロジカムという会社名に込めている思いではあるけれど、物流で働きたいと思う人を増やしていきたいです。」と語った。

受け取る側の意識変化 “ 送料無料は無料じゃない。”

 先ほど、中島さんがお話されていたように、物流業とは販売側と消費者がいて成り立つ仕事だ。

これまで、主に物流業・販売側に寄ったお話をして頂いた。今度は、受け取る側(消費者)と物流業の話を聞いてみた。その中で、私たち消費者の意識も大事なのだと考えさせられた。

例えば、“送料無料”という言葉は消費者側にとっては見慣れた、ありがたい言葉のように思える。しかし、業界にいる方々にとっては違和感を感じる言葉だ。考えてみればわかる。“ 送料無料 ”が“ 本当に無料なわけない ”のだ。

配送に携わる側(物流業界の方々)は、受け取る側(消費者)をどのように見ていたのだろうか。

「配達はある程度決められたのエリアを回るので、エリアのお客様とは結構コミュニケーションをとったりして、仲良くなります。コミュニケーションをとることで、在宅確認を取り始めます。」

「『ちょっと、今から出かけるんだけど、1時間後だったらいるから!!』などと事前に言ってもらえたら、それを知らずに行くのとでは、配達効率が違います。運送側ができる努力ももちろんあります。でも、毎日行くのに、毎日いない方も中にはいらっしゃいます。顔を合わせないと、どうしてもそういうお話もできないんですよね。」

「お客様にもプライベートやお仕事があるので、仕方ない部分ではあるけれど、確実にいる時間を指定してもらうとか、どうしても居れないのであれば、連絡一本して頂けると、業界的には効率をすごく上げることにつながるので、助かる部分ではありますね。(苦笑い)」

「近年、EC(エレクトロニックコーマス=電子商取引)の荷物が多くなってきていて、物量の拡大に人手が追いついていないのが現状で、いかに効率よく回るのかというところが業界では重要視されています。たった一人のお客さんでも、不在だったら申し訳ない。とか、一回で受け取りたい。と思ってくださることが、業界的に広がっていくきっかけになるので、とてもありがたいです。」

一人一人の意識で変えられるものがあるのなら、私は変化を起こすべきだと思う。できる人が、できる時に、できることをやる。それだけで、変わってくるものがあるはずだ。

文章にしてしまうことで、意味の受け取り方が変わってしまう恐れがあるのが怖いところではあるのですが、どうか、そう受け取らないで頂きたい。

意識が持つパワーは偉大で、それをどう使うかは人それぞれだけれど、それを「使う」ことができるのは忘れてはいけないと思う。

好奇心と決断力と責任感

 「大事にしているのは、やってみること、そして、やりきることですね。常に、イレギュラーな毎日の現場で、これできるかな?と思う案件が突発的にやってきたりしますが、まずはやってみる。やってみれば、後はどうやるかというのを考えればいいだけなので。入り口からどうやってできるかな?ということを考えても、やるってことに繋がらないから、やるってことを決めます。」

「ただ、起業してからは、まずはやってみる。けど、常に自己責任になるので、自分の選択がどういう影響があるのか、どういう道に行くのかというのは想像してから選択するようになりました。社員だったり、協力会社さんもいるので、、慎重になるところは、慎重に。ですかね。(笑)」

責任を伴う仕事になった中でも、自分が興味を持ったものには常に挑戦され、やり抜いていく。大人になればなるほど、好奇心が薄れ、安定を求めたり、決断することを躊躇したりしがちなイメージがあるが、中島さんは見事にそれらを払拭してくれた。

自分の芯となるものは目標だ。

 
「余裕がない時、それでも選択を迫られる時、そういう時には、自分自身でも考えてはみるけれど、それが本当に自分がやりたい選択なのか?ということを確認するためにも、信頼する人に相談してみるようになりました。それで、後押ししてくれたり、アドバイスをもらえたり。他の人に話してみることはやっててよかった、と思います。」

「起業当時は、やっぱり怖かったです。いろんな人に相談しても裏切られるんじゃないかと不安で、、、一人でなんとかしなききゃ。と思っていました。でも、やっぱり、長年されている方、成功されている方の話を聞くのが一番だなと思って、相談することを思い切ってやってみたんです。それで、今の私があります。」

「頼ること・意見を聞くことって、本当にしてこなかったんですよね、、(笑)でも、一人では業界は変えられないので、そこは割り切って、目標の方を大事にしています。相談するのが苦手っていうのは手放して、本当に実現したものためには何が必要なのかというところを考えるようになりました。」

「余裕ない時にその場での決断を迫られた時は、余裕がない理由があるはずだから、その原因がなければどうするのかを想像します。」

「例えば、大きな案件がある。けれど、すごく資金がいる。でも、資金に余裕がない。そんな状況での選択ってベストな選択じゃないですよね。もちろん案件も獲得できない。でも仮に、資金があったらどういう選択をするのか?と考えると、間違いなくやりますよね?!」

「つまりは、本来したい選択は何なのか?ということを考えて、それを選ぶんです。資金が足りない中でも、本当にやりたいのなら、やります。と言う。そのあとにどうしたらいいのかを考えればいいんです。やると決めたからには、もしお金が必要なら、資金調達したらいいし!手段は無限にあるから。」

多くの人は、限られた選択肢の中で決断しがちだけれど、もしもの仮定をすることにより大きく変化がある。考え方次第で、180度ガラリと変わってくる、選択がひらけてくるこの考え方は、これから選択していく上で、どんな人にでも当てはまる魔法のようだ。

「昔は何も考えずに選択して、それで自滅したこともあります。でも、失敗したこともなんで失敗したのか?って考えると、だいたい本当にやりたいのか?と問いかけていなかったし、そんなにやりたいことではなかったんですよね。好きじゃないと続かないから。それらは手放してきました。」

見極める力を研ぎ澄ます

 会話の所々で、中島さんが使われる“手放す”という言葉がどうしても気になった。手放すことは難しいような、躊躇してしまいがちな作業に思えてしまうが、中島さんは一体どのように手放すことを決めているのだろうか?

「そうですね、、、」少し困ったように、でも、止まることなくお話ししてくださった。

「まずは、個人に、大事にしていること、どうしても実現したいもの “ これやらないと死ねないな。みたいなもの ” があるのかどうかですね。私は、あるので。それは絶対的に手放せないもの。絶対やらないと死ねないから。」

「今ある選択、これからある選択はそこに必要か?必要じゃないか?大事なものを守るために必要なのか?を考えます。今までは、必要だったかもしれないけれど、人は成長していくから、当時はなかったものが今はある。だったら、これ、いらないなと手放していく。どっちかを選ばないといけないと天秤にかけているわけではなくて、そこにいくために必要か必要じゃないかを考えるんです。そして、いらないなとなれば、結構軽く手放しています。(笑)」

人は、手に入れたものは持っておきたくなる。それが、時間をかけていたり、労力をかけているとなおさら。だけど、目標にたどり着くために、必要か?必要じゃないか?そこを感じて、遠慮なく手放していく。そのプロセスはとても素敵だと思った。

自身にとってポジティブな変化をもたらすもの、それを見極める力が必要だ。心も身体も共に身軽だと、きっと次のステップの足取りも軽やかだ。手放すって心地いいことなのだ。

学生よ、とにかく楽しめ!!

 最後に人生の先輩として、アドバイスをもらった。

「とにかく、楽しんで!!!生きていく上で、稼ぐことって大事じゃないですか。でもそんな中で、とりあえずやってみたっていう仕事もあるし、流れの中で学んでいることがあるはず。でもまずは、目の前のことから、自分がワクワクすることとか、楽しむ要素を見つける、探してみる。一回、楽しむ努力をしてみる。やってみること。が大事かなと思います。」

「今は、なかなか好きなことが見つからない。わからない。って人は、目の前のことを楽しんでみたらどうかな。向き合ってみると、楽しくない、合わないってのがわかるから。これ違うなって思ったら、他のことを探していけばいい。」

「どうしても立ち止まってしまう。でも、私は進み続けたい。ので、そうするには?、興味あることにやってみるようにします。もちろん、一瞬で面白くないと思ったらやめます。やめたものたくさんあります。(笑)」

次世代に繋げられる業界にしたい

 「私は、業界が好き。大好き。好きすぎるんです。(笑)そのおかげで、私個人の人生ってすごく楽しいんです。だから、その大好きな環境を作ってくださった先輩方に感謝しています。」

「物流は、今後、通販の需要が増える中で、絶対的に必要な業界です。これからは、働き方や求めらるもが変わってくると思うので、ニーズに合わせていくことが必要だと思っています。私は、変化させないといけない世代だと思っているので、次世代に繋げられる業界にしたいですね。」

圧倒的なエネルギーで突き抜ける新たな風を物流界へ

 
 持ち前の決断力と行動力で、いつもどんな時だって勢いよく未知なる場所に好奇心を持って飛び込んでいく中島さんの姿勢は、老若男女問わず憧れるはずだ。

活躍されている場は、現状、どうしても女性が少ない業界ではあるけれど、そんなことを思わせないほど業界での存在感を発揮している。誰に何を思われようが関係ない。ひたすらに前を向いて、自身の目標を達成するために突き進んでいく中島さんは、ひとさじの勇気が足りない人を後押ししてくれるようだ。

現場が大好きだからこそ、そこを第一に考え、受け継いできたものを次世代に渡していけるように変化を受け入れながら、進化していこうとする中島さんの考えや取り組みが、もっと多くの方々に伝わるといいなと僭越ながら応援しております。

今回は様々な角度から貴重なお話をして頂き、ありがとうございました。私も、中島さんのように憧れの女性になれるように日々邁進していきたいと思います。

ー追記ー

 
 最後まで、記事をお読み頂きありがとうございました。

今回で、2回目となる対談企画は事前収録という形をとり、動画編集から記事に至るまで全て私、浦丸 絵里が担当させて頂きました。不慣れな点が多々あったことと思いますが、多くの方々に全2話の動画配信をご覧いただいているようで、嬉しく思います。ご覧いただきました皆様には、簡単ではございますが、感謝申し上げます。ありがとうございます。

現在も、福岡市スタートアップカフェ公式アカウントであるFacebook・Instagramからご覧頂けますので、ぜひご覧下さい。(*下記にURLを貼っております。)

また、お忙しい中、今回ご参加いただきました中島 麻衣子さん、再度お礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

そして、中島さんをご紹介して頂きました、第一回ゲストのTommyさん、間を取り持って頂いた浅野さん。ありがとうございました。

最後にはなりますが、福岡市スタートアップカフェのスタッフ Yukaさんをはじめとする皆様のご協力のおかげで、こうして、第二回目ができたこと、本当に嬉しく思います。本当にありがとうございました。未熟者ではございますが、今後ともよろしくお願い致します。


Interviewer & Writer : 浦丸 絵里

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・福岡市スタートアップカフェ

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・中島麻衣子さん

株式会社ロジカム


配送マッチングサービスサポロジ

・浦丸絵里

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