切ないくらいの青が好き | I like the touchingly inconsolable blue

< COLUMN. vol.15>

(Japanese and English ver.)

　消したくても、消せない記憶がある。

　数年前、私は遠距離片思いをしていた。２ヶ月に一度くらいのペースで、何かと言い訳をつけて片思いの彼に会いに行っていた。

会う日はいつもそうだったけど、例にも漏れずその日も私は浮かれていた。夜行バスの長旅だって一瞬に思えたし、LCCの狭いシートだって、彼に会える日の私にとってはファーストクラスだった。

　その日は初めて、終日一緒に過ごせる日だった。
初めてのドライブ。すごくワクワクしていてた。あの時までは。

少し遠出になる様子、高速道路に乗った。
料金を支払う時、「あっ。出しますね。」と、財布を取り出そうとバックを覗くと、そこにあるばずのものがないことに気がついた。

彼はいつものように、「いいよ、出す出す。」と自分の財布を取るように促した。「助かった。」と安堵すると同時に、今は良くてもまだまだ序盤。「この先どうするのよ、私。」と不安に包まれた。

そこから、お昼ご飯や観光名所を回った。楽しいはずなのに、嬉しいはずなのに、何も入ってこない。頭の中は、それどころじゃなかった。「どうしよう。」それ以外、もう何もなかった。

日中は、彼のいつもの優しさに救われた。「いや流石に言わなきゃ。伝えなきゃ。」わかってる。喉まで出かかる言葉を、それでも、言えなかった。

夜ご飯を食べ終わった後に、「お金、少しだけ出してもらってもいい？」と、彼から申し訳なさそうに言われるまで、たった一言、「財布忘れた。」って。それが言えなかった。

その日は、後日支払うことで了承を得て、別れた。

　その後は、もう何も覚えていない。気持ちの整理もつかないし、何も手につかなかった。

彼を一日中騙し、彼に嘘をつき続けていたこと、自分が思い描くあるべき女性像からかけ離れていたこと、もう何もかもがダメすぎて、自分が自分で許せなかったし、申し訳なくてしょうがなかった。こんなはずじゃなかった。

　一睡もできずに迎えた翌朝、せっかく来たのに、まだ時間もあるのに、どこかに行きたい気持ちにもなれなくて、その場所からすぐにでも離れたかった。サイトを開いて、飛行機なら一番早く抜け出せる。そう思ったら、勝手に手が動いて、気づいた時には予約ボタンを押していた。

帰りの空港は、いつだって寂しさを感じるけれど、今までは、'またもう一度' があることを知っていたから、楽しみもあった。次来たら、、、なんて想像したり、旅の思い出たちを振り返ったりする。それが楽しかった。

でもその日だけは、楽しさも、名残惜しさも、期待も、何もなかった。流れゆく時間は、いつもと違って遅く感じていた。

座席についたら、涙が止まらなくなった。

1時間くらいのフライト、普通なら大好きな空を終始眺めているのだけど、その日は、窓に寄りかかって、目をつぶって、ひたすらに泣き尽くした。

　彼とはそれ以来、会っていない。

好きという気持ちよりも、あるべき姿、完璧であることの必要性が自分の中で上まって、感謝よりも申し訳なさが勝ってしまって、連絡もできなかった。私だけが勝手に被害者になっていた。

あまりにも自惚れすぎていた私は、自分で自分を、自分の気持ちを、そして、相手を壊していた。

勇気を出して曝け出す、素直でいること、そんな些細なことが難しい。けれど、それがきっと人間関係でとっても大切なことなんだろうと、今になって気づく。

　あれから、飛行機に乗るたびに窓を眺めると、あの日の空が蘇る。帰り道、一瞬だけのぞいた窓から見えた離れゆく景色は、私の目には切ないくらいの青に映った。

人は、どんなに悲しくて、辛くて、どうしようもないくらいな状態でも、心動かされる瞬間はあるのだろう。その青色の世界が美しいと思えた。その感情は、教訓とともにずっと大切にしたい。これからもずっと。

＊English ver.

   I have a memory that I want to erase but I can’t.

   A few years ago, I was in unrequited love with a guy, who lived in a bit far from my place. Although, I went to visit him with so many excuses every other month. 

I was always got excited over seeing him. It was nothing to me to take an overnight bus. A narrow seat on LCC flight was a first class for me when I could meet him up.

   The day was a very first day for us to spend time together for whole day. I was so nervous but excited about going on date, driving date, until I found it out. 

We were on the highway, and when we needed to pay at the entrance, I noticed that I forgot to bring my wallet with saying “oh I got it.” And he said “It’s okay, I got this.” ,and asked me to pass him his wallet. I relived but I got upset  at the same time since the date had just satrted. 

We went to a cafe for having lunch and saw around places but I couldn’t have fun at all. All I think was what I am doing now and what I shoud do. I continued to ask myself but I just couldn’t think of anything. 

He paid everything without saying anything like always. He was such a good guy. While at the same time, I had been struggling to tell him that I didn’t have money. I knew that I defiantly had to, but I just couldn’t.

In the end, I couldn’t say anything. It was just a one-word that “I left my wallet ” until he asked me to pay him back a little after finished having dinner.

I eventually told him the fact and I promised to gave him money later, then we went home that day.

   I don’t remember anything after we were apart. I regretted everything that happened on the day, and I couldn’t forgive myself who deceived a person and was far from the ideal person who I want to be. Everything was messed. It wasn’t supposed to be like that. 

I wasn’t able to sleep that night, and I welcomed the next day. I had much time on that day, but I didn’t want to stay longer. I wanted to go back home as soon as possible, and I went through websites and booked the earliest flight that I could get after realized. 

I always feel loneliness at the airport when I start home. However, I can still enjoy the felling since I know that I can come back again. It is also enjoyable to imagine the next trip or throw back in the journey I had. 

Only that day, there was nothing, there was no excitements, lonelinesses and hopes. I felt that the speed of times went by was slower than as usual.

I couldn’t help stop shedding tears when I sit on board. 

It would be a normal for me to be fascinated watching the sky, but I closed my eyes, leaned over a window and weeped silently.

   I haven’t seen him since then.

The appetite, or necessary for being perfect and vanity in myself was much stronger than the feeling toward him, and I couldn’t contact him again. I selfishly posed as a victum. I was too conceited and missed out myself, my feeling and him.

Letting it all hang out, or being honest is a trivial thing although it is arduous. Nevertheless, it is very crucial for us to build up relationships. I truly understand it now. 

Ever since the day, every time I view the sky from an aircraft window, it reminds me of the sky I saw on that day. On the way home, the outlook was going far away met my eyes as the touchingly inconsolable blue.

There has always been the time when people experience the intense moment even though how much they were sorrowful, heartbreaking, and painful. I thought the the view was incredibly beautiful, and I would like to cherish the emotion that I had at that moment with the memory and lesson forever.