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産婦人科の待合室から見た多様性

「みんなちょっとずつ大変なんだけど、見た目ではわからないよね」という内容を書きます。

2014年の7月、ステージⅠの子宮体がんであることがわかり、9月に治療を行いました。
今は経過観察中で、半年に一度の診察と薬の処方、一年に一度のCT検査があり、たびたび通院しています。

私が通っている病院は、産科と婦人科が一緒です。
待合い室には、次のような方々がいらっしゃいます。

・お腹の大きな妊婦さん
・子連れの方
・ご夫婦らしきお二人
・ご家族づれの方々
・一人で来院している人 ⇒ 私はここに属する

など。
待ち時間もそれなりにあるので、思わず観察してしまいます。

自由に読める本棚もあります。
内容はこんな感じ。

・妊娠、出産に関するもの
・育児に関するもの
・不妊治療に関するもの
・がんや腫瘍などに関するもの など

なかなかのラインナップです。
全く整理がされていない本棚なので、これらがごちゃごちゃに収納されています。

そして、この本棚がある診察室前の中待合い。
ここは、緊張と解放、葛藤などの気持ちが溢れる場所です。

診察の結果、検査や入院が決まると、A4サイズの封筒を持って診察室から出てきます。
封筒の中には、これから待ち受けるいろいろ、に関する説明が書いてある冊子が入っています。
今までに、何度かこの封筒を持ったまま、中待合いで泣いている方をお見かけしました。
その後に、看護師さんから別室で手続きの説明を受けます。

私も全く同じ工程を辿りました。
そのときの気持ちを正直に綴ります。
私は当時42歳で、子宮全摘が決まりました。

今まで、子供を持つことを強く望んだことはありませんでしたが、最後の一縷の望みを失うのが「今」なんだ、とはっきりと気付いたことに、複雑な心境を抱きました。

年老いた母に対して、「申し訳ない」という感情を持ったことも覚えています。
子供を持てない、孫を見せられないという事実より、大事な臓器を摘出することに対しての申し訳なさと、娘の「がん」という病気に付き合わせなければならない申し訳なさ、が湧きました。
涙は出なかったのですが、その複雑な気持ちが入り混じったまま、入院の説明を聞きました。

説明を聞き終わり、ふと中待合いにいた、子連れの妊婦さんの姿が目に飛び込んできました。
「幸せそうだなぁ」と思いました。素直に思ってしまいました。
日頃仕事で、「人と比較しても意味がないよ」と講義しているにも関わらず、比較している自分がいました。

でも、ここで思い返したのです。
ごちゃごちゃの本棚のことを。

ここを訪れる方は、皆さん不安や心配があるんです。
妊婦さんも、出産時は命がけです。
ひょっとしたら、妊娠時特有の症状があるかもしれない。
お腹の赤ちゃんの状態に心配があるかもしれない。
辛い不妊治療を経ていらしたのかもしれない。
ご夫婦でいらしている方も、ひょっとしたら辛さをお二人で分け合っているのかもしれない。

見た目で比較した自分に、「自分のバカ」と小さく声に出して言いました。
でも、無意識に偏見を持ってしまったことを責めるより、そのことに気付くことができて良かったとも思いました。

産婦人科の待合室は、実に多様性にあふれています。
でも、他の科も同じなんです。
みんな少しずつ困っているんです。

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先日、4年目の診察を受けてきました。
予約時間を1時間以上押すことがわかりました。
ひょっとしたら、医師から時間をかけて説明を受ける必要のある病気の患者さんがいらしたのかもしれない。
私のときもそうでした。
本来は10分診察ですが、30分かけて説明してくれました。
だから、待つこともあるんです。

待ち時間が長くなるときは、川辺に散歩に出ます。
写真を撮る時間ができました。
夏の眩しいブルーに包まれました。
診察までに、半袖焼けしました。


幸せかどうかは、結局のところ自分が決めることです。
そして、他者と比較しても意味がありません。
産婦人科の待合室の多様性を通して、改めてそんなことを思う日々です。


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