見出し画像

本を書くということ

もうすぐ、2冊目の本が出ます。もうちょっとしたら正式にお知らせできるので、その時には書影も一緒に載せますね。

前の本から5年半、長かったな、っていうかこれまで何してたん?っていわれそう。笑

念の為、前に出した本も載せさせてくださいね。まだ買えます!

パリの生活とリズムに慣れるのに2年くらいかかって、ちょっとエンジンかかり始めたころにコロナ到来。その他、家族のいろいろも重なり、波乱万丈とまではいかないけど、人生簡単にはいかないですね。

せっかくなので、今回本を書いた感想というか、ポイント的なものを残しときたいな、と思いました。もしどなたかの、本や文章を書く際の少しのヒントになれば幸いです。

1.本のテーマの決め方

本の内容が決まるまでに、何度も何度も企画を出し直しました。

自分の場合、「本が出したい!」という思いから出したというより、コロナで仕事がガクンと減って、何かしなくちゃしなくちゃ、という焦りの中から、絞り出すように企画を出させていただいた、という感じ。ご対応くださった編集者と出版社のみなさまに、心から感謝です。

専門はワインと食べ物なのですが、フランスやパリのネタってもう出尽くしてる、か、逆にマニアックすぎたり。そもそもコロナで取材ほとんどできないし。

日本のみなさんが何を知りたいかが、わからない。困りました。でも、文章を書かないと、暮らしていけないのです。いろいろ悩んで、考えてはみたけど、いまさら他のことで稼いでいくのはムリそうです。

とにかく、やるしかない。

バズったり、世間で人気だったりする内容を、いろいろSNSなど探してみたけど、それをなぞってもただの二番煎じだし、意味がない。そもそも、自分にはそんな人気を取れる能力はない気がします。

そうなると、自分の中にあるものを出していくしかないな、と。

自分の持っている、育ててきた知識。ワインと食べもののことしか、やっぱりない。それで、ワインについて、それも玄人ではなく、「ワインを飲んでみたい」「飲んでるけど、スタート地点にいるひと」を対象にした本を書くことにしました。

わたしはワインのライターとなって15年になりますが、まだまだまだまだ経験が足りず、いつもベテランのみなさんに劣ることを、恥ずかしいなと思っているのです。

でも、今やらないと、ワインのライターという肩書きさえ失ってしまうかもしれません。

女45歳、いま、やりましょう。

2.ググって出てくる内容はいらない

はじめ、初心者に向けての教本的なものにしようと思いました。それも、とても簡易化した、スタートにぴったりのハンディなもの。もとより電子書籍をベースに考えていたので、スマホで読むのにいいかな、と。

でも、企画と目次を出すと、

「ググって出てくる内容はいらない」

という編集側のお返事。そりゃそうだわ〜納得だわ〜。

だって、たいがいの内容は、もうネット上になんでもありますもん。企業のページはもちろん、ソムリエの方が書いてるブログやnote、それにyoutubeやってるひともいるし。みんな無料でいい内容出しすぎです!ライターの仕事がなくなっちゃう。。。

いっぱい考えました。ググって出てこない、ワインに関すること?なんだろう?そして、皆さんに読んでいただけそうな内容?

そこで、ワインを飲むメリットを楽しく書くことにしました。

基礎知識が欲しい方には不十分かもしれないのですが、たしかにこれまで見たことのない内容にはなりそうです。

3.自分の中の引き出しの開き方

この企画は無事認めていただき、本を書き始めました。でも、これが難しかった!

自分で決めておいてなんですが、「引き出しの引き出し方」がわからなかったのです。

わたしはライターもコピーライターも長くやってきて、文章を書いたりまとめたりするのは、当然職業柄得意なのですが、自分の考えは出してこなかった。これまでやってきた仕事の仕方というのは、自分をできるだけ出さずに書いていく方法です。いつも透明人間になった気分でインタビューをし、広告コピーでは商品がとにかく素晴らしく見えるように。

お仕事いただく時点では、もちろん技術や性格、仕事上のマナーなどをクリアし、クライアントの方から選んでもらっているので、自分自身というものはあるのですが、文章には一切反映させません。それが、自分の仕事だと思ってました。

しかし、ここにきて本を書くとなると、自分の言葉と考えを、自らの手で引き出さないといけません。さて、また困った。

何度も何度も書き直しました。何回書いても、面白いものにならない。

悩んで悩んで、でもあるとき、そこまで考えなくていいんじゃないかな〜とふと吹っ切れました。

たとえば、友達に「なんでワインがそんなに好きなの?」って聞かれたり、「なんでワインのライターになったの?」って聞かれたときに、いつも話してるようなことを書けばいいのかな。

もちろん、暑苦しくならない程度に。

まだ開き切ってない引き出しはあるかもしれないけど、たぶん、ちょっと自分の中を開くコツを、つかめたかもしれません。

4.誰に向かって書くのか

これは、最後の最後まで難しかった部分です。

ワインって、やっぱり話し出すと難しい。わたしのような下っ端の者でも専門用語を頻繁に使ってしまうし、読み手の設定はしてあるはずなのに、つい知識を前提として書いてしまう。

この本で、わたしは、これまでワインにあまり接していなかったけど、とにかくワインを飲んで楽しくなったり、毎日が明るくなったり、そういう人をひとりでも増やしたかったのです。

編集に関わってくださった方々からのご指摘を受け、できるだけ誰が読んでもわかりやすく、ワインの魅力が伝わるような本に仕上げたつもりです。

もし、読んで「難しいよ!」という方がいらしたら、気軽にご指摘いただければ幸いです。

5.文章をシンプルに

もとより、わたしは難しい文章を好む傾向にあります。これは好みだから、仕方がないな〜笑

雑誌や広告の仕事をする場合、その媒体に合わせて文体や口調は全て変えます。漢字やひらがなをどう使うかまで指定があります。これができてプロなので、それに従ってやるまでです。作家ではないので、ここに個性はいりません。

でも、自分の本となると、どうしても考えや気持ち優先になって、小難しい文章になってしまう。簡単にいうと、「地が出る」のです。さっと読んでほしい本なのに、なんか文章がややこしくなってしまう。これはダメ。

できるだけ、完結に。できるだけ、わかりやすく。できるだけ、明るい気分になれるように。

以上を心がけました。ちゃんと、表現できてるかな〜。

というわけで、あとはきちんと本が出るのを待つのみ。また、次の企画を考えたいと思っています。コロナで大変だけれど、まだまだ、前を向いてやっていきたい。

この本が、できるならば、みなさんの役に立つ一冊となりますように。

写真は、うちの本棚です。





サポートいただければ、次の本へのリサーチに使わせていただきます!よろしくお願いいたします。