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現役人事、志望動機を問うか?

先日こんなツイートをお見かけしました。

ツイ主さんの発言、すごく気持ちがわかるのです。
一方、このツイートのリプライや、引用ツイートから見える意見からは、会社を「仮想の共通敵」にしたい感も感じられた気がします。
結論、志望動機は必要と考えているのですが、その理由について書いていきます。

志望動機などいちいち考えていられない

該当のツイートに見られる主な意見として
・志望動機なんてあるのか?そんな大層な動機を持って働いているか?
・よく言った!採用!
・実際に言ったけど受かったよ、ハハハ
という趣旨のことを書いていらっしゃったんですね。

やっぱり働くまでは、ブラックな会社だったらどうしよう、会社に忠誠を誓わねばならぬのか…?みたいな、未知の世界への不安を多かれ少なかれ抱えているんですよね。

かくいう私もリーマンショックで求人倍率が下がりきった頃に就活した世代です。1社1社、なんとかお願いして選考に行く気分でした。およそ上記の方と同じことを考えていましたし、就活がうまくいかなければいかないほど、志望動機を持つ余裕がなくなるんですよね。

十余年経った今も、採用担当として、当社の志望理由を…なんて崇高な質問はしません。(本当に言わないから、この手の質問は都市伝説だと思っている)

でも、何十人何百人と面接する中で、志望動機は要る、と考えるようになりました。正しくいうと、志望動機の意味を履き違えないことは大事だな、と思うようになりました。

志望動機は、仕事のルーツ探し

志望動機、とはなんでしょう。
「御社じゃなきゃだめなんです。御社は素敵です」と会社をほめたたえるものではないです。

なぜ大学を卒業したらこの仕事をしようと思うのかを、掘り起こしてほしいと思っています。

腹の中では応募先がすごい会社だと思ってなくても、受けるのはそれなりの理由があると思うのです。たとえ「家から近い」「給料がほかよりいい」などの理由であっても、どこでもいいというわけではない。
その業界、その職種、その仕事に、他と比べて、何かしらの形で「いいな」と思った理由はあるはず。なんとかしてひねりだしてほしいのです。

そして、もっと大事なのは、そう思ったルーツです。
小さなハードウェア会社に入った、大学時代の先輩の話です。
「なんで入ったのですか?」と聞いても「当時どの会社も自分なんて採ってくれなかったから」といいます。
でもよくよく聞くと、小さい頃から、パソコンなど機械が好きだったから。壊して分解して、これは何だろう?と考えるのが楽しみだったといいます。
今も機会いじりは好き。仕事と好きが直結するとよい。そう思って働いて10年以上が経つようです。
それが、仕事のルーツになっている。

仕事する理由を、うまく解像度上げて、言葉で表現してほしいと思いますし、私もその手助けをするつもりで面接官をしています。
面接官として相手の価値観を引き出すことが、その人らしい働き方をしてもらえる鍵になると思っています。私も面接官として微力ながら真剣にやっています。

答えのない問題に、意見をもって働く

じゃあなんで、仕事する理由が必要か?
そういうスキルが、必要なのだと思います。会社をほめることでなく、「理由を掘り起こしてちゃんと口に出し表明するスキル」が。

会社に入ると、人はいっぱい意思伝達と意思決定の場があります。正社員、派遣、アルバイト。新人も、ベテランも。全部の立場を経験していますが答えのない問題に対し自分の意見を伝える場面がかならずあります。

お客さんの前で、どんな提案をするか。
たまった事務作業をどんな段取りでやって行くか。
この予算で、どんな戦略で、部署の目標を達成するか。
成果を出すために、早く帰るために、絶対的な答えのない問題を日々クリアしていかなくてはならない。
その時に、自分なりの理由や動機をもって、自分が考えたしくみで、社内外に働きかけなくてはなりません。

まして、収入や立場があがれば、意思を伝え決定する場はもっと増えるでしょう。
就活と社会人生活は全く別物ではなく、延長線上にある。志望動機を表現することは、その練習だと思います。
なので今から「ここで働く理由」はもってほしいのです。


会社と応募者側が互いに認め合ったところで一緒に働いて、入った方にいい会社だと思ってもらえたら、嬉しいなと思って日々仕事してます。
件のツイートにリプライしていた皆々様に「会社って思ってるよりいい場所だよ」と、私は伝えたい。

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