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連載『てがみ』


店主は確かに本を読むことが好きなんですね。
趣味の良い本がよく整頓され、置かれています。
きっと育ちのいい方なのでしょう。

店内は最低限のオレンジが灯っています。
蛍光灯の光が苦手で、自然に入ってくる光だけで生活をしている私にとって、
こんなに落ち着く空間はありません。

ホットコーヒーを頼んだら、
「砂糖とミルクは入りますか?」と聞かれて、
思わず「ぶらっくで」なんて、背伸びをして答えてしまいました。
だって店主は私よりも10歳は若い青年だったから。

ふふふふ、これは大正解。

六角形の青いギンガムチェックのカップの’珈琲’にはが似合います。
酸味の強い私好みの珈琲でした。

隣に座る彼女が、カルピスクリームソーダを頼んだので、黒い飲み物と白い飲み物で「シロクロだね」って笑いあいました。

彼女が、さくらんぼを、どこに置いておくか、迷っています。
ピンクに染まったさくらんぼが苦手みたいで、
私に食べさせるために、これを書いている私に、アピールしてきました。
仕方なく、グラスが置かれている受け皿に置きました。

どこかのお家から香ばしい匂いがしています。
お肉でも焼いているのでしょうか。
バイクを止める音がします。
隣の八百屋さんが配達から帰ってきたのでしょうか。

2階の大きな窓から優しい微風が吹いてきます。
’優しい’に包まれています。

やっぱり、ブラック珈琲をオススメします。

この手紙は、特別な本の間に潜ませておきますね。
見つけた方には優しい幸せが訪れます。

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