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ジェネラリストとスペシャリスト

April 7, 2021

季節がフライングしたような気候が続きましたが、春のそわそわした感じになんとなく落ち着かない、という人も多いのではないでしょうか。
特に新たに採用された人や異動のあった人は、新しい職場で、人の名前も、物の置いてある場所も、ファイルの保存先も、相手が何を言っているのかもワカラナイ…という日々を送っているかもしれません。(時が解決します!)また、人によっては、「この席の仕事は向いていない…」と感じている人もいるかもしれません。

ところで、本学の雇用体系には、職種等によって「異動のあるパターン」と「異動のないパターン」がありますが、異動する場合は、これまでとはがらっと異なる業務に配置されることもめずらしくありません。一方で、アメリカの大学では異動は一般的ではなく、雇用時に交わすJob Description(ジョブ・ディスクリプション)と呼ばれる職務記述書にもとづいて業務が決められます。サンフランシスコ州立大学で上司のジョブ・ディスクリプションを見せてもらったところ、全部で6ページにわたって、業務内容、ひとつひとつの業務の配分率、必須能力・資格、望ましい能力等が細かに規定されていました。そして書類の末尾で「上記を理解しました」とサイン。規定された業務が遂行できなくなった場合には解雇です。

本学でも、異動のないパターンで勤務するスタッフは高い専門知識やその部署のノウハウやお作法を熟知しています。最近では日本でもジョブ・ディスクリプションに沿った「ジョブ型」の雇用は進んでいて、大手企業でも、たとえば日立製作所が2024年度までにすべてのポジションに導入することを表明しています。

全員が「スペシャリスト」であることが一般的なアメリカの大学で、日本の大学の異動をともなう「ジェネラリスト」の話をするとたいてい奇妙な顔をされますが、一方で、異なる部署を経験することで多角的な見方ができること、他の部署との連携が比較的行いやすいことは「スペシャルな知識はないけど、ジェネラリスト」の利点。

たとえばサンフランシスコ州立大学では、スペシャリスト揃いゆえに、オフィス間の協働やコミュニケーションが課題でした。そのため、インターンをしていた国際交流オフィス(Office of International Programs: OIP)では、新しい試みとして、定期的にほかのオフィスのスタッフを呼んでお茶会(Tea with OIP)を開催。雑談や情報交換をする場を設けていました。(ちなみに、パーティでコミュニケーションをとることも仕事のうちなので、もちろん定時内!そして定時になるとみんなさっさと解散。)

4月になって慣れない業務の担当になり、前の部署に戻りたい…と思っている人もいるかもしれませんが、居心地のわるさは今の部署でこれから仕事の幅が広がるチャンスがある証拠。今日はノー残業デーです。慣れない業務に馴染もうとしている人も、慣れた業務に邁進している人も、今日は早めに業務を切り上げて、週の後半に向けてエネルギーをチャージしましょう!

*伊藤忠商事の入社式(朝日新聞 2021年4月1日)
https://digital.asahi.com/articles/ASP413Q6BP41ULFA008.html
いつもの入社式ができない代わりに、レッドカーペットで会長と社長、オンラインで海外支店の駐在員たちが拍手で新入社員を出迎えたのだとか。本学でも心の中では拍手喝采です。

*カリフォルニア州ではワクチン接種は年齢や業種によりカテゴリーごとに順番に行われていて、「教育関係者」の順位は農業・食糧関係者や緊急時サービス関係者と同様に高く、すでに開始。サンフランシスコ州立大学のオフィスの上司たちも済ませたそうです。
https://covid19.ca.gov/vaccines/#California's-vaccination-plan

(写真:サンフランシスコ州立大学)

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